🐾🐱 犬猫ニュース — 2026.04.01
犬8 + 猫5 = 計13件
🐾 犬ニュース — 2026.04.01
本日 8件
1. 🐕 犬学
15,800年前のDNAが証明——ヨーロッパとトルコで世界最古の家犬の遺伝的証拠を発見
オックスフォード大学・自然史博物館・UCLなどの国際チームが、トルコのプナルバシュ遺跡(約15,800年前)とイギリスのゴフ洞窟(約14,300年前)の化石から古代DNAを抽出し、これまでの記録を5,000年以上遡る世界最古の家犬の遺伝的証拠を特定した。微生物汚染の中から古代DNAを「捕捉」する最新技術を用い、130以上のサンプルからオオカミと犬を識別することに成功した。
これらの古代犬は、ボクサーやサルーキといった現代のヨーロッパ・中東犬種の祖先に近く、シベリアンハスキーのような北極圏の犬種とは異なる系統であることが判明。約18,500~14,000年前に地域全体に拡大した集団の一部であり、現代の欧州犬種の半数がこの氷河期の犬たちに祖先を遡るという。本研究はNature誌に掲載された。
🔗 https://www.nature.com/articles/s41586-026-10112-7
2. 🧬 研究・科学
ゴールデンレトリーバーの行動に関わる遺伝子12個が、人間の不安・うつ・知能にも関与——PNAS大規模GWAS
ケンブリッジ大学などの研究チームが約1,000頭のゴールデンレトリーバーを対象に14のゲノムワイド関連解析(GWAS)を実施し、8つの行動特性について12のゲノムワイドに有意な遺伝子座を同定した。犬の対犬攻撃性に関連するPTPN1遺伝子はヒトの知能・認知能力・大うつ病性障害と、訓練性に関連するROMO1・ADGRL2遺伝子はヒトの知能と情動感受性と、それぞれ共通していた。
この発見は、犬とヒトの行動遺伝学に共通する生物学的基盤の存在を示唆している。恐怖や攻撃に関わる遺伝子のヒト側の対応形質は、主に神経症傾向・不安・易刺激性・気分変動・抑うつ症状だった。犬の行動遺伝学が人間の精神医学研究に新たな知見をもたらす可能性がある。
🔗 https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2421757122
3. 🧬 研究・科学
犬の遺伝子検査は「外見」を予測するが「行動」は予測できない——Darwin’s Ark 3,000頭超の大規模検証
市民科学プロジェクト「Darwin’s Ark」が3,000頭超の犬の遺伝・行動データを用いて、市販の犬用行動遺伝子検査の予測精度を検証した結果、行動を予測できる証拠は見つからなかった。行動に関連するとされていた遺伝子変異の一部は、実際には犬種を特徴づける外見的特徴と相関しており、以前の犬種ベースの研究が複雑な犬の集団構造による交雑を受けていた可能性が示された。
犬の行動は多遺伝子性であり、少数の遺伝子変異に基づく検査では正確な予測は困難である。飼い主に対して行動や性格の遺伝子検査結果を過度に信頼しないよう呼びかけている。PNAS誌に掲載された本研究は、犬種ステレオタイプの見直しにも一石を投じている。
🔗 https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2421752122
4. 🏥 医療・疾病・予防
FDA、犬リンパ腫の初の経口治療薬「Laverdia」を正式承認——自宅での投薬が可能に
FDAは2026年1月16日、犬のリンパ腫に対する初の経口治療薬「Laverdia(一般名:ベルディネキソル)」を正式承認した。製造元はカリフォルニア州のAnivive Lifesciences社。本剤は核外搬出タンパク質の阻害により、がん抑制タンパク質を細胞核内に留め、リンパ腫細胞の増殖・拡散を制御するメカニズムを持つ。1日2回、食後に経口投与する(投与間隔は72時間以上)。
従来の静脈内化学療法と異なり、獣医師の監督下で自宅投薬が可能となる点が最大のメリットである。2021年の条件付き承認を経て、今回の正式承認に至った。犬のリンパ腫は米国で年間8万頭未満が罹患する疾患であり、飼い主と獣医師の双方にとって新たな治療選択肢となる。リンパ腫の兆候(リンパ節の腫れ、食欲低下、体重減少など)に気づいたら早めの受診を。
🔗 https://www.avma.org/news/fda-approves-first-oral-treatment-canine-lymphoma
5. 🏋️ トレーニング・行動科学
犬の尻尾振りは本当に「喜び」を示すのか——運動学的解析がポジティブ予期と覚醒を区別
bioRxivに発表されたプレプリント論文で、23頭の犬を対象にコンピュータ制御環境で尻尾の運動学的シグネチャーと感情状態の関係が調査された。ポーズトラッキング技術を用い、報酬あり(ポジティブ)と報酬なし(ネガティブ)の2条件で、予期・結果の各エポックにおける尻尾の動きを定量分析した。その結果、犬はポジティブな予期時に尻尾を振る可能性が高かった。
