🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.05.08

🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.05.08

犬猫の腫瘍・がん関連ニュース&論文 計7件


🎗️ 腫瘍・がん関連ニュース — 2026.05.08

本日 7件


1. 🏥 医療・腫瘍QoL

Veterinary and Comparative Oncology、化学療法を受ける犬の「QoL指標」を飼い主が報告できる質問票(PRO)を世界で初めて開発・検証(V&CO 2026年Vol.24 Issue 1)

📅 2026.04.27

英ノッティンガム大学のHarrisらは、化学療法を受ける犬のQoL(Quality of Life)と臨床徴候を「飼い主が日常的に報告できる」標準質問票(Patient-Reported Outcome、PRO)を開発し、Veterinary and Comparative Oncology誌2026年Vol.24 Issue 1(オンライン2026年4月27日)に発表した。質問項目は活動性、食欲、嘔吐、下痢、体調、社会的関わりなど15項目で構成され、214頭の化学療法を受ける犬の飼い主にテストした結果、内部一貫性・信頼性・治療反応性のいずれも高い指標が得られた。獣医師の診察時には見落とされがちな副作用や日常QoLの変化を、客観的に記録・追跡できるツールとなる。

がん治療を受ける犬の「治療継続の判断」は、これまで獣医師の主観と飼い主の漠然とした「元気がない」報告に依存しがちだった。今回のPRO質問票は、毎週1回の自宅入力で「副作用が一定閾値を超えたら獣医師に連絡」という運用が可能になり、緊急受診の遅れを防ぐと同時に「QoLが許容範囲内なら治療継続」という客観判断もしやすくなる。日本の動物病院でも採用が進めば、化学療法のグレード分類(VCOG-CTCAE)と組み合わせて、より個別化された化療プロトコル調整につながる可能性がある。

📖 Veterinary and Comparative Oncology, 2026, 24(1)

🔗 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/vco.70028

🏥 医療・腫瘍QoL


2. 🏥 医療・がん治療

Virginia Tech ACCRC、猫の多中心型リンパ腫に「半身放射線療法(HBRT)+化学療法」併用で寛解5ヶ月継続——Petco Loveの支援で実現した症例「ピギー」報告

📅 2026.03.18

バージニア工科大学動物がんケア研究センター(Virginia Tech ACCRC)は、首に大きな腫瘤を持つ猫「ピギー(Piggy)」に対して、Petco Love基金の支援を受け「腫瘤の外科切除→半身放射線療法(Half-Body Radiation Therapy/HBRT)+化学療法」の併用プロトコルを実施し、治療開始から5ヶ月近く完全寛解状態を維持していると2026年3月に報告した。HBRTは身体の半分(前半身または後半身)を一度に低線量で照射する手法で、CHOPなど多剤化学療法に追加することで全身性リンパ腫の治療強度を高めることが期待される。猫リンパ腫は犬と比べて寛解導入後の再発率が高く、化学療法のみでは長期寛解達成率が30〜40%に留まることが課題だった。

HBRTは人医療では晩期副作用への懸念から限定的にしか使われていないが、獣医療では「治療期間が短い」「来院回数が少ない」「副作用が比較的軽い」というメリットから、特に首〜胸部に巨大腫瘤を持つ症例で注目されている。日本国内でもVarian Edge等の高精度照射装置を持つ獣医放射線治療施設は増えており、猫リンパ腫の治療オプションとしてHBRTが組み合わせられる事例が今後増える可能性がある。「化学療法だけでは効きが悪い」と感じている飼い主は、最寄りの獣医放射線治療施設に相談する価値がある。

🔗 https://news.vt.edu/articles/2026/03/vetmed-accrc-success-story-piggy.html

🏥 医療・がん治療


3. 🧬 研究・科学

犬猫T細胞性リンパ腫の鑑別診断に「TRBC1/TRBC2 RNA in situ hybridization」が有効——PCRクローナリティに代わる新手法、感度・特異度を実証(MDPI Vet Sci 2026年3月28日)

