🐾🐱 犬猫ニュース — 2026.03.18

brown french bulldog puppy lying on yellow textile

🐾🐱 犬猫ニュース — 2026.03.18

犬12 + 猫12 + 論文15 = 計39件

▼ 猫ニュース | 🔬 獣医学・栄養学 | 🧠 行動・認知科学


🐾 犬ニュース — 2026.03.18

本日 12件


1. 🏥 医療・疾病・予防

犬猫専用の連続血糖モニター「GluCurve」が2026年に再ローンチ——糖尿病管理が劇的に変わる

ALR Technologies社が開発した犬猫専用の連続血糖モニター(CGM)「GluCurve」が、2026年1月にカナダで再ローンチされ、米国では第2四半期に発売予定だ。従来の糖尿病管理では獣医師の診察室で数時間おきに採血する「血糖曲線測定」が必要だったが、GluCurveはペットの体にセンサーを装着するだけで3分ごとに血糖値を測定し、最大2週間連続でデータを記録する。飼い主はスマートフォンアプリでリアルタイムの数値を確認でき、獣医師もオンラインポータルを通じて遠隔でモニタリングし、インスリンの投与量を調整できる。

これは動物専用に設計・製造された初の連続血糖モニターであり、独立した臨床試験で獣医用血糖計と同等の精度が確認されている。犬の糖尿病は多飲・多尿・体重減少が典型的な初期症状で、適切なインスリン療法と食事管理が予後を大きく左右する。愛犬が糖尿病と診断されている飼い主は、この新デバイスについてかかりつけの獣医師に相談してみてほしい。

🔗 https://www.dvm360.com/view/veterinary-continuous-glucose-monitor-to-relaunch-in-2026

🏷️ 医療・疾病・予防


2. 🏥 医療・疾病・予防

犬の肥満は「子犬期」に始まる——490万頭の大規模データが示す体重管理の最適タイミング

ScienceDirect誌に掲載された研究で、米国の一次診療施設を受診した約490万頭の犬と約130万頭の猫のBCS(ボディコンディションスコア)データを分析した結果、過体重・肥満は成長期から始まり、そのまま成犬期に持ち越されるケースが非常に多いことが判明した。成長段階ごとの過体重率を詳細に追跡した初の大規模調査であり、「いつ体重管理を始めるべきか」に科学的な回答を与えるものとなっている。

研究は、子犬期の体重増加を標準成長チャートと照合しながらモニタリングすること、成犬では定期的な体重測定とBCS評価を核とする予防戦略が最も効果的だと結論付けた。犬の肥満は関節炎・糖尿病・心臓病・がんのリスクを高めるが、多くの犬は一度も体重管理プログラムを開始しないまま過体重が定着してしまうという。子犬を迎えた飼い主は、早い段階から獣医師と体重管理について話し合うことが将来の健康を守る第一歩だ。

🔗 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167587724002848

🏷️ 医療・疾病・予防


3. 🏋️ トレーニング・行動科学

子犬の認知能力は16週齢までにほぼ完成——デューク大学が「子犬幼稚園」で発達の全容を解明

デューク大学の研究チームが、ラブラドール・レトリーバーとゴールデン・レトリーバーの子犬101頭を生後8〜20週齢まで2週間ごとにテストし、認知能力の発達過程を縦断的に追跡した。学術誌Animal Behaviourに発表されたこの研究は、子犬の認知発達を最も詳細に記録した縦断研究の一つであり、10種類の認知スキル(記憶、衝動制御、人間のジェスチャーの解釈能力など)のうち9種類が16週齢までに発達完了することを示した。

注目すべきは、各スキルが互いに独立して異なるタイミングで発達する点だ。つまり犬の知能は「一つの能力」ではなく、複数の独立した知的モジュールから成り立っている。また、キャンパスで数百人と接触して育った子犬と、一般家庭で育った子犬の認知発達に差がなかったことから、「過剰な社会化」が認知能力を特別に高めるわけではないことも示された。子犬期のしつけは8〜16週の「発達ウィンドウ」を活かすことが重要だ。

🔗 https://today.duke.edu/2025/12/inside-minds-puppies-how-do-they-develop-their-thinking-skills

🏷️ 研究・科学


4. 🏋️ トレーニング・行動科学

犬はボタンで「2語の組み合わせ」を作れる——大規模研究が示す犬のコミュニケーション能力の新地平

Scientific Reports誌とPLOS ONE誌に相次いで発表された研究で、サウンドボード(音声ボタン)を使って訓練された犬が、偶然ではない意図的な2ボタンの組み合わせを作り出せることが実証された。47カ国から1万人以上が参加する世界最大規模の動物コミュニケーション研究プロジェクトの一環として、数十万回のボタン押しデータが分析された。犬は「遊ぶ」「外」などの単語に対して、ボタン経由であろうと飼い主の発声であろうと適切に反応することが確認されている。

ただし、エトヴェシュ・ロラーンド大学の2025年の研究では、低品質のアナログボタンを使った場合の単語認識率が30%にまで低下し、高品質スピーカーの70%、直接の人間の声の約100%と大きな差があることが判明した。犬の「会話」能力は高度な連合学習であり、人間のような文法的構文ではないが、異種間コミュニケーションの可能性を大きく広げる成果だ。ボタン式コミュニケーションに興味がある飼い主は、音質の良い製品を選ぶことが成功の鍵となる。

