📚 犬猫 研究論文 — 2026.03.22
獣医学5件 + 行動科学5件 = 計10件
🔬 獣医学・栄養学 研究論文 — 2025–2026
注目論文 5件
1. 🔬 腫瘍学・治療技術
犬猫の自然発生腫瘍に集束超音波(FUS)治療を初適用——パイロット研究で安全性と実現可能性を確認
2025年12月にPubMedに掲載されたパイロット研究で、犬猫の自然発生腫瘍に対する集束超音波(Focused Ultrasound: FUS)治療の安全性と技術的実現可能性が初めて評価された。FUSは非侵襲的に腫瘍組織を熱的に破壊する技術であり、ヒト腫瘍学では既に一部の固形がんに臨床応用されている。本研究では複数のタイプの腫瘍を持つ犬猫にFUSを適用し、重篤な副作用なく治療を完了できることが確認された。
FUSは外科手術が困難な部位の腫瘍や、高齢で麻酔リスクが高いペットに対する新たな選択肢となる可能性がある。免疫療法との併用(腫瘍破壊時に放出される抗原が免疫系を活性化する「アブスコパル効果」)も期待されている。腫瘍が発見された場合は、最新の治療オプションについて獣医腫瘍学の専門家に相談することをお勧めする。
📖 PubMed, 2025
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40983784/
🔬 研究・科学
2. 🔬 感染症・治療薬
猫の伝染性腹膜炎(FIP)にモルヌピラビル経口投与——臨床試験で治療効果を確認
2025年11月にPubMedに掲載された臨床試験で、自然発症した猫伝染性腹膜炎(FIP)に対するモルヌピラビル(MPV; EIDD-2801)の経口投与の有効性が評価された。モルヌピラビルはCOVID-19治療薬として知られるRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害薬であり、猫コロナウイルス(FCoV)にも抗ウイルス活性を持つ。
FIPはかつて致死的な疾患とされていたが、GS-441524やモルヌピラビルなどの抗ウイルス薬の登場により治療可能な疾患へと変わりつつある。モルヌピラビルは経口投与が可能であり、注射を嫌がる猫や飼い主にとって重要な選択肢となる。FIPの症状が見られた場合は、速やかに獣医師に相談してほしい。
📖 PubMed, 2025
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41271599/
🏥 医療・疾病・予防
3. 🔬 内分泌・糖尿病治療
猫の糖尿病にSGLT2阻害薬——「非理想的候補」への初期臨床経験を報告
Journal of Veterinary Pharmacology and Therapeutics誌(2025年)に掲載された研究で、猫糖尿病に対するSGLT2阻害薬の臨床使用経験が報告された。ベキサグリフロジンとベラグリフロジンの2種は近年FDA承認を取得した経口血糖降下薬で、多くの猫に急速な血糖コントロール改善をもたらす。
SGLT2阻害薬の登場は猫の糖尿病治療に革命的な変化をもたらした。従来のインスリン注射に代わる経口薬は、注射を嫌がる猫や飼い主にとって大きな福音だ。糖尿病と診断された猫の飼い主は、獣医師と相談してほしい。
📖 J Vet Pharmacol Ther, 2025
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41482870/
🏥 医療・疾病・予防
4. 🔬 腫瘍免疫学
犬の自家がんワクチン(ACV)がFDA完全承認を取得——骨肉腫への精密免疫療法
Anticancer Research誌(2025年)に掲載されたレビューで、犬の自家がんワクチン(ACV)の最新動向が報告された。2025年3月、米国農務省(USDA)は犬の骨肉腫治療用ACVに完全承認を発行。ACVは患者自身の腫瘍組織から作製されるパーソナライズドワクチンである。
犬のがん免疫療法は急速に発展しており、ヒトのがん治療開発にも重要な知見を提供している。愛犬ががんと診断された場合、免疫療法を含む最新の治療選択肢について腫瘍専門の獣医師に相談することを強くお勧めする。
📖 Anticancer Res, 2025, 45(10)
🔗 https://ar.iiarjournals.org/content/45/10/4115
🔬 研究・科学
5. 🔬 栄養学・腸内細菌
犬猫の腸内細菌と脂質代謝の相互作用——肥満管理への新アプローチを総括
Journal of Animal Science and Biotechnology誌(2024年)に掲載された総説で、犬猫における腸内細菌叢と脂質代謝の相互作用が包括的にレビューされた。肥満犬ではFirmicutes門の比率増加とBacteroidetes門の減少が確認されている。
