📚 犬猫 研究論文 — 2026.04.27

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📚 犬猫 研究論文 — 2026.04.27

注目論文 5件


1. 🧠 行動・認知科学

犬の「ヒトに向けた社会的動機」は単一の構造ではない――104頭で社会的志向・報酬・維持の3側面を検証、Scientific Reports 2026

📅 2026.01.19

スペイン Complutense大学・コンプルテンセ大学のBoada らは、家畜化過程で犬がヒトとの社会的交流に対する動機を強く選択されてきたという仮説を検証するため、104頭の家庭犬に「社会的志向(social orienting)」「社会的報酬(social reward)」「社会的維持(social maintaining)」の3側面を測定するバッテリー試験を実施した。これら3側面は同一の社会的動機構造の現れと予測されたが、結果は予測と整合しないものだった。

各検査間の相関は限定的または逆方向であり、これは「社会的動機」が単一の構造ではなく、複数の異なる動機メカニズムが協働している可能性を示唆する。あるいは、検査自体が個体差を十分に捉えられなかった可能性もある。家庭犬の社会的行動を「飼い主への忠誠」のような一枚岩で語ることが、犬の心理を矮小化していたかもしれない、という示唆を与える研究である。今後、より洗練された検査設計と神経科学的アプローチで「犬がなぜヒトを好きなのか」がより精密に解明される可能性がある。

📖 Scientific Reports, 2026, 16:4649

🔗 https://www.nature.com/articles/s41598-025-34929-w

🧠 行動・認知科学


2. 🐺 獣医学・栄養学

獣医内分泌学の用語を統一する「ALIVE」プロジェクト、甲状腺機能亢進・低下症と糖尿病性ケトーシス/ケトアシドーシスの定義を策定――Vet Sciences 2026

📅 2026.01.30

獣医内分泌学者の国際チームによる「Agreeing Language in Veterinary Endocrinology(ALIVE)」プロジェクトが、改訂版Delphi法ベースの合意システムを使って、甲状腺機能低下症・甲状腺機能亢進症・血糖正常型糖尿病性ケトーシス/ケトアシドーシス・糖尿病寛解の標準定義を策定した。これまで犬猫の内分泌疾患の用語は施設・国・著者によってばらつきがあり、研究比較や臨床コミュニケーションに支障をきたしていた。

今回の合意定義はクッシング症候群・副腎皮質機能低下症・コンパニオンアニマル糖尿病の以前の定義を更新する形で発表され、今後は診断の一貫性、研究の比較可能性、臨床ケアの質の向上に直接寄与すると期待される。日本の獣医療現場でも、診断書の書式・カルテ記載の標準化、専門診療への紹介プロトコル、飼い主向け説明資料の整備に活用可能な内容で、特に複数の動物病院をまたぐセカンドオピニオンや遠隔診療で「同じ言葉で診断と治療を語れる」ことの恩恵は大きい。

📖 Veterinary Sciences, 2026, 13(1):35

🔗 https://www.mdpi.com/2306-7381/13/1/35

🐺 獣医学・栄養学


3. 🐺 獣医学・栄養学

犬の角膜潰瘍に対する「抗コラゲナーゼ療法」レビュー――MMP・コラゲナーゼ阻害薬の機序と臨床応用を整理、Vet Ophthalmology 2026

📅 2026.03.01

犬の角膜潰瘍は進行性融解(”melting ulcer”)を起こすと数時間〜数日で角膜穿孔に至る重篤な眼科緊急疾患である。本論文は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)やコラゲナーゼなどタンパク分解酵素活性が病態に及ぼす役割を整理し、抗コラゲナーゼ療法(自家血清・テトラサイクリン系・EDTA・N-アセチルシステインなど)の作用機序と臨床有効性をナラティブレビューとして総括した。

各薬剤・調製物の最適濃度・投与頻度・併用パターン、薬効発現までの時間、副作用プロフィールが具体的に整理されており、初級〜中級獣医師の眼科診療に直接活用できる実用的内容となっている。日本ではブラキセファリック犬種(フレンチブルドッグ・パグ・シーズー等)の角膜潰瘍が増加傾向にあり、本レビューが提示する「進行を止めるための初期48時間プロトコル」は、かかりつけ獣医師との情報共有資料としても価値が高い。

📖 Veterinary Ophthalmology, 2026

🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41641649/

🐺 獣医学・栄養学


4. 🐺 獣医学・栄養学

猫の肥大型心筋症(HCM)における血清カルニチンプロファイル――心筋エネルギー代謝の変化を示すパイロット研究、J Vet Med Sci 2025(J-STAGE)

📅 2025.12.27

東京大学・農業大学・日本獣医生命科学大学などのチームによる、Journal of Veterinary Medical Science掲載のパイロット研究(J-STAGE公開)。前臨床的肥大型心筋症(pre-clinical HCM)と診断された複数頭の猫から血清を採取し、HPLC-MS法で総カルニチン・遊離カルニチン・短鎖/中鎖/長鎖アシルカルニチンのプロフィールを定量解析した。

結果、前臨床HCM群では総カルニチンと遊離カルニチンが対照群と比較して有意に低下し、特定の長鎖アシルカルニチンが上昇する傾向が確認された。これは心筋ミトコンドリアにおけるβ酸化障害とエネルギー代謝の不均衡を示唆し、HCMの早期検出バイオマーカーとしての可能性を持つ。HCMは日本の家猫で最も頻度の高い心臓病で、メインクーン・ラグドール・ペルシャ等の好発品種では一般家庭猫を含めて30%程度の保有率があるとされる。エコー検査前の血液スクリーニング指標として実用化されれば、無症状期の早期介入につながる可能性がある。

📖 Journal of Veterinary Medical Science, 2025, 87(1)

🔗 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms/87/1/87_24-0171/_article/-char/ja/

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5. 🐺 獣医学・栄養学

英国紹介病院での猫の神経疾患――VITAMIN-D分類による病因分布と神経解剖学的局在の網羅解析

📅 2026.01.29

英国の獣医紹介病院における猫の神経疾患(calc neurological disease)の臨床診断、神経解剖学的局在、VITAMIN-D(Vascular, Inflammatory, Trauma/Toxic, Anomalous, Metabolic, Idiopathic, Neoplastic, Degenerative)分類による病因分布を網羅的に解析した後方視的研究。猫の神経疾患は犬と比較して報告例が限られ、発症パターンや好発年齢・品種についての疫学データが乏しかった。本研究はその空白を埋めるためにデザインされた。

結果、最も多い病因はNeoplastic(腫瘍性)、次いでInflammatory(炎症性)、Vascular(血管性)の順で、神経解剖学的局在は前脳病変が最も多く、続いて多嚢性病変、脊髄病変の順だった。年齢別では中高齢の猫で腫瘍性病因が顕著に多く、若齢猫では炎症性疾患が優位だった。日本の動物病院でも、けいれん・行動変化・歩行異常など神経症状を呈した猫の鑑別診断ルートを最適化する基礎データとして有用で、紹介医療への適切なエスカレーションに寄与する。

📖 Journal of Feline Medicine and Surgery / PubMed, 2026

🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41159676/

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