🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.04.26
犬猫の腫瘍・がん関連ニュース&論文 計10件
🎗️ 腫瘍・がん関連ニュース — 2026.04.26
本日 10件
1. 🎗️ 医療・がん治療
バージニア工科大、犬の口腔腫瘍に「ヒストトリプシー集束超音波」初の臨床試験開始——熱・放射線・切開なしで腫瘍を機械的破砕
📅 2026.04.01
バージニア工科大学獣医学部の臨床試験チームが、犬の口腔腫瘍(口腔がん)に対するヒストトリプシー(histotripsy)集束超音波治療の臨床試験を開始した。Focused Ultrasound Foundationの2026年4月1日付ニュースレターで報じられたこの試験では、画像・細胞診・組織病理学的所見で口腔腫瘍と確認または推定された犬最大3頭をリクルートし、術前画像で患者ごとの治療計画を作成。標的腫瘍に超音波エネルギーを集束させ、熱を伴わずに機械的(音響キャビテーション)に組織を破砕する。
ヒストトリプシーは放射線・温熱・切開を必要としない第3の局所治療オプションで、口腔のように血管・神経が密集し外科切除が困難な部位での価値が大きい。ヒトでは肝臓がん向けに2023年FDA承認された手法で、本試験はヒトと犬の比較腫瘍学(comparative oncology)の最前線でもある。日本国内では未導入だが、難治性口腔腫瘍を抱える犬の飼い主にとって今後数年で渡米選択肢になり得る注目治療だ。
🎗️ 医療・がん治療
2. 🦴 研究・科学
Tufts大、犬リンパ腫の治療反応を「血液1滴」で予測——CD1E・CCL14の2遺伝子発現が長期生存と相関(2026年3月)
📅 2026.03.25
Tufts大学Cummings獣医学部の研究チームは、犬の多中心型リンパ腫における末梢血単核球の遺伝子発現解析から、治療反応性と長期生存を予測できる2つのバイオマーカー候補「CD1E」と「CCL14」を同定した。CD1Eは抗原提示分子としてT細胞によるがん認識を強化する役割を、CCL14はケモカインとして免疫細胞をがん局所に動員する役割を担う。両遺伝子の発現が高い犬ではCHOPプロトコル化学療法後の無増悪生存期間と全生存期間が有意に延長していた。
獣医腫瘍科では現在、リンパ腫のサブタイプ(B細胞・T細胞・大細胞・中細胞)と臨床ステージで治療プロトコルを決めるが、治療反応の個体差が大きく予後予測は難しい。本研究は侵襲性の低い採血検体だけで「化学療法が効きやすい犬・効きにくい犬」を治療開始前に層別化できる可能性を示した。今後の前向き検証次第で、骨髄抑制リスクを許容する集中治療と緩和的アプローチの選択を明確化する診断ツールへと発展しうる。
🔗 https://now.tufts.edu/2026/03/25/simple-blood-tests-may-predict-response-lymphoma-treatment
🎗️ 研究・科学
3. 💊 医療・がん治療
OS Therapies「OST-HER2」がフェーズ2b主要評価項目を達成——犬の未切除骨肉腫の5/15頭が500日超生存、ヒト適応も視野に(2026年3月)
📅 2026.03.27
OS Therapies社(NYSE: OSTX)は2026年3月27日、骨肉腫の再発・完全切除済・肺転移症例を対象とするOST-HER2のフェーズ2b臨床試験で、12ヶ月無イベント生存率(EFS)の主要評価項目を統計学的に有意な差で達成したと発表した。OST-HER2はリステリア・モノサイトゲネス菌を生物工学的に改変したワクチンで、HER2陽性がん細胞に対する強力な細胞傷害性免疫応答を誘導する。FDA・MHRA・EMA・豪TGAとの面談を確保し、グローバル第3相試験のデザイン協議に入る段階に到達した。
並行して、犬の未切除原発骨肉腫症例で放射線療法とOST-HER2を併用した試験では、15頭中5頭が500日を超える生存と原発腫の臨床・画像的進行停止、肺転移発症遅延を示した。USDAからは犬の骨肉腫向けに条件付き承認済みであり、今後は動物医薬子会社「OS Animal Health」を通じた商用化が進む。骨肉腫は犬の死因上位を占める難治性がんで、四肢温存手術と組み合わせた標準治療オプションになる可能性を秘める。
🎗️ 医療・がん治療
4. 🦴 研究・科学
犬の血管肉腫に「PIK3CA変異」が免疫システムを撹乱する——フロリダ大が遺伝子変異と免疫回避メカニズムの直接連関を解明(MyVetCandy, 2026年1月)
📅 2026.01.06
フロリダ大学獣医学部・UF Health Cancer Centerの共同研究チームは、犬の血管肉腫(hemangiosarcoma)におけるPIK3CA遺伝子変異が免疫システムのシグナル伝達を撹乱し、腫瘍の増殖と転移を許容する直接メカニズムを解明したと発表した。血管肉腫は脾臓・心臓・肝臓に発生する急速進行型の悪性腫瘍で、ゴールデンレトリバー・ジャーマンシェパード・ロットワイラー・フラットコーテッドレトリバーを中心に発生率が高く、診断時に多くの個体で転移が成立しており5年生存率は10%未満と極めて予後不良。
