📚 犬猫 研究論文 — 2026.03.29
獣医学5件 + 行動科学5件 = 合計10件
🔬 獣医学・栄養学 研究論文 — 2025–2026
注目論文 5件
1. 🔬 獣医学・栄養学
AIM(マクロファージポトーシス阻害因子)による猫の慢性腎臓病治療 — 全国26施設で臨床試験進行中
宮崎徹教授らが開発したAIM注射薬の多施設臨床試験が、2025年5月より日本全国26の獣医病院で実施されている。猫は血中AIMを自己活性化する能力が欠如しているため、腎臓に老廃物が蓄積し慢性腎臓病(CKD)に至るメカニズムが判明しており、AIM療法は腎臓の本来の浄化機能を回復させることを目指す。2026年中の承認申請が予定されている。
猫のCKDは高齢猫の死因第1位であり、有効な根治療法がない現状だった。AIM療法が承認されれば、世界初のCKD根本治療薬となる可能性がある。日本から世界へ展開されるOne Medicine研究の好例でもあり、今後の承認プロセスに注目が集まる。
📖 PubMed, 2026
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41485732/
🔬 獣医学・栄養学
2. 🔬 獣医学・栄養学
集束超音波による犬猫の自然発生腫瘍治療 — パイロットスタディで安全性と技術的実現可能性を確認
Journal of Ultrasoundに掲載されたパイロットスタディで、集束超音波(FUS)を用いた犬猫の自然発生腫瘍治療の安全性と技術的実現可能性が評価された。各種腫瘍を持つ犬猫に対してFUSによる熱凝固壊死が確認され、標的外への損傷は認められなかった。非侵襲的ながら精密な腫瘍アブレーション可能であることが示された。
従来の外科切除が困難な部位の腫瘍や、高齢で全身麻酔リスクの高い動物にとって、FUSは新たな選択肢となる可能性がある。人間の腫瘍治療では既に臨床応用が進んでおり、獣医腫瘍学への技術移転が今後加速するとも予想される。
📖 Journal of Ultrasound, 2025
🔗 https://link.springer.com/article/10.1007/s40477-025-01085-w
🔬 獣医学・栄養学
3. 🔬 獣医学・栄養学
犬のNK細胞免疫療法 — 初の臨床試験でトランスクリプトーム解析とバイオマーカー候補を同定
Frontiers in Immunologyに掲載された研究で、犬の肉腫に対するナチュラルキラー(NK)細胞養子免疫療法の初臨床試験のデータが報告された。単細胞RNAシーケンシングにより、犬と人間の肉腫浸潤NK細胞の遺伝子発現を比較分析。治療応答犬ではCCL4の発現上昇が一貫して認められ、免疫応答バイオマーカー候補として同定された。
がん免疫療法は人間の医学で飛躍的な進歩を遂げているが、犬への応用はまだ初期段階にある。この研究は犬と人間のがん免疫学の比較研究(比較腫瘍学)を前進させるものであり、将来的に犬のがん治療の個別化や、人間の免疫療法開発へのフィードバックが期待される。
📖 Frontiers in Immunology, 2025, Vol.16
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/immunology/articles/10.3389/fimmu.2025.1646849/full
🔬 獣医学・栄養学
4. 🔬 獣医学・栄養学
犬猫の加齢に伴う栄養戦略 — 最新レビューが食事介入とバイオマーカーを体系的に整理
PMCに掲載されたレビュー論文が、犬猫の加齢に伴う栄養評価と食事戦略を包括的にまとめた。筋肉量の減少(サルコペニア)、腎機能低下、認知機能変化など加齢に関連する変化に対して、タンパク質量の調整、抗酸化物質の補充、オメガ3脂肪酸の摂取、腸内細菌叢への介入などのエビデンスを評価している。
高齢犬猫の増加に伴い、シニア期に特化した栄養管理の重要性が高まっている。このレビューは最新のエビデンスに基づいた実践的な栄養アドバイスを獣医師と飼い主の双方に提供するものだ。シニア犬猫の飼い主は、年齢に適したフードの選択について獣医師に相談してほしい。
📖 PMC, 2025
🔗 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12520854/
🔬 獣医学・栄養学
5. 🔬 獣医学・栄養学
犬用・猫用パルボウイルス迅速診断キットの互換性 — 猫汎白血球減少症で完全一致を確認
PubMedに掲載された研究で、犬用と猫用のパルボウイルスPoC(ポイントオブケア)抗原迅速検査キット2社製品について、猫汎白血球減少症(FPL)診断での互換性が評価された。両キットは完全な診断一致を示し、緊急時に犬用キットで猫のパルボウイルス感染を検出できることが実証された。
パルボウイルス感染は子猫にとって致死的な感染症であり、迅速な診断が生死を分ける。猫専用キットが手元にない緊急時に犬用キットで代用できるという実践的な知見は、特に夜間救急や地方の動物病院にとって有用だ。
📖 PubMed, 2026
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41428358/
🔬 獣医学・栄養学
🧠 行動・認知科学 研究論文 — 2024–2025
注目論文 5件
1. 🧠 行動・認知科学