🔗 https://www.nature.com/articles/s41598-024-79517-6

🏷️ 研究・科学


5. 🏋️ トレーニング・行動科学

行動適応の遺伝的証拠——牧羊犬のゲノムに刻まれた「羊を追う本能」の正体

Science Advances誌に発表された研究で、牧羊犬の全ゲノム配列を非牧羊犬種と比較した結果、社会的相互作用や認知機能に関わる遺伝子経路に正の選択(自然淘汰による有利な変異の蓄積)の痕跡が発見された。特に注目されるのがEPHB1遺伝子で、この遺伝子は運動過活動性と空間記憶に関連しており、ボーダーコリーでは「ショーライン」と「ワーキングライン」の間でこの遺伝子のハプロタイプが明確に分離していることが確認された。

ワーキングライン特有のEPHB1ハプロタイプは、行動調査に基づく「追いかけ咬み(chase-bite)」運動パターンの高いレベルと関連していた。興味深いことに、地理的に遠いエントレブッハー・マウンテン・ドッグにも同一のハプロタイプが認められ、異なる牧羊犬種間で遺伝子の移入(イントログレッション)が起きていた可能性が示唆された。犬種の行動特性が「経験」だけでなく「遺伝子」にも刻まれていることを示す重要な成果だ。

🔗 https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adp4591

🏷️ 研究・科学


6. 🐕 犬学

古代犬のDNAが解き明かすアメリカ大陸への旅路——農耕の拡大とともに南下した犬たち

オックスフォード大学を中心とする国際研究チームが、メキシコ中央部からチリ・アルゼンチンにかけての考古学的・現代的な犬から70のミトコンドリアゲノムを解読し、Proceedings of the Royal Society B誌に発表した。その結果、中南米の先コロンブス期の犬はすべて北米の犬から分岐した単一の母系血統に由来し、約7,000〜5,000年前に初期農耕社会の南下とともにゆっくりと広がったことが明らかになった。

犬の遺伝的構造は北部・中部・南部アメリカの間で地域的な分化を示しており、人間の移動パターンと一致している。ヨーロッパ人の到来後、導入された新しい犬の血統が先住民の犬を大部分置換したが、現代のチワワの一部には先コロンブス期のメソアメリカの祖先のミトコンドリアDNAが残存していることも確認された。犬と人間の共生関係が数千年の時を超えて大陸規模で展開されてきた壮大な物語を裏付ける研究だ。

🔗 https://www.ox.ac.uk/news/2025-06-18-ancient-dna-reveals-new-clues-about-incredible-journey-dogs-americas

🏷️ 犬学


7. 🐕 犬学

現代の犬種の約64%にオオカミのDNAが残存——PNAS掲載の大規模ゲノム解析で判明

米国自然史博物館とスミソニアン国立自然史博物館の研究チームが主導し、PNASに2025年11月に発表された研究で、現代の犬種の約64.1%がおよそ1,000世代前(推定数万年前)のオオカミとの交配に由来するDNAを保持していることが明らかになった。自由に暮らす野犬(ビレッジドッグ)では100%のゲノムにオオカミの祖先のDNAが検出された。オオカミDNAの含有率は犬種によって大きく異なり、チェコスロバキアン・ウルフドッグやサールロース・ウルフドッグでは23〜40%に達する一方、一般的な犬種では平均約0.14%にとどまる。

特に興味深いのは、野犬においてオオカミ由来のDNAが嗅覚受容体遺伝子に集中していた点だ。これは「適応的イントログレッション」と呼ばれ、嗅覚の鋭敏さが厳しい環境での生存に有利に働いたことを示唆する。また、オオカミDNAの量は体の大きさ、犬種カテゴリ、性格特性とも相関していた。犬がオオカミの子孫であるという事実は知られているが、その遺伝的遺産が現代の犬にどれほど色濃く残っているかを定量的に示した画期的な研究である。

🔗 https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2421768122

🏷️ 犬学


8. 🐕 犬学

「計算行動学」が犬の行動遺伝学とヒトの精神疾患研究を橋渡し——National Science Review誌に展望論文

National Science Review誌に掲載された展望論文で、「計算行動学(Computational Ethology)」が犬の行動遺伝学研究とヒトの精神疾患研究を結びつける新しい研究パラダイムとして提唱された。計算行動学は、AIと機械学習を用いて動物の行動を自動的に定量化・分類し、行動の背後にある遺伝的基盤を探る手法だ。従来の犬の行動研究は飼い主の主観的アンケートに依存していたが、この技術により客観的かつ大規模なデータ収集が可能になる。

犬はヒトと同じ生活環境を共有し、不安障害・強迫性障害・攻撃性など多くの行動特性がヒトの精神疾患と相同であるため、トランスレーショナル研究の理想的なモデルとされている。ゲノムワイド関連解析(GWAS)では、犬の行動に強く関連する11の遺伝子領域がすでに特定されており、計算行動学の導入によってさらなる発見が期待される。犬の行動研究がヒトの精神医学の発展にも貢献するという相互的な関係が注目されている。

🔗 https://academic.oup.com/nsr/advance-article/doi/10.1093/nsr/nwaf558/8373813

🏷️ 犬学


9. 🧬 研究・科学

43犬種390トリオの解析で犬の突然変異率を初めて包括的に測定——父親の年齢が大きく影響

Genome Biology誌に2025年に発表された大規模研究で、43犬種390トリオ(両親と子犬の3頭セット)のゲノムを解析し、犬の生殖細胞系列における新規突然変異(de novo mutation)の発生率が1世代あたり塩基対あたり4.89×10⁻⁹であることが初めて包括的に測定された。父親の年齢が突然変異率に強く影響し、その効果はヒトの1.5倍に達することが判明。また、大型犬種は小型犬種と比較して成長初期の突然変異が多く、体の大きさと発生速度の関係が示唆された。