📅 2026.03.28

イタリア・ピサ大学の獣医病理学チームは、犬猫T細胞性リンパ腫の確定診断における新たな組織学的アプローチとして「TRBC1/TRBC2 RNA in situ hybridization(ISH)」のproof-of-concept研究を、MDPI Veterinary Sciences誌(2026年4月号、Anatomy・Histology・Pathology Section)に発表した。T細胞受容体βチェーンの2つのバリアント(TRBC1とTRBC2)の3’非翻訳領域(3′ UTR)配列の差異を利用し、BaseScope™ ISHプローブで両者を区別。クローナルなT細胞集団(=リンパ腫)では片方のTRBC遺伝子のみが発現するという原理を活用し、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本での検出に成功した。

従来のT細胞性リンパ腫の確定診断はPCR-based clonality assay(PARR検査)に依存していたが、感度・特異度ともに不安定で、特に検体劣化や腫瘍細胞密度が低いケースでは偽陰性が多発していた。本ISH手法は組織形態を保ったまま分子レベルでクローン性を評価できるため、診断精度の大幅向上が期待される。日本国内の獣医病理ラボでも、BaseScope™プラットフォームを導入する施設が増えれば、犬猫T細胞性リンパ腫の早期確定診断と治療プロトコルの最適化が進む。

🔗 https://www.mdpi.com/2306-7381/13/4/330

🧬 研究・科学


4. 🧬 研究・科学

MDPI Life誌、「犬猫の比較癌遺伝学・治療学のSpecies-Aware Framework」を提唱——TP53・HER2・EGFR・PD-L1がヒト腫瘍学とのトランスレーショナル架け橋に(2026年3月)

📅 2026.03.10

国際共同チームによる総説論文がMDPI Life誌(2026年3月号、Vol.16 Issue 3)に掲載され、犬・猫・ヒトの3種を横断する比較癌遺伝学・治療学の「Species-Aware Framework(種特異性を意識したフレームワーク)」を提唱した。論文は犬猫が自然発生する腫瘍(spontaneous tumor)はヒト悪性腫瘍と組織病理学・分子変異・腫瘍微小環境・治療応答性において深い類似性を示し、TP53、HER2、EGFR、PD-L1などの主要分子標的が3種で保存されていることを体系的に整理。これに基づき、犬猫がヒト腫瘍学のバイオマーカー発見・薬剤スクリーニングのトランスレーショナルプラットフォームとして機能する根拠を示している。

特に注目されるのは、犬の自然発生腫瘍がマウスモデルよりも「ヒトに近い」治療応答パターンを示す事例(HER2陽性犬骨肉腫、PD-L1陽性犬尿路上皮癌など)が増えており、ヒト用候補薬の前臨床試験を「犬の腫瘍患者で実施する」比較腫瘍学クリニカルトライアル(COTC)の意義が再評価されている点だ。日本でも比較腫瘍学を推進する大学獣医腫瘍センター(東大、麻布大、日獣大、北里大等)の連携強化が今後の鍵となる。

📖 Life (MDPI), 2026, 16(3)

🔗 https://www.mdpi.com/2075-1729/16/3/430

🧬 研究・科学


5. 🏥 医療・がん治療

Colorado State University、犬の高悪性度神経膠腫に「CAR-T細胞療法+verdinexor(Laverdia)併用」のフェーズ1臨床試験を募集中——犬の脳腫瘍ではCAR-Tの初導入

📅 2026.04.15

コロラド州立大学Brain Research Centerは、犬の高悪性度神経膠腫(high-grade glioma)に対して、患者自身のT細胞を改変したキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)と、Anivive Lifesciencesの抗腫瘍薬verdinexor(商品名Laverdia™、犬リンパ腫に2026年FDA本承認)を併用するフェーズ1臨床試験の被験犬を募集中である。CAR-T療法はヒトでは血液腫瘍に対して革命的な治療効果を上げているが、固形腫瘍(特に脳腫瘍)では血液脳関門・腫瘍微小環境の壁を超えて効果を発揮させる課題がある。本試験は犬の脳腫瘍では世界初のCAR-T導入で、verdinexorとの併用で腫瘍細胞のXPO1依存性経路を遮断し、CAR-T効果を最大化する戦略。