本研究はPIK3CA変異のあるがん細胞が免疫回避シグナルを発信し、宿主免疫ががん細胞を「異物」として認識する能力を低下させていることをin vitro/in vivo で実証した。実用面の意義として、ヒトのがん治療で使われるPI3K阻害薬・ラパマイシン(mTOR阻害薬)が、PIK3CA変異を持つ犬の血管肉腫に有効である可能性が示唆された。早期発見が困難な血管肉腫に対し、遺伝子検査で治療反応性を層別化する精密医療への道が開かれた。
🎗️ 研究・科学
5. 💊 医療・がん治療
Laverdia(ベルジネクサー)FDA本承認——犬リンパ腫向けの初の経口分子標的薬、自宅服薬で治療QOL向上
📅 2026.02.10
FDAは2026年初頭、Laverdia(一般名:verdinexor、ベルジネクサー)の犬リンパ腫適応に対する完全承認(full approval)を付与した。Laverdiaはエクスポーチン1(XPO1)阻害剤として、腫瘍抑制タンパク質の核外輸送を阻止し腫瘍増殖を停止させる経口薬。これまで犬リンパ腫の標準治療は静脈注射のCHOP系プロトコル中心だったが、Laverdiaは自宅で服用できるため通院頻度が大幅に減り、化学療法の副作用や麻酔リスクを避けたい飼い主にとって新たな選択肢となる。
注射薬Tanovea(rabacfosadine)と並ぶ「分子機構別」治療として、犬リンパ腫の治療パラダイムを「ヒト型のオーダーメイド医療」へ近づける節目となった。臨床研究では難治性・再発性リンパ腫での部分奏効・安定化が確認されており、CHOP療法後のメンテナンス・救援治療として位置づけられる。日本国内未承認だが、米国の動物腫瘍科では既に頻用されている。
🔗 https://oncodaily.com/oncolibrary/dog-lymphoma-treatment
🎗️ 医療・がん治療
6. 🔬 研究・科学
犬腫瘍が「マクロファージ」を味方に変えるメカニズム解明——エクソソームVEGF・CCL3が組織球肉腫の悪性度を駆動(PLoS One, 2026年4月)
📅 2026.04.24
PLoS One 2026年4月24日号に、犬が5腫瘍型(組織球肉腫・骨肉腫・リンパ腫・乳腺腫瘍・脂肪細胞腫)における腫瘍関連マクロファージ(TAM)の極性化とゲノム特性を解析した研究が発表された。研究チームは、腫瘍細胞由来エクソソームに含まれるVEGFがTAMをM2型(がん促進型)に分極するメカニズムを犬腫瘍で初めて報告。さらに、組織球肉腫特異的なドライバーとしてCCL3がTAMからのTNF-α分泌を誘導し、悪性度を上げることを示した。
組織球肉腫はバーニーズ・マウンテンドッグ・ロットワイラー・フラットコーテッドレトリバーで好発する難治性がんで、診断時には多くの個体で全身播種している。TAMを標的とする治療(CCL3阻害薬・エクソソーム放出抑制剤など)は、がん細胞そのものではなく「腫瘍微小環境」を狙うアプローチとして注目され、今後の創薬リード化合物探索が加速する。比較腫瘍学の枠組みでヒト悪性線維性組織球腫の治療開発にも貢献する研究だ。
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42030266/
🎗️ 研究・科学
7. 🧬 研究・科学
Morris Animal財団、2026年新規助成プロジェクトを発表——「がんを退治する細菌」と脂肪細胞腫の精密免疫療法に資金提供
📅 2026.03.20
Morris Animal Foundationは2026年新規助成として、犬のがん研究に2件の革新的プロジェクトを採選した。1件目はミシガン州立大学Christopher H. Contag博士による「がん細胞内に侵入してがん殺傷タンパク質を直接送達する人工細菌」の開発で、組織球肉腫を主標的とする。健康な細胞には影響を与えず、がん細胞内でだけ作用するよう設計された細菌は、化学療法に代わる新世代治療の候補となる。2件目は犬の脂肪細胞腫(皮膚に最頻発するがん)に対する標的免疫療法(ヒト腫瘍学で確立しつつある手法を犬に応用)で、副作用を抑えつつ転移症例にも有効な治療を目指す。
両プロジェクトと並2026年初頭に開始され、3~5年の研究期間で前臨床から早期臨床試験までを進める計画。Morris Animal Foundationは年間1,000万ドル超を犬猫健康研究に投じる世界最大の動物健康財団のひとつで、過去にはDog Aging Project(DAP)の一部試験にも資金提供してきた。研究結果はオープンアクセスで公表され、獣医腫瘍科の臨床ガイドラインに反映される見込み。