犬のCpGアイランド(遺伝子の発現調節に重要な領域)では、ゲノム平均の2.6倍の突然変異率が観察された。これはヒトでは見られない現象であり、犬が組換え調節因子PRDM9を欠損していることが関与している可能性がある。この研究は犬種間の遺伝的疾患リスクの違いを理解する基盤となるだけでなく、突然変異の蓄積メカニズムを解明するための「自然実験」としての犬の価値を改めて示すものだ。

🔗 https://genomebiology.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13059-025-03804-2

🏷️ 研究・科学


10. 🧬 研究・科学

人と動物の絆を科学する——ピュリナが2026年度研究助成金でDV被害者とペットの関係を支援

ネスレ・ピュリナは「人と動物の絆研究助成プログラム(HAB)」の2026年度助成対象を発表し、最大4万ドルの研究資金を提供する。2016年の開始以来、同プログラムは世界各国の研究に計120万ドルを投じてきた。2026年度の重点分野には「脆弱な状況にある人々の生活におけるペットの役割」「人と動物の相互作用がペットの福祉に与える影響」が含まれ、特にDV(家庭内暴力)被害者とコンパニオンアニマルの絆が心理的回復にどう寄与するかを調査する研究が選出された。

一方、Human Animal Bond Research Institute(HABRI)は2026年にVirbac社と提携し、人と動物の絆に関する教育・啓発活動を強化する。科学的研究では犬の飼い主はコルチゾール(ストレスホルモン)レベルが低く、心臓病リスクが36%低減するとの報告もある。愛犬との日々の触れ合いがメンタルヘルスを支えることは、もはや「感覚」ではなく「科学的事実」として確立されつつある。

🔗 https://newscenter.purina.com/2025-12-17-Purina-Awards-120,000-in-Global-Research-Grants-to-Advance-Understanding-of-the-Human-Pet-Bond

🏷️ 研究・科学


11. 🧬 研究・科学

47,000頭超の大規模行動調査——犬の行動特性は体格・犬種・年齢・性別でどう変わるか

バージニア工科大学とワシントン大学が共同で主導し、Dog Aging Projectの47,000頭以上のデータを分析した、史上最大規模の犬の行動研究が発表された。犬の行動を恐怖・注意力/興奮性・攻撃性・訓練適性の4つの広域領域に分類し、それぞれに影響する要因を体系的に調査した。小型犬(約9kg未満)は恐怖性・攻撃性・注意要求行動が高い一方で訓練適性が低く、ミックス犬は純血種より恐怖・注意力・攻撃性のスコアが高い傾向にあった。

この研究は、犬の行動特性が「犬種の固定イメージ」通りではなく、体格・年齢・性別といった個体要因に大きく左右されることを示している。特に加齢に伴う行動変化のパターンは病気の早期兆候の検出にも応用可能であり、行動の変化に気づくことが健康管理の鍵となりうる。「うちの子は小型犬だから臆病」と決めつけず、個体の行動を冷静に観察し、普段と異なる変化があれば獣医師に相談することが大切だ。

🔗 https://newatlas.com/pets/benchmarking-dog-study-behavior-and-health/

🏷️ 研究・科学


12. 🥩 栄養・食事・サプリ

成長期の過体重は「子犬からの時限爆弾」——獣医が推奨する新しい肥満予防フレームワーク

Royal Canin Academy(Vet Focus)に掲載されたレビューで、犬と猫の肥満管理における新しい課題と解決策が包括的に整理された。英国では犬の46%が過体重とされ、米国でも飼い主の35%が自分のペットを過体重と認識している。しかし、大半の過体重の犬は一度も体重管理プログラムを開始しないまま放置されているのが現実だ。レビューは「治療」よりも「予防」に重点を置き、12週間で開始体重の10%減量を目標とする短期計画と、子犬期からの早期介入を組み合わせた戦略を推奨している。

特に重要な知見は、成長期に過体重となった犬のほとんどがそのまま成犬期にも肥満を維持するという点だ。肥満は単独の疾患ではなく、関節炎・糖尿病・心臓病・がんなど複数の疾患リスクを同時に高める「万病の元」である。子犬の体重を標準成長チャートと比較してモニタリングし、定期的なBCS評価を取り入れることが、獣医師と飼い主が協力して実践すべき最も効果的な予防策だ。

🔗 https://vetfocus.royalcanin.com/en/scientific/pet-obesity-new-challenges-new-solutions

🏷️ 栄養・食事・サプリ


💡 今日のワンポイント

今日は水曜日、トレーニング・行動科学と犬学の特集日です。犬の「知能」は一枚岩ではなく、記憶・衝動制御・社会的認知など複数の独立したモジュールから構成されています。16週齢までに大半の認知スキルが発達するという研究結果は、子犬期の適切な刺激がいかに重要かを物語っています。一方で「過剰な社会化」は効果がないことも示されており、質の高い経験を適度に与えることがポイントです。


🐱 猫ニュース — 2026.03.18

本日 12件

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1. 🏥 医療・疾病・予防

猫の肥大型心筋症(HCM)にラパマイシンが初の治療薬として条件付き承認――心臓病治療のパラダイムシフト

NC州立大学のJoshua Stern博士が主導し、アイルランドのTriviumVet社と共同開発した遅延放出型ラパマイシン(フェリシン-CA1)が、2026年3月14日にFDAの条件付き承認を取得した。猫の心臓病で最も多い肥大型心筋症(HCM)は、これまで症状が出るまで有効な治療法がなく、対症療法に限られていた。しかしRAPACAT試験では、ラパマイシンが左室肥大の進行を停止させるだけでなく、一部の猫では肥大を逆転させることが示された。現在300頭を対象としたHALT試験が20以上の施設で進行中であり、本承認によりテレメディシン経由で20州以上の猫オーナーに処方可能となっている。