一方、ネガティブ条件では尻尾の振幅がより大きくなったが、これは快感ではなく「覚醒」の反映であると解釈された。また、23頭中11頭が試行の75%以上で尻尾を振らず、尻尾振りが主に社会的シグナルである可能性も示唆された。「尻尾を振っている=嬉しい」という単純な理解を超え、犬の感情をより正確に読み取るためのヒントとなる研究である。
🔗 https://www.biorxiv.org/content/10.64898/2026.03.01.708848v1.full
6. 🏋️ トレーニング・行動科学
犬の分離不安は「6つの中心テーマ」に集約される——北欧3ヶ国の獣医・行動専門家への質的研究
Scientific Reports誌に発表された2026年の研究で、デンマーク・スウェーデン・ノルウェーの犬専門家15名(獣医師・動物行動学者・ドッグトレーナー)への半構造化インタビューを通じ、分離関連問題を持つ犬に共通する特徴が質的に分析された。6つの中心テーマとして「併発する行動上の困難」「身体の変化」「間違ったトレーニング歴」「犬種の影響」「ルーティンや環境の変化」「飼い主と犬の心理的要因」が特定された。
重要な知見として、分離不安は単一の「診断名」ではなく、潜在するフラストレーションや恐怖の兆候であること、そして犬が一人にされた際の苦痛には少なくとも4つの異なる形態——家の中の何かから逃げたい、外の何かに行きたい、外部の刺激への反応、退屈——があることが示された。愛犬の分離不安に悩む場合は、原因の特定のために行動の専門家への相談が推奨される。
🔗 https://www.nature.com/articles/s41598-026-36791-w
7. 🏋️ トレーニング・行動科学
プロのドッグトレーナーは何を重視しているか——訓練法をめぐる倫理的・科学的見解の質的調査
Frontiers in Veterinary Science誌に2026年発表された質的研究で、異なる方法論的志向を持つプロのドッグトレーナーたちが、「人道的で効果的な実践」をどのように概念化しているかが調査された。オペラント条件づけ、古典的条件づけ、応用行動分析をカバーする一貫した知識基盤が、人道的かつ効果的な訓練を保証する最善の方法であるとトレーナーたちは主張した。
陽性強化が「困難な犬を含む全犬種で一貫して効果的」であるという科学的コンセンサスが、獣医行動学者・認定トレーナー・動物福祉団体の間で形成されている。2022年のApplied Animal Behaviour Science誌の研究では、陽性強化は服従訓練において罰に基づく手法より82%効果的であることが報告されている。犬の訓練法選びに迷う飼い主にとって、科学に裏打ちされた参考指標となる。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1744448/full
8. 🧬 研究・科学
コンピュテーショナルエソロジー——犬の行動ゲノミクスと人間の精神疾患をつなぐ新しい研究手法
National Science Review誌に掲載された論文で、犬の行動ゲノミクスとヒトの精神疾患研究をつなぐ新手法として「コンピュテーショナルエソロジー(計算行動学)」が提案された。テクノロジー・数学・工学の進歩により、動物の行動の測定と分析を自動化する「CABA(Computational Animal Behavior Analysis)」が可能となり、犬の進化史とユビキタスな存在が、遺伝的変化が行動変化にどうつながるかを説明する強力なモデルシステムとなりうることが論じられている。
関連して、2026年2月にRoyal Society Open Science誌に発表された研究では、415頭の子犬と520頭の成犬の認知課題を分析し、遺伝率が子犬で0.02~0.61、成犬で0.01~0.36の範囲であることが報告された。犬の行動特性がどの程度「生まれつき」でどの程度「育ち」によるものかを定量的に明らかにする研究が進展している。
🔗 https://academic.oup.com/nsr/advance-article/doi/10.1093/nsr/nwaf558/8373813
💡 今日のワンポイント
今日の特集は「犬を科学する」がテーマ。15,800年前のDNAから現代のゲノム解析まで、犬と人間の絆は遺伝子レベルで解き明かされつつあります。尻尾の振り方一つにも複雑な感情が隠れていることを知ると、愛犬との日常がもっと豊かに感じられるかもしれません。
🐱 猫ニュース — 2026.04.01
本日 5件
1. 🏥 医療・疾病・予防
猫の腫瘍遺伝子がヒトと驚くほど一致——PIK3CA変異が猫の乳腺腫瘍47%に、乳がん治療に新展開
ウェルカム・サンガー研究所、コーネル大学、オンタリオ獣医大学、ベルン大学などの国際チームが5ヶ国約500頭のペット猫の腫瘍を解析し、猫のがんを駆動する遺伝子変異がヒトのがんと酷似していることを明らかにした。乳腺腫瘍ではPIK3CA変異が47%に認められ、これはヒトの乳がんで既にPI3K阻害薬で標的治療されている変異と同一である。最も頻度の高いドライバー遺伝子はFBXW7(50%超)で、ヒト乳がんでの予後不良とも関連する。