犬の神経膠腫はボクサー、ボストン・テリア、ブルドッグなど短頭種に多発するアグレッシブな脳腫瘍で、現状の標準療法(外科+放射線)では生存期間中央値が6〜12ヶ月程度に留まる。本臨床試験はCSUと米国比較腫瘍学トライアルコンソーシアム(COTC)の連携で進行し、ヒト膠芽腫(GBM)への直接的な転用も視野に入れる。日本国内でCAR-Tの獣医応用は黎明期だが、東大獣医・麻布大などの一部施設で前臨床研究が進んでおり、本試験の成果は国内導入の試金石となる。

🔗 https://labs.vetmedbiosci.colostate.edu/brain-research-center/clinical-trials/canine-glioma-brain-tumor-immunotherapy-car-t-cell-and-chemotherapy-verdinexor-trial/

🏥 医療・がん治療


6. 🏥 医療・がん治療

Flint Animal Cancer Center、犬骨肉腫の「肺転移阻止」にFAK阻害薬+ロサルタン+トセラニブの併用療法——NIHのMERIT賞(R37)獲得で多施設大規模試験へ

📅 2026.02.20

コロラド州立大学Flint Animal Cancer Center(FACC)のDr. Dan Reganは、米国国立衛生研究所(NIH)から「MERIT Award(R37)」を獲得し、犬の転移性骨肉腫に対するFAK(focal adhesion kinase)阻害薬の併用療法を本格化する。FAKシグナル経路は腫瘍細胞だけでなく、腫瘍微小環境の線維芽細胞(CAFs)でも過活性化しており、肺転移を促進する免疫抑制マクロファージを呼び込むフィードフォワードループを形成している。Regan博士の戦略は、すでに評価が進んでいるロサルタン+トセラニブ(Palladia)の併用療法に、FAK阻害薬を追加し、線維芽細胞由来の転移促進シグナルを断ち切ることを目指す。

トライアルは米国比較腫瘍学トライアルコンソーシアム(COTC)の責任者Dr. Amy LeBlanc(NCI)と連携し、約75頭の犬骨肉腫患犬を対象に多施設で実施予定。1年以内に試験開始の見通しで、犬での結果はヒト小児・若年成人骨肉腫のFAK阻害薬臨床試験設計に直結する。日本国内では犬骨肉腫の標準療法(断脚+カルボプラチン化療)後の肺転移率が依然70%超と高く、Regan博士のアプローチが成功すれば、日本の犬骨肉腫患者にも比較的近い時期に新オプションが届く可能性がある。

🔗 https://www.csuanimalcancercenter.org/focal-adhesion-kinase-fak-inhibition/

🏥 医療・がん治療


7. 🏥 医療・がん治療

Cornell Riney Canine Health Center、トラメチニブ(MEK阻害薬)が犬の口腔扁平上皮癌(OSCC)に有効——20頭の臨床試験で部分奏効30%、BRAF p.V595E変異犬は奏効率57%(Veterinary Oncology 2025年11月)

📅 2025.11.15

コーネル大学Riney Canine Health CenterがVeterinary Oncology誌(Springer Nature、2025年11月)に発表した臨床試験では、犬の口腔扁平上皮癌(OSCC)20頭に対して、ヒトでBRAF変異悪性黒色腫に承認されているMEK阻害薬「トラメチニブ」を経口投与(0.015〜0.035 mg/kg/日、8週間)し、客観的奏効率(CR+PR)30%、病勢安定(SD)追加で計55%の制御率を確認した。特にBRAF p.V595E変異を持つ7頭では、CR1頭(14%)、PR4頭(57%)、SD1頭(14%)と高い奏効率を示し、変異プロファイルを基準とする「層別化治療」の可能性を実証。副作用は軽度で、外来管理で対処可能だった。

犬OSCCは積極的な腫瘍で標準療法(外科+放射線)でも進行性のケースが多く、特に乳頭状サブタイプは予後不良。トラメチニブはヒトでは経口可能な分子標的薬として既に承認されており、犬への適応外使用が今回の試験で「BRAF変異検査による患者選別+分子標的療法」という比較腫瘍学の新パラダイムを示した。Cornell Hospital for Animalsでは現在、フェーズ2の患者層別化試験で被験犬を25頭まで募集中。日本国内では麻布大学・日獣大の獣医腫瘍科でMEK阻害薬の症例検討が始まる可能性がある。

📖 Veterinary Oncology, 2025, 1(42)

🔗 https://link.springer.com/article/10.1186/s44356-025-00042-3

🏥 医療・がん治療


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