猫のHCMは全猫の約15%が罹患するとされ、突然死のリスクもある深刻な疾患だ。これまで「見つかっても何もできない」とされてきた病態に対し、根本的な病理に介入する初の薬剤が登場したことは、猫の循環器医学における歴史的な転換点である。心エコー検査で早期発見された猫には特に効果が期待されるため、定期的な心臓スクリーニングの重要性が改めて強調されている。

🔗 https://www.dvm360.com/view/first-drug-shown-to-reverse-feline-hcm-expected-to-receive-fda-conditional-approval

🏷️ 医療・疾病・予防


2. 🏥 医療・疾病・予防

猫の慢性腎臓病にAIM注射療法が臨床試験開始――2027年春の実用化を目指す

東京大学の宮崎徹博士が発見したAIM(マクロファージ由来アポトーシス抑制因子)タンパク質を応用した注射療法が、2025年4月に臨床試験を開始した。猫は他の動物と異なりAIMを活性化する能力が欠如しており、これが腎臓に老廃物が蓄積して慢性腎臓病(CKD)に至る原因とされている。組み換えAIM(rAIM)を投与した猫は、未治療群の生存期間中央値167日に対し、360日時点で83%の累積生存率を示すという劇的な改善が確認された。2026年中に規制当局への申請、2027年春の市販が計画されている。

CKDは高齢猫の死因第1位であり、15歳以上の猫の約81%が罹患するとされる。現在の治療は腎臓への負荷を軽減する食事療法と点滴が主体で、根治療法は存在しない。AIM療法は腎臓の自浄メカニズムそのものを回復させるアプローチであり、成功すれば猫医学を根底から変える可能性がある。愛猫の腎臓を守るためには、年に一度の血液・尿検査による早期発見が現時点でも最も重要だ。

🔗 https://greycoatresearch.com/blogs/news/cat-kidney-disease-cure-nears-reality-dr-toru-miyazaki-s-aim-therapy-targets-2027

🏷️ 医療・疾病・予防


3. 🏋️ トレーニング・行動科学

猫は「予測可能性」を好む――サセックス大学の研究が覆す「好奇心旺盛な猫」のイメージ

サセックス大学の研究チームが、猫にレベル6の対象物永続性(直接観察していない場所への物体の移動を理解する能力)があるかを検証した。驚くべきことに、猫はおもちゃが「予想外の場所」に現れたときよりも、「予想通りの場所」に現れたときにより強い関心を示した。犬や一部の類人猿、人間の乳児が予想外の結果に対して驚きの反応を示すのとは対照的な結果であり、猫の認知が「好奇心」よりも「予測と確認」に基づいている可能性を示唆する。

この研究は、猫の知性が「犬とは異なる方向に最適化されている」ことを示す好例だ。猫が安定した環境を好み、変化にストレスを感じやすい理由を認知科学の観点から説明するものであり、引っ越しや家具の配置変えなど環境変化時に猫が不安定になる理由の科学的根拠ともなりうる。飼い主は、猫の生活環境にはなるべく予測可能性と一貫性を保つことが重要だ。

🔗 https://www.sussex.ac.uk/broadcast/read/68547

🏷️ トレーニング・行動科学


4. 🏋️ トレーニング・行動科学

猫の感情を正しく読めていますか?――訓練動画で人間の猫感情認識力が向上するかを検証

Frontiers in Ethology誌に2025年発表された研究で、遊び中の猫の感情・行動シグナルを人間がどの程度正確に認識できるか、また短い訓練動画でその精度が向上するかが検証された。結果として、猫の行動シグナルの誤認は、望まない接触の延長やストレスの増大、さらには咬傷のリスク増加につながることが確認された。適切な訓練により、飼い主は猫の微妙なボディランゲージ(耳の向き、尾の動き、ヒゲの位置など)を読み取る能力が向上した。

「猫は気まぐれ」という印象は、実際には人間側の読解力不足に起因する部分が大きい。猫は犬のように明示的なシグナルを出さないが、一貫した行動コミュニケーション体系を持っている。飼い主が猫のサインを学ぶことは、咬傷事故の予防だけでなく、猫のストレス軽減と信頼関係の構築に直結する。

🔗 https://www.frontiersin.org/journals/ethology/articles/10.3389/fetho.2025.1675587/full

🏷️ トレーニング・行動科学


5. 🐈 猫学

猫の認知症がアルツハイマー研究を変える――エディンバラ大学が脳内アミロイドβの蓄積を確認

エディンバラ大学の研究チームが、異なる年齢の猫25頭の死後脳を調査し、高齢の猫と認知症の猫の脳のシナプス(神経細胞間の接続部)にアミロイドβタンパク質の蓄積を確認した。この研究は2025年にEuropean Journal of Neuroscience誌に発表され、グリア細胞によるシナプス貪食がアミロイドβの蓄積とともに増加することを示した。11〜14歳の猫の約30%が認知症状を示すとされ、夜鳴き・徘徊・混乱といった症状はヒトのアルツハイマー病と驚くほど類似している。

猫の認知機能障害症候群(CDS)がヒトのアルツハイマー病の「自然発生モデル」として注目されている。実験的に作られたモデル動物とは異なり、猫は人間と同じ生活環境で自然に加齢し、類似の脳病変を発症する。この研究は将来的にヒトのアルツハイマー治療薬が高齢猫にも応用できる可能性を開くものであり、猫の老化研究とヒト医学の橋渡しとなる画期的な成果だ。