乳腺腫瘍だけでなく、血液・骨・肺・皮膚・消化管・中枢神経系の腫瘍でもヒトと共通の変異が確認された。猫のがん研究が人間のがん治療にフィードバックされる「ワンヘルス」の好例である。猫の乳腺腫瘍は未避妊の猫に多いため、若齢期の不妊手術が予防策として推奨される。異常なしこりを見つけたら早めに獣医師へ。
2. 🏥 医療・疾病・予防
UC Davisで子猫の水頭症手術に成功——獣医と小児外科のコラボが人間の治療も変える
UC Davis獣医教育病院で、水頭症と診断されたメインクーンの子猫ヴィゴーに対し、獣医神経外科医と小児神経外科医の共同チームが内視鏡下脳手術を実施した。わずか1mmの内視鏡で第三脳室に開口部を作り、カテーテルで脳脊髄液を頭皮下に分散させる手法が用いられた。猫の水頭症は多くの場合数ヶ月以内に安楽死の対象となるが、この手術によりヴィゴーは回復した。
この症例の意義は猫の治療にとどまらない。小児の水頭症治療は約70年間基本的に変わっておらず、今回の獣医学と人間医学のコラボレーションが、小児患者への技術適用を前進させる可能性がある。「ワンヘルス」アプローチが獣医学から人間医学への橋渡しとなった画期的な事例として注目される。
3. 🏋️ トレーニング・行動科学
フェロモン首輪が猫の問題行動を有意に改善——624頭参加の大規模ランダム化比較試験
Frontiers in Veterinary Science誌に掲載された研究で、459世帯624頭の猫を対象にフェロモン含有首輪(FELIWAY Optimum)の効果が28日間にわたりランダム化プラセボ対照試験で検証された。対象となった問題行動は、不適切な排尿・破壊的な引っかき・恐怖・猫同士の衝突の4種類。対照群と比較して、フェロモン首輪群は不適切な排尿・引っかき・猫間衝突の3項目で有意な改善を示した。
恐怖関連行動でも改善傾向が見られたが統計的有意差には達しなかった。首輪の脱落・紛失は12.1%、潜在的な副反応報告は27.2%だったが、フェロモン群とプラセボ群で差はなかった。多頭飼いの猫同士のトラブルや不適切な排尿に悩む飼い主にとって、科学的根拠に基づく選択肢の一つと言える。行動問題が深刻な場合は獣医行動学の専門家にも相談を。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2024.1468634/full
4. 🧬 研究・科学
Darwin’s Cats——「毛」から猫のゲノムを読み解く市民科学プロジェクト、10万頭の参加を目指す
ブロード研究所(MIT・ハーバード)とUMass Chan医科大学が共同で進める市民科学プロジェクト「Darwin’s Cats」が、2026年6月までに10万頭の猫の登録、年内に5,000頭のDNA配列解読を目指している。飼い主は猫の毛をブラッシングで採取して送るだけで参加でき、唾液サンプルと異なり毛は細菌の混入がほとんどないため、低コストで高品質な猫DNA配列データが得られるという利点がある。
収集されたデータは、猫の遺伝的多様性・形質・行動・健康・幸福に関する世界最大規模のデータベースとなる見込み。犬版の「Darwin’s Ark」は既に数万頭のデータを蓄積しており、猫版の拡大は猫特有の疾患リスクや行動特性の遺伝的説明を加速させるだろう。愛猫家なら誰でも科学に貢献できる画期的なプロジェクトだ。
5. 🧬 研究・科学
SGLT2阻害薬ベラグリフロジン——「非理想的な候補」の糖尿病猫への臨床経験が蓄積
Journal of Feline Medicine and Surgery誌に2026年掲載された症例報告で、SGLT2阻害薬ベラグリフロジン(商品名:SENVELGO)の「非理想的な候補」とされる糖尿病猫7頭への使用経験が報告された。同薬はベーリンガーインゲルハイム社が開発し2023年にFDA承認を取得した、インスリン注射に代わる1日1回の経口液剤。主要臨床試験では180日目に治療継続猫の81%が血糖値またはフルクトサミンが基準範囲内に到達していた。
ただし、ケトン尿が13.9%、ケトアシドーシスが7.1%の猫で発生しており、投薬には残存するβ細胞機能が必要となる。今回の「非理想的候補」への投与データの蓄積は、獣医師がより幅広い猫にSGLT2阻害薬を安全に使用するための指針となる。糖尿病と診断された猫の飼い主は、インスリン以外の選択肢について獣医師と相談してみてほしい。
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41482870/
💡 今日のワンポイント
猫のがん遺伝子が人間と酷似しているという発見は、猫を守ることが人間を守ることにもつながる「ワンヘルス」の好例です。愛猫の健康管理は、定期検診と早期発見が最大の武器。異変に気づいたら迷わず獣医師へ。
毎朝7時配信

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