猫は飼い主の嗅ぎを嗅ぎ分ける — 嗅覚による人間の識別能力をPLOS Oneで実証
東京農業大学の研究チームがPLOS Oneに発表した研究で、家猫が嗅覚のみで見知らぬ人と飼い主を区別できることが実証された。猫は飼い主の匂いと見知らぬ人の嗅いを区別でき、未知の人の嗅いにより長時間反応し、未知の嗅いを嗅ぐ際に右鼻孔を優先的に使用するという鼻孔の側性化も確認された。オス猫では反復嗅ぎ回数と性格スコアに強い相関が見られた。
「猫は飼い主に無関心」という通説を覆す科学的知見であり、猫が嗅覚を通じて社会的絆を認識していることを示唆する。嗅いを嗅いだ後にフェイスラビング(顔こすり)行動が観察されたことから、嗅覚探索とマーキング行動の関連性も示唆されている。
📖 PLOS One, 2025
🔗 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0324016
🧠 行動・認知科学
2. 🧠 行動・認知科学
子猫のトレーニング・社会化クラスが認知バイアスと弁別学習に及ぼす影響
Frontiers in Ethologyに掲載されたVitaleらの研究で、3~8か月齢の子猫を対象に6週間のトレーニング・社会化クラスの効果が検証された。認知バイアステスト(猫への初適応)の結果、クラス参加群は弁別学習能力を維持したのに対し、対照群は時間経過とともに弁別能力が低下した。両群とも曖昧な刺激への接近潜時が短縮し、自然な楽観的シフトが確認された。
子猫期のトレーニングと社会化が認知発達にプラスの影響を与えることを初めて定量的に示した研究だ。「猫はしつけられない」という固定観念を科学的に覆すものであり、キトン・キンダーガーテン(子猫の社会化クラス)の普及を後押しする根拠となる。
📖 Frontiers in Ethology, 2025
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/ethology/articles/10.3389/fetho.2025.1681085/full
🧠 行動・認知科学
3. 🧠 行動・認知科学
Dog Aging Project、犬の認知機能障害に伴う神経精神症状様行動を大規模解析
GeroScienceに掲載された研究で、Dog Aging Projectに登録された8歳以上の犬10,000頭超のデータを用いて、犬の認知機能障害(CCD)に伴う行動変化が分析された。CCD犬は正常加齢犬と比較して、身体活動の減少、習得済み行動の喪失、日中の過眠、分離不安の増加、新奇刺激への反応変化など、人間の認知症における神経精神症状と類似した行動パターンを示した。
犬のCCDは人間のアルツハイマー病の自然発症モデルとして注目されており、この大規模データは比較神経科学の重要な基盤となる。シニア犬の飼い主は、「年だから仕方ない」と見過ごしがちな行動変化がCCDのサインである可能性を認識し、獣医師に相談してほしい。
📖 GeroScience, 2025/2026
🔗 https://link.springer.com/article/10.1007/s11357-025-02083-w
🧠 行動・認知科学
4. 🧠 行動・認知科学
犬の認知加齢を測定する自発的問題解決テストバッテリーの開発
GeroScienceに掲載されたDog Aging Projectの研究で、アルツハイマー病で障害される3つの認知領域(空間記憶、実行機能、社会的認知)を標的とした5つの短時間テストからなる認知評価バッテリーが開発された。123頭の横断的サンプルで検証した結果、高齢犬は空間学習・記憶・反応柔軟性のスコアが若い犬より有意に低かった。
犬の認知機能を標準化された方法で評価するツールの開発は、認知症の早期発見やCCD治療薬の臨床試験における重要なアウトカム指標として不可欠だ。人間のアルツハイマー病に対応する認知ドメインを評価する点で、比較医学研究の橋渡しにも貢献する。
📖 GeroScience, 2024
🔗 https://link.springer.com/article/10.1007/s11357-024-01278-x
🧠 行動・認知科学
5. 🧠 行動・認知科学
猫の遊び中の感情・行動を人間はどれだけ正確に読み取れるか — トレーニングビデオの効果検証
Frontiers in Ethologyに掲載された研究で、猫の遊び中の感情や行動を人間がどの程度正確に認識できるか、またトレーニングビデオによってその認識精度が向上するかが検証された。猫のコミュニケーションの誤解は不必要なストレスや人間への咬傷リスクを高めるため、正確な感情認識が重要であるとされる。
猫の行動の誤解を減らすための教育介入の有効性を検証した実践的な研究だ。猫と人間の相互作用の質を高めるうえで、飼い主が猫のボディランゲージを正しく読み取るスキルは不可欠であり、このような教育ツールの開発・普及が猫の福祉向上につながる。
📖 Frontiers in Ethology, 2025
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/ethology/articles/10.3389/fetho.2025.1675587/full
🧠 行動・認知科学
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