🔗 https://www.sciencedaily.com/releases/2025/08/250813083611.htm

🏷️ 猫学


6. 🐈 猫学

猫のがんゲノムが人間のがん治療の鍵を握る――コーネル大学が初の大規模遺伝子マップを発表

2026年2月にScience誌に発表された国際共同研究で、猫のがんの初の大規模遺伝子マップが作成され、猫のがんがヒトのいくつかのがんの理解に鍵を握る可能性が示された。特に注目されるのは、猫の悪性乳腺腫瘍とヒトの乳がんの特定サブタイプとの間に遺伝子変化の「驚くべき類似性」が発見された点であり、将来的にヒトと猫の両方に有効な新しい治療法の開発につながる可能性がある。

猫はヒトと同じ環境で生活し、同じ環境因子に曝露されながら自然にがんを発症する点で、実験モデル動物とは異なる「トランスレーショナル研究」のパートナーとして理想的だ。猫のがん研究の進展は猫自身の治療を改善するだけでなく、ヒトの腫瘍学にも貢献するという双方向的な恩恵をもたらす。

🔗 https://news.cornell.edu/stories/2026/02/landmark-study-finds-striking-parallels-feline-human-cancers

🏷️ 猫学


7. 🐈 猫学

Darwin’s Catsプロジェクト:10万頭の猫ゲノム解析を目指す世界最大の市民科学プロジェクト

UMass Chan Medical SchoolとBroad Instituteが共同で進める「Darwin’s Cats」プロジェクトが、Hill’s Pet Nutritionの資金提供を受けて拡大中だ。すでに1万頭以上の猫が登録されており、2026年末までに10万頭の登録と5,000頭のDNA配列解読を目標としている。市民科学のモデルにより飼い主が自らの猫を登録し、行動データとともに遺伝情報を提供する。関連する行動遺伝学研究では、アンドロゲン受容体遺伝子(AR)の短いアレルがゴロゴロ音の頻度増加と関連することが明らかになった。

大規模なゲノムデータベースの構築は、猫特有の遺伝性疾患(多発性嚢胞腎、HCMなど)の原因遺伝子の同定を加速させるとともに、猫種間の行動差異の遺伝的基盤を明らかにすることが期待される。犬のDog Aging Projectと並ぶ、コンパニオンアニマルのゲノム科学の新たなマイルストーンだ。

🔗 https://www.umassmed.edu/news/news-archives/2025/04/umass-chan-leads-research-aimed-at-advancing-cat-genomics/

🏷️ 猫学


8. 🧬 研究・科学

飼い主の信念が猫の行動を変える?――「期待効果」が猫と人間の関係に与える影響

American Veterinary Medical Association(AVMA)が紹介した研究で、飼い主が猫に対して抱く信念や期待が、実際の猫の行動に影響を及ぼす可能性が示された。飼い主が「この猫は攻撃的だ」と信じている場合、その期待が接し方に反映され、猫が実際により防衛的な行動を示すようになるという悪循環が確認されている。逆に、猫を「社交的で友好的」と認識する飼い主の猫は、実際により社交的な行動を示す傾向がある。

これは心理学でいう「自己成就予言」のペット版であり、飼い主の態度が猫の行動パターンを形成する重要な要因であることを示す。猫の「性格」だと思い込んでいるものが、実は飼い主自身の接し方の結果である可能性がある。問題行動に悩む飼い主は、まず自分の先入観を見直すことが改善の第一歩かもしれない。

🔗 https://www.avma.org/news/human-beliefs-influence-cat-reality

🏷️ 研究・科学


9. 🥩 栄養・食事・サプリ

Quest猫用療法食がチアミン不足でリコール拡大――FDA、全Quest製品の販売停止を発表

GO Raw社が製造するQuest Diet猫用フード製品のリコールが2026年2月に拡大され、チアミン(ビタミンB1)の含有量が基準値を下回る可能性があるとしてFDAが注意喚起を行った。同社はすべてのQuest製品について、チアミン含有量の問題が解決するまで全小売店での販売停止を決定した。チアミン欠乏症の初期症状には食欲低下・流涎・嘔吐・体重減少が含まれ、進行すると痙攣や神経障害など重篤な症状に至る。

チアミンは猫にとって必須ビタミンであり、体内で合成できないため食事からの摂取が不可欠だ。特に手作り食や一部の療法食ではチアミン含有量が不安定になるリスクがある。該当製品を使用している飼い主は直ちに給餌を中止し、購入店で返金または交換を受けるべきだ。

🔗 https://www.fda.gov/safety/recalls-market-withdrawals-safety-alerts/go-raw-llc-expands-voluntary-recall-quest-diet-cat-food-products-due-low-thiamine-levels-and-enacts

🏷️ 栄養・食事・サプリ


10. 🧬 研究・科学

猫の脳はヒトと同じパターンで老化する――脳萎縮の種間並行性を確認

2025年にbioRxiv(プレプリント)に発表された研究で、猫の脳萎縮パターンがヒトと共通の特徴を持つことが示された。加齢に伴う灰白質の減少と脳室の拡大が、両種で類似した領域に発生することが確認された。これは猫がヒトの脳老化および神経変性疾患の自然発生モデルとして高い価値を持つことを裏付ける。

高齢猫の認知機能障害は過小診断されている。飼い主が「年だから仕方ない」と見過ごしがちな行動変化(トイレの失敗、夜鳴き、空間認識の低下)が、実は脳の器質的変化に起因する可能性がある。脳老化の並行性が確認されたことで、ヒトの認知症研究で開発中の薬剤が猫にも応用されるという未来が現実味を帯びてきた。

🔗 https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2025.07.31.667772v1.full.pdf

