📚 犬猫 研究論文 — 2026.04.02
獣医5件 + 行動科学5件 = 計10件
🔬 獣医学・栄養学 研究論文 — 2025‐2026
注目論文 5件
1. 🔬 獣医学・感染症
モルヌピラビル±経口免疫賦活剤によるFIP(猫伝染性腹膜炎)の第一選択治療——前向き臨床試験
📅 2025.11.21
FIPに自然感染した猫を対象に、モルヌピラビル単独または~ポリプレニルイムノスティミュラント併用の有効性を検討した前向き非盲検単施設臨床試験。抗ウイルス薬の経口投与がFIP治療の第一選択肢として実臨床でどの程度有効かを評価した。
GS-441524に続くFIPの新たな経口治療選択肢として、モルヌピラビルの有効性データが蓄積されつつある。FIPは従来「不治の病」とされてきたが、抗ウイルス薬の臨床応用により予後が劇的に改善している。FIPが疑われる場合は早期の獣医診察が鍵となる。
📖 Journal of Feline Medicine and Surgery, 2026
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41271599/
🔬 獣医学・感染症
2. 🔬 獣医学・栄養学
老齢犬猫の栄養学研究——現状の知見と今後必要な研究の方向性
📅 2026.02.12
Animals誌に発表されたレビュー論文で、老齢犬猫の栄養要求に関する研究が依然として不足していることを指摘。加齢バイオマーカーの曖昧さ、関連研究の断片化、実験的な高齢動物モデルの欠如が主な原因として挙げられた。
著者らは非侵襲的サンプリングに基づく加齢バイオマーカーの開発、シニア犬猫向け栄養ガイドラインの策定、国際的な大規模共同研究の必要性を提唱している。シニアペットの食事を「成犬用」のままにしている飼い主は多いが、年齢に応じた栄養管理が健康寿命の延伸に重要だ。
📖 Animals, 2026, 16(4), 571
🔗 https://www.mdpi.com/2076-2615/16/4/571
🔬 獣医学・栄養学
3. 🔬 獣医学・腫瘍学
次世代診断技術による犬のがん早期発見——cfDNA解析と機械学習の臨床実装
📅 2025.01.30
循環セルフリーDNA(cfDNA)プロファイリングと機械学習を組み合わせた犬の血管肉腫(ヘマンジオサルコーマ)早期検出など、次世代がん診断技術の進歩をまとめたレビュー論文。リキッドバイオプシー技術の犬への応用が急速に進展している。
従来のがん診断は腫瘍の触診や画像診断に依存していたが、血液1滴からがんの存在を検出するリキッドバイオプシーは、早期発見と個別化治療を可能にする。犬のがんは10歳以上の犬の死因50%に影響するため、非侵襲的なスクリーニング技術の発展は極めて重要だ。
📖 PMC / Frontiers in Veterinary Science, 2026
🔗 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11816279/
🔬 獣医学・腫瘍学
4. 🔬 獣医学・寄生虫学
犬のベクター媒介性疾患——変化する世界が獣医師に求める新たな予防戦略
📅 2026.03
Parasites & Vectors誌に発表されたDantas-TorresとOtrantoによる2026年の論文で、気候変動・都市化・人の移動により犬のマダニ・蚊媒介疾患のリスク地域が世界的に拡大していることを警告。予防剤と速効性殺虫薬の併用が第一選択の予防戦略として推奨されている。
従来「低リスク」とされた地域でもライム病やエーリキア症のリスクが高まっており、獣医師は地域のリスクプロファイルに基づいた年間通じた予防プロトコルを推奨する必要がある。飼い主は旅行先での追加予防も含め、かかりつけ獣医師との定期的な予防計画の見直しが重要だ。
📖 Parasites & Vectors, 2026
🔗 https://link.springer.com/article/10.1186/s13071-026-07331-2
🔬 獣医学・寄生虫学
5. 🔬 獣医学・ワクチン
新規アルファウイルスレプリコンベースFeLVワクチン——非アジュバント製剤で持続感染を防御
📅 2025.07
猫白血病ウイルス(FeLV)エンベロープタンパク質を発現する新規アルファウイルスレプリコンベースワクチンの有効性を評価した研究。非アジュバント製剤でありながら、FeLVチャレンジ試験で持続的ウイルス血症に対する防御効果を示した。
従来のFeLVワクチンはアジュバント(免疫増強剤)を含むことが多く、注射部位肉腫のリスクが懸念されていた。RNA パーティクル技術を用いた本ワクチンは、アジュバントなしで効果的な免疫応答を誘導でき、安全性の面でも大きな進歩だ。屋外にアクセスする猫の飼い主はFeLVワクチンの接種について獣医師に相談を。
📖 PMC, 2025
🔗 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12298305/
🔬 獣医学・ワクチン
🧠 行動・認知科学 研究論文 — 2025‐2026
注目論文 5件
6. 🧠 行動・認知科学
犬は「知らない人が何を知っているか」を理解できるか——知識帰属の実験的検討
📅 2026.01