犬猫の肥満は先進国で深刻な問題であり、腸内細菌叢を標的とした新しいアプローチが体重管理の有力なツールになりつつある。愛犬・愛猫の体重が気になる場合は、獣医師に総合的な肥満管理プランを相談してほしい。
📖 J Anim Sci Biotechnol, 2024
🔗 https://link.springer.com/article/10.1186/s40104-024-01073-w
🥩 栄養・食事・サプリ
🧠 行動・認知科学 研究論文 — 2025–2026
注目論文 5件
1. 🧠 言語・認知
「言葉を覚える犬」の秘密——ラベル学習能力の個体差を認知テストで解明
Scientific Reports誌(2025年)に発表された研究で、イヌが人間の言葉(ラベル)を学習する能力の個体差の認知的基盤が調査された。社会認知能力と物理的認知スキルの両方が、個体のラベル学習の成否に影響を与えることが示された。
この知見は、犬のトレーニングにおいて各犬の認知的個性に合わせた訓練方法の調整が効果的であることを示唆している。愛犬の得意分野を理解し、それに合わせた知育遊びを取り入れてみてはいかがだろうか。
📖 Sci Rep, 2025, 15, 41616
🔗 https://www.nature.com/articles/s41598-025-25646-5
🧠 行動・認知科学
2. 🧠 嗅覚・社会認知
犬は仲間の「感情の匂い」を嗅ぎ分ける——化学信号による同種感情認識を実証
Scientific Reports誌(2026年)に発表された研究で、イヌが同種の個体から放出される感情的化学信号(ケモシグナル)を識別できることが実証された。イヌは化学信号を通じて他の犬の感情状態を認識し、行動を調整することが明らかになった。
この研究は多頭飼育環境での犬同士の相互作用理解に直接役立つ。ストレスを抱えた犬の化学信号は同居犬にも不安を伝播させる可能性がある。適切な距離を保つことが望ましい。
📖 Sci Rep, 2026
🔗 https://www.nature.com/articles/s41598-026-41426-1
🧠 行動・認知科学
3. 🧠 心の理論
犬は「人間が何を知っているか」を理解するか?——見知らぬ人への知識帰属能力を検証
Animal Cognition誌(2025年)に掲載された研究で、イヌが見知らぬ人間の視線や注意状態から「何を知っているか」を推論できるかが調査された。イヌは限定的ながらも人間の知識状態に対する感度を示した。
「心の理論」はかつてヒト固有とされていたが、犬もその原初的な形を持つ可能性が示唆されている。指示の出し方や注意の向け方が訓練効果に影響する。
📖 Anim Cogn, 2025
🔗 https://link.springer.com/article/10.1007/s10071-025-02034-0
🧠 行動・認知科学
4. 🧠 コミュニケーション
犬は人間の「嘘の指示」に従うか?——聴覚的視点が犬の判断に与える影響
Animal Cognition誌(2025年)に発表された研究で、イヌが人間の誤った指示にどの程度従うか、人間の聴覚的視点がこの傾向に影響するかが調査された。イヌは指示者の信頼性を評価し行動を調整する可能性が示唆された。
犬が単に指示に盲目的に従うのではなく、指示者の信頼性を評価する認知能力を持つことを示している。一貫性のある明確なコミュニケーションが犬との信頼関係構築の鍵となる。
📖 Anim Cogn, 2025
🔗 https://link.springer.com/article/10.1007/s10071-025-02028-y
🧠 行動・認知科学
5. 🧠 嗅覚・猫認知
猫は飼い主の匂いをどう認識するか——嗅覚の側性化と人間識別の新知見
PLOS ONE誌(2025年)に発表された研究で、飼い猫が人間の嗅覚刺激にどのように行動反応するかが調査された。猫は嗅覚を人間認識に積極的に利用しており、嗅覚の側性化が新奇刺激と既知刺激の処理に関連していることが示された。
猫は視覚よりも嗅覚で飼い主を認識している可能性が高い。香水の変更が猫のストレスを引き起こす可能性があること、多頭飼育環境では嗅覚的な環境管理が猫同士の調和にも貢献することが推察される。
📖 PLOS ONE, 2025, 20
🔗 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0324016
🧠 行動・認知科学
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