🏷️ 研究・科学


11. 🧬 研究・科学

自閉症・ADHDの人にとっての猫――猫との交流が心理的資源として機能する可能性

PMC(PubMed Central)に掲載された2026年の研究で、自閉症およびADHDを持つ127名の成人を対象に、猫との交流が心理的ウェルビーイングに与える影響が調査された。猫との日常的な触れ合いがストレス軽減と感情調整に寄与すること、特に感覚過敏を持つ人にとって猫の穏やかな存在が「安全な社会的相互作用」を提供する可能性が示唆された。

犬のセラピー効果は広く知られているが、猫特有の「押し付けがましくない」存在感が、特定のニューロダイバージェントな人々にとってより適している場合がある。猫は犬ほど積極的な注意を要求しないため、過剰な社会的刺激を避けたい人にとって理想的なコンパニオンとなりうる。猫を「犬より劣るセラピー動物」と見なす偏見を科学的に覆す研究だ。

🔗 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12938654/

🏷️ 研究・科学


12. 🏋️ トレーニング・行動科学

猫もトレーニングできる――オレゴン州立大学が子どもと猫の共同訓練プログラムを開始

オレゴン州立大学エクステンションが主導する「ユース・キャット・トレーニング・プログラム」が2025年12月に正式開始された。4-Hクラブと連携し、「トレイン・ザ・トレイナー」モデルで子どもたちが正の強化法を使って猫にお座り・呼び戻し・リードウォーキングなどを教える。プログラムは「フィアフリー」ハンドリングを重視し、猫のボディランゲージの理解と動物のペースに合わせた対応を基本としている。

「猫はトレーニングできない」という通念は科学的に誤りであり、正の強化法により猫は多様な行動を学習できる。このプログラムは猫のトレーニングが可能であることを実証するだけでなく、子どもたちの共感性・責任感・社会性の発達にも寄与することが期待されている。飼い猫とのトレーニングは、猫のメンタルエンリッチメントとしても極めて有効だ。

🔗 https://extension.oregonstate.edu/news/osu-extension-led-study-seeks-show-cats-can-be-trained-kids-can-do-it

🏷️ トレーニング・行動科学


💡 今日のワンポイント

今日は水曜日、トレーニング・行動科学と猫学の特集日です。「猫は気まぐれで何を考えているかわからない」というイメージは、最新の研究で覆されつつあります。猫は予測可能性を好む動物であり、飼い主の感情や信念にも敏感に反応しています。また、猫のHCMに対する初の治療薬承認やAIM療法の臨床試験開始など、猫医学は歴史的な転換期を迎えています。愛猫の健康を守るには、定期的な健康診断と行動の変化への気づきが第一歩です。


🔬 獣医学・栄養学 研究論文 — 2025–2026

注目論文 10件

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1. 🏥 獣医学・臨床

猫の糖尿病管理に関する2025年iCatCareコンセンサスガイドライン——SGLT2阻害薬の登場で治療の選択肢が拡大

Journal of Feline Medicine and Surgery誌に掲載された国際専門家パネルによるコンセンサスガイドラインが、猫の糖尿病の診断と管理に関する最新の推奨事項をまとめた。特に注目すべきは、SGLT2阻害薬(ベラグリフロジンなど)が新たな非インスリン治療選択肢として正式にガイドラインに組み込まれた点だ。従来、猫の糖尿病治療はインスリン注射が中心だったが、経口薬による管理が現実的な選択肢となりつつある。

ガイドラインでは、連続血糖モニター(CGM)の活用も推奨されている。猫の糖尿病寛解率は治療法により11〜60%と幅があり、早期発見と適切な治療選択が鍵となる。猫の多飲・多尿・体重減少に気づいたら、早期に獣医師を受診することが重要だ。

📖 Journal of Feline Medicine and Surgery, 2025

🔗 https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1098612X251399103

🏥 獣医学・臨床


2. 🏥 獣医学・臨床

猫のSGLT2阻害薬治療——インスリンに代わる糖尿病管理の新時代

Journal of Veterinary Pharmacology and Therapeutics誌に掲載されたレビューで、猫の糖尿病管理におけるSGLT2阻害薬の作用機序と臨床応用が詳細に解説された。SGLT2阻害薬は腎臓での糖の再吸収を阻害し、尿中に糖を排出させることで血糖値を下げる。新たに承認されたベラグリフロジンは、毎日の注射が不要な経口薬として、特にインスリン投与が困難な猫の飼い主にとって画期的な選択肢となる。

ただし、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)のリスクがある猫には適応外であり、治療開始前の適切なスクリーニングが不可欠だ。猫の糖尿病は肥満と強く関連しており、体重管理が予防の第一歩となる。

📖 J Vet Pharmacol Ther, 2025, 48(Suppl. 1)

🔗 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jvp.13466

🏥 獣医学・臨床


3. 🍽️ 栄養学

市販シニア犬フードのリン含有量は腎臓療法食の4倍——慢性腎臓病の犬には代替にならない

Frontiers in Veterinary Science誌に掲載された研究で、市販のシニア犬用フードの栄養組成をAAFCO基準および腎臓療法食と比較分析した。その結果、シニア用フードのリン含有量は腎臓療法食の約4倍であることが判明した。高リン食は慢性腎臓病(CKD)の進行を加速させるため、この結果はシニア犬用の市販フードがCKD管理の代替にはならないことを明確に示している。

腎臓病と診断された犬には、獣医師が処方する専用の腎臓療法食を使用することが推奨される。また、健康なシニア犬であっても定期的な血液検査で腎機能をモニタリングし、早期のCKD発見に努めることが重要だ。