Animal Cognition誌に掲載された2026年の研究で、ペット犬が見知らぬ人間に「知識」を帰属させる能力を持つかどうかを食物競争課題で検討した。犬が人間の視線や注意に敏感であることは知られているが、「その人が何を見たか(=何を知っているか)」を理解しているかは議論が分かれている。
この研究は犬の「心の理論」に関する理解を深めるもので、犬が単に行動の手がかりに反応しているのか、他者の精神状態を推測しているのかという根本的な問いに迫る。犬の社会認知能力の解明は、トレーニング手法の改善やヒトとの関係性の理解にも貢献する。
📖 Animal Cognition, 2026
🔗 https://link.springer.com/article/10.1007/s10071-025-02034-0
🧠 行動・認知科学
7. 🧠 行動・認知科学
子猫トレーニング&社会化クラスが認知バイアスと弁別学習に与える影響
📅 2025.11.28
Frontiers in Ethology誌に掲載されたVitaleらの研究で、子猫の社会化クラスへの参加が認知バイアス(楽観的/悲観的な判断傾向)と弁別学習能力に与える影響を調査した。正の強化に基づくトレーニングを受けた子猫が、認知的にも行動的にもどのような変化を示すかを検討している。
犬の社会化は広く推奨されているが、猫でも早期の社会化が長期的な行動や認知に影響することが明らかになりつつある。子猫を迎えた飼い主は、生後2~7週齢の社会化期を意識して、さまざまな人や環境に慣れさせることが重要だ。
📖 Frontiers in Ethology, 2025
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/ethology/articles/10.3389/fetho.2025.1681085/full
🧠 行動・認知科学
8. 🧠 行動・認知科学
家庭猫の鏡像への反応——飼い猫は鏡の中の自分をどう認識するか
📅 2025.05
Animal Behavior and Cognition誌に発表された研究で、家庭環境で飼育されている猫が鏡像に対してどのような行動反応を示すかを系統的に分析した。鏡像自己認識テスト(ミラーテスト)は動物の自己認知を評価する古典的手法だが、猫での系統的研究は限られていた。
猫が鏡に興味を示したり威嚇したりする行動は多くの飼い主が経験するが、これが「自分だと認識している」ことを意味するかは別問題だ。猫の認知科学はまだ発展途上であり、犬に比べて実験参加を得ることが難しいという課題もある。猫の内面世界を理解するための研究は今後さらに進むだろう。
📖 Animal Behavior and Cognition, 2025, 12(2)
🔗 https://www.animalbehaviorandcognition.org/uploads/journals/62/5%20Kim_Johns_ABC_12(2).pdf
🧠 行動・認知科学
9. 🧠 行動・認知科学
老齢猫の行動・認知変化評価ツールの開発——疾患に伴う行動変容を体系的に把握
📅 2025.05
老齢猫に多い変形性関節症(OA)、慢性腎臓病(CKD)、甲状腺機能亢進症、認知機能障害症候群(CDS)の4疾患に伴う行動変化を体系的に評価するツールの開発に関する研究。加齢に伴う微妙な行動変化は疾患の初期兆候であることが多いが、見過ごされやすい。
このツールにより、飼い主や獣医師が老齢猫の行動変化を早期に発見し、適切な介入につなげることが期待される。「最近遊ばなくなった」「ジャンプを避ける」「夜鳴きが増えた」などの変化は、単なる老化ではなく治療可能な疾患のサインかもしれない。7歳以上の猫は年2回の健康診断が推奨される。
📖 Applied Animal Behaviour Science, 2025
🔗 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1558787825001054
🧠 行動・認知科学
10. 🧠 行動・認知科学
犬の免疫系は概日リズムで変動——がん免疫療法のタイミング最適化への示唆
📅 2025.10.10
免疫系の機能が約24時間の概日リズム(体内時計)で変動することが、がん免疫療法の効果に影響する可能性が注目されている。ヒトの研究では、朝に免疫チェックポイント阻害剤を投与した患者は、午後の投与群より無増悪生存期間が約5ヶ月、全生存期間が約1年長いというデータが蓄積されている。
犬にも概日リズムが存在し、飼い主の生活リズムに同調することが知られている。Canine Cancer Alliance(犬がん同盟)は、「犬のがん治療においても時間生物学的アプローチが有効かもしれない」との展望を示している。まだ犬での厳密な臨床データは不足しているが、免疫療法の投与タイミングという新たな最適化の視点は今後の研究の重要なテーマだ。
📖 Frontiers in Immunology, 2026 / British Journal of Cancer, 2024
🔗 https://www.ccralliance.org/post/circadian-rhythm
🧠 行動・認知科学
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