🔗 https://www.morrisanimalfoundation.org/article/new-canine-health-studies-2026
🎗️ 研究・科学
8. 🦠 研究・科学
犬の自然発生がんが「上皮間葉転換」研究の最良モデル——乳腺・前立腺・扁平上皮・尿路上皮がんを統合解析(Frontiers Vet Sci, 2026年4月)
📅 2026.04.20
Frontiers in Veterinary Science 2026年4月20日号に、犬の4種腫瘍(乳腺癌・前立腺癌・扁平上皮癌・尿路上皮癌)における上皮間葉転換(EMT/epithelial-mesenchymal plasticity)を統合的にレビューした論文が掲載された。EMTは上皮性がんが運動性・浸潤性を獲得して転移する核心的な分子過程で、ヒト腫瘍学で重要な治療標的とされる。著者らは犬の自然発生腫瘍が、(1)保存された分子メカニズム、(2)類似した環境・免疫曝露、(3)現実的な腫瘍不均一性——を併せ持ったため、「マウス実験モデルでは再現できないヒト型がんの転移過程を理解する最良のモデル」であると結論づけた。
実用的意義として、犬の腫瘍症例の分子解析を進めることで、ヒト・犬両方への新薬開発(特に抗転移療法)が加速する。日本でも犬の自然発生がん症例を対象とした臨床試験は東京大学・北海道大学・日本動物高度医療センターなどで進行中で、One Health(人獣共通医療)の枠組みで動物福祉と人医療の両方に貢献する研究として注目される。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1802457/full
🎗️ 研究・科学
9. 🐕🦺 医療・がん治療
Purdue大とAkston Biosciences、犬の膀胱がんに「抗cPD-L1モノクローナル抗体」初投与——10歳のシェルティ”Millie”が第1号患者
📅 2025.12.10
Purdue大学獣医学部とAkston Biosciences は共同で、犬の尿路上皮癌(移行上皮癌=TCC)に対する抗canine PD-L1モノクローナル抗体の臨床試験を開始し、2025年12月10日に第1号患者となった10歳のシェットランドシープドッグ”Millie”への投与を完了したと発表した。膀胱に発生するTCCは、犬のがん罹患数で上位を占める難治性悪性腫瘍で、根治切除が困難であり、現在の治療は非ステロイド系抗炎症薬(ピロキシカム)と化学療法(カルボプラチン・ミトキサントロン)の組み合わせに依存している。
抗cPD-L1抗体はがん細胞が免疫から逃避するためのチェックポイントを遮断し、T細胞ががん細胞を再認識・攻撃できるようにする免疫チェックポイント阻害薬。ヒトのがん治療では既に承認されているが、犬でのチェックポイント阻害薬 臨床試験は世界的にも先駆け的な取り組み。試験結果次第では、犬TCCの予後を大きく変えうる初の免疫療法選択肢となる。日本でもスコッティッシュテリア・ビーグル・シェルティで好発するため、結果を注視したい。
🎗️ 医療・がん治療
10. 🐱 研究・科学
EveryCat Health Foundation「Feline Healthy Aging」シンポジウム開催——猫の老化と腫瘍の関係を最新研究で総覧(2026年4月11-12日)
📅 2026.04.12
EveryCat Health Foundation主催のシンポジウム「Health Breakthroughs for EveryCat: Feline Healthy Aging」が2026年4月11-12日、ノースカロライナ州立大学獣医学部にて開催された。シニア期に入る猫(10歳以上)で罹患率が急増する腫瘍——リンパ腫・乳腺癌・口腔扁平上皮癌・甲状腺腫瘍——を中心に、エイジング科学(geroscience)の観点から「腫瘍発症を加速する細胞老化メカニズム」「免疫加齢(immunosenescence)と腫瘍監視能力低下」「セノリティクス薬の前臨床応用」が議論された。
注目発表として、モリス財団・Cornell大学・コロラド州立大学など複数機関の臨床試験データが共有され、(1)老齢猫における腫瘍早期検出のための血液マーカー、(2)軽度の免疫療法とNAD+前駆体(NMN・NR)の併用試験、(3)猫の口腔扁平上皮癌に対する放射線+免疫チェックポイント阻害薬の併用試験——などが報告された。猫医療は犬医療より研究予算・症例数で劣後する分野とされてきたが、2026年は猫腫瘍学の専門化が加速する転換年と位置づけられる。
🔗 https://everycat.org/events/2026-feline-healthy-aging-symposium/
🎗️ 研究・科学
🎗️ 犬猫腫瘍ニュース | all-i-need-are-dogs.blog

コメントをどうぞ