📖 Front. Vet. Sci., 2025

🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2025.1717409/full

🍽️ 栄養学


4. 🍽️ 栄養学

手作りドッグフードの落とし穴——「人間の健康食」を犬に適用するリスクが明らかに

Frontiers in Animal Science誌に掲載された研究で、家庭で手作りされる犬用食事の栄養学的適切性を分析した。その結果、飼い主が人間の食事の常識(脂肪やコレステロールを避ける、塩分を控えるなど)をそのまま犬に適用するケースが多く、犬の生理学的ニーズに合致しない食事になっていることが判明した。

多様な食材を使っていても、専門家による栄養計算なしでは必要な栄養バランスが保証されない。手作り食を与えたい飼い主は、必ず獣医栄養学の専門家にレシピの処方を依頼すべきだ。特にカルシウム、亜鉛、ビタミンDの不足が頻繁に報告されている。

📖 Front. Anim. Sci., 2025

🔗 https://www.frontiersin.org/journals/animal-science/articles/10.3389/fanim.2025.1506003/full

🍽️ 栄養学


5. 🍽️ 栄養学

植物ベースの犬用フードは「栄養学的に適切」だが条件付き——ヨウ素とビタミンBの補給が必須

獣医栄養学の研究で、適切に設計された植物ベースの犬用食事が犬の栄養要件を満たし得ることが示された。ただし、ヨウ素とビタミンB群の補給が不可欠であると結論づけている。犬は雑食性であり、適切に配合された植物性食事で健康を維持できる可能性がある一方、猫は必須アミノ酸のタウリンを植物から十分に摂取できないため、完全菜食は推奨されない。

この研究は、環境配慮型のペットフード開発への科学的根拠を提供するものだが、飼い主が独自の判断で犬をベジタリアン食に切り替えることには慎重であるべきだ。必ず獣医師や栄養専門家の指導のもとで行う必要がある。

📖 Vet Times, 2025

🔗 https://www.vettimes.com/news/vet-nursing/small-animal/plant-based-canine-diet-can-provide-nutritional-adequacy-study-reveals

🍽️ 栄養学


6. 🏥 獣医学・腫瘍学

犬のB細胞リンパ腫に新たな免疫毒素療法——緑膿菌由来の単鎖抗体が腫瘍細胞を標的攻撃

Frontiers in Veterinary Science誌に掲載された研究で、緑膿菌外毒素Aに由来する組換え単鎖抗体免疫毒素が犬のB細胞リンパ腫に対して治療効果を示すことが報告された。この治療法はリンパ腫細胞を選択的に標的とし、正常細胞への影響を最小限に抑える精密医療アプローチである。

犬のリンパ腫は最も一般的な悪性腫瘍の一つであり、現在の標準治療である化学療法の限界を補完する新たな治療選択肢として期待される。免疫療法は人間のがん治療で革命を起こしており、その恩恵が獣医腫瘍学にも広がりつつある。

📖 Front. Vet. Sci., 2025

🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2025.1491934/full

🏥 獣医学・腫瘍学


7. 🏥 獣医学・腫瘍学

犬の多中心型リンパ腫——診断・治療・予後因子の最新レビュー

Animals誌(2025年第15巻第3号)に掲載された包括的レビューで、犬の多中心型リンパ腫の診断アプローチ、化学療法プロトコル、予後因子が最新の知見とともに整理された。多中心型リンパ腫は犬のリンパ腫全体の約80%を占め、最初の症状は多くの場合、無痛性のリンパ節腫大として現れる。

標準的なCHOP系化学療法による生存期間中央値は約12ヶ月で、一部の犬では2年以上の生存も報告されている。腫瘍の免疫表現型(B細胞型 vs T細胞型)、ステージ、全身状態が予後を大きく左右する。飼い主がリンパ節の腫れに気づいた場合は、早期に細胞診を受けることが重要だ。

📖 Animals, 2025, 15(3), 391

🔗 https://www.mdpi.com/2076-2615/15/3/391

🏥 獣医学・腫瘍学


8. 🧬 精密医療・ゲノム

犬リンパ腫のPOT1遺伝子変異が治療予後を予測——個別化医療への一歩

npj Precision Oncology誌(2025年第9巻)に掲載された研究で、犬のリンパ腫におけるPOT1遺伝子の新規変異が同定され、化学免疫療法の治療反応および生存期間との関連が明らかにされた。POT1はテロメア保護に関与するタンパク質をコードする遺伝子であり、その変異は腫瘍の悪性度と治療抵抗性に影響を与える。

この発見により、治療開始前に遺伝子検査を行うことで予後予測が可能となり、個々の犬に最適な治療計画を立てるための基盤が整いつつある。人間の精密腫瘍学で確立されたアプローチが、獣医腫瘍学にも応用される時代が到来している。

📖 npj Precis. Oncol., 2025, 9

🔗 https://www.nature.com/articles/s41698-025-00988-5

🧬 精密医療・ゲノム


9. 🧬 精密医療・ゲノム

犬の脾臓血管肉腫——ゲノムバイオマーカーと治療成績の実世界エビデンス

Scientific Reports誌に掲載された研究で、犬の脾臓血管肉腫の系統的なゲノムプロファイリングと長期治療成績の関連が初めて大規模に分析された。血管肉腫は特にゴールデン・レトリーバーやジャーマン・シェパードに好発する悪性度の高い腫瘍で、脾臓破裂による急性腹腔内出血が初発症状となることが多い。

研究では腫瘍細胞に発現するタンパク質マーカーが同定され、これらを標的とする精密治療の可能性が示された。従来の化学療法に加え、標的療法の開発が進めば、この予後不良な腫瘍に対する治療成績の改善が期待される。

📖 Sci Rep, 2025

🔗 https://www.nature.com/articles/s41598-025-89862-9

🧬 精密医療・ゲノム


10. 🍽️ 栄養学・統合医療

犬のがんに対する統合栄養療法——食事介入によるがん予防・治療支援の可能性

American Journal of Traditional Chinese Veterinary Medicine誌(2025年第20巻1号)に掲載されたレビューで、犬のがんにおける食事介入の予防・治療効果に関する文献が包括的に整理された。人間の腫瘍栄養学では食事療法の重要性が確立されているが、獣医学でも同様のアプローチが注目を集めている。

特に、がん細胞のエネルギー代謝を標的とした低炭水化物・高脂肪食や、抗酸化物質・オメガ3脂肪酸の補給によるがん進行抑制の可能性が議論されている。ただし、がん罹患犬の栄養管理は複雑であり、獣医腫瘍医と栄養専門家の連携のもとで個別に計画される必要がある。

📖 Am J Trad Chin Vet Med, 2025, 20(1)

🔗 https://ajtcvm.scholasticahq.com/article/128278.pdf

🍽️ 栄養学・統合医療


🧠 行動・認知科学 研究論文 — 2025–2026

注目論文 5件

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1. 🧠 認知科学

犬の「言葉学習能力」を決める個体差とは——ラベル学習犬の認知特性を解明

Scientific Reports誌に掲載された研究で、おもちゃの名前を学習できる犬(ラベル学習犬)の認知的特性が分析された。一部の犬はおもちゃの名前を何十個も記憶できるが、大半の犬にはこの能力が見られない。研究は、ラベル学習犬に共通する認知的差異を特定し、この能力が単なる訓練の結果ではなく、個体の認知プロファイルに根差していることを示した。

この成果は、犬の知能が一枚岩ではなく、複数の独立した認知能力から構成されることを改めて裏付けるものだ。犬種よりも個体差が大きく、飼い主は愛犬の得意・不得意を理解した上でトレーニングを設計することが効果的だ。

📖 Sci Rep, 2025, 15, 41616

🔗 https://www.nature.com/articles/s41598-025-25646-5

🧠 認知科学


2. 🐱 猫行動学

「猫語」は学べるか?——訓練動画が人間の猫感情認識を改善するかを検証

Frontiers in Ethology誌に掲載された研究で、訓練動画の視聴が人間の猫の感情・行動の認識精度を向上させるかが検証された。猫は犬と比べて表情や行動のシグナルが微妙であり、飼い主でも猫の感情状態を正確に読み取ることが難しいとされている。

研究結果は、短い訓練動画であっても猫の遊び中の感情認識が有意に改善されることを示した。猫のボディランゲージを正しく理解することは、猫のストレス軽減と人猫関係の向上に直結する。猫の飼い主には、耳の向き、尾の位置、瞳孔の大きさなど微細なシグナルへの注意を習慣づけることが推奨される。

📖 Front. Ethol., 2025, 4

🔗 https://www.frontiersin.org/journals/ethology/articles/10.3389/fetho.2025.1675587/full

🐱 猫行動学


3. 🐱 猫行動学

猫は飼い主のにおいにどう反応するか——嗅覚を介した人猫の絆の科学的証拠

PLoS ONE誌に掲載された宮入らの研究で、飼い猫が飼い主の体臭に対して特異的な行動反応を示すことが実験的に確認された。猫は見知らぬ人のにおいと比較して、飼い主のにおいに対してより長時間接近し、リラックスした行動を示した。

この結果は、猫が嗅覚を通じて特定の人間との社会的絆を形成・維持していることを示唆する。猫は犬ほど明確な愛着行動を示さないため「独立的」と見なされがちだが、本研究は猫と飼い主の間にも嗅覚を基盤とした深い結びつきが存在することを科学的に裏付けている。

📖 PLoS ONE, 2025, 20(5): e0324016

🔗 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0324016

🐱 猫行動学


4. 🧠 社会認知

犬は「親切な人」を見分けられるか?——京都大学の実験が見せた意外な結果

Animal Cognition誌に掲載された京都大学の研究チームによる実験で、犬が人間の社会的行動を評価する能力が検証された。犬は第三者が「親切に振る舞う人」と「意地悪に振る舞う人」を観察した後、どちらの人間を好むかをテストされた。

結果は研究者にとって「驚き」だった——犬の反応は予想よりも複雑で、単純な善悪の評価ではなく、状況依存的な判断を行っている可能性が示された。犬の社会的認知能力は従来考えられていたよりも精緻であり、人間との共進化の過程で独自の社会的知性を発達させてきたことが示唆される。

📖 Anim Cogn, 2025, 28(1)

🔗 https://link.springer.com/journal/10071/volumes-and-issues/28-1

🧠 社会認知


5. 🐱 猫認知・老化

高齢猫の認知機能低下——ストレスと炎症が主要リスク因子であることが判明

Applied Animal Behaviour Science誌に掲載されたモリス動物財団が資金提供した研究で、猫の認知機能低下に寄与する要因が分析された。ストレスレベルの高い環境にいる猫や、慢性的な炎症マーカーが上昇している猫ほど、認知能力スコアが低いことが明らかになった。

猫の認知症(認知機能障害症候群:CDS)は高齢猫の11〜50%に影響するとされるが、見過ごされがちだ。夜鳴き、トイレの失敗、見当識障害などの行動変化は加齢のせいにされやすいが、早期介入で進行を遅らせられる可能性がある。高齢猫の生活環境のストレスを減らし、定期健診で炎症マーカーをチェックすることが推奨される。

📖 Appl Anim Behav Sci, 2025

🔗 https://www.sciencedirect.com/journal/applied-animal-behaviour-science

🐱 猫認知・老化


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