🐾🐱 犬猫ニュース — 2026.05.10
犬4 + 猫2 = 計6件
🐾 犬ニュース — 2026.05.10
本日 4件
1. 🐕 犬学
「人と犬は1万5,800年前から共に暮らしていた」——英ゴフズ・ケーブとトルコ・ピナルバシュの2遺跡から、農耕誕生より5千年早い「最古の家畜犬」DNA証拠
📅 2026.03.18
ロンドン大学(UCL)ら国際チームが、英ゴフズ・ケーブとトルコ・ピナルバシュ岩陰遺跡で発見された動物骨の古代DNAを解析し、約1万5,800年前のこれらの骨が「これまで知られていた最古の家畜犬」より5,000年以上古い、後期旧石器時代の家畜犬の物理的証拠であると確認した(Nature 2026年3月18日)。DNA上、これらの古代犬は現代のシベリアン・ハスキーよりも、現代の欧州・中東犬種(ボクサー、サルーキなど)の祖先により近かった。さらにピナルバシュでは犬の食事に「魚」が多量に含まれており、当時の人類と同じものを食べていた可能性が高い。
中央アナトリアのボンジュクル遺跡では、子犬が人間の子どもと一緒に埋葬されている証拠も見つかり、犬と人の親密な関係が、農耕が始まる遥か以前から確立されていたことを物理的に示した。意義:現代犬の起源論争に決定打を与える発見であり、犬の家畜化が「狩猟・労働パートナー」から始まったのか、それとも初めから「コンパニオン」として迎えられたのかという問いに、新しい視点を投げかける。日本でも縄文時代の人骨と犬骨の同墓副葬例が知られており、人と犬の関係性の普遍性を改めて感じさせる成果。
🔗 https://www.ucl.ac.uk/news/2026/mar/humans-kept-dogs-5000-years-earlier-thought
2. 🏥 医療・疾病・予防
英ロイヤル・ケンネル・クラブ、Crufts2026から「短頭種BOAS Grade 2/3犬の出陳を全面禁止」——ブルドッグ・パグ・フレンチブルの呼吸障害を事実上の出陳基準に格上げ、6月にはRFG検査制度に14犬種を追加
📅 2026.02.18
英国ロイヤル・ケンネル・クラブ(RKC)は、Crufts 2026から、短頭種気道閉塞症候群(BOAS)の臨床評価で「Grade 2」または「Grade 3」と判定されたブルドッグ・フレンチブルドッグ・パグの出陳を一律で禁止する新ルールを導入した。あわせて、ケンブリッジ大学と共同で運用するRFG(Respiratory Function Grading)スキームの対象を、ボクサー、ボストンテリアなど14の追加犬種に6月から拡大すると発表。Crufts会場での無料BOAS検査が受けられる対象犬種が大幅に増える。さらにRKCはAPGAW(議会動物福祉グループ)と共同で「Innate Health Assessment(IHA)」と呼ばれる包括的健康評価制度を立ち上げ、繁殖犬の「機能的健康」への回帰を促す。
意義:短頭種の極端化された外見が呼吸困難・熱中症・睡眠時無呼吸など深刻な健康問題を引き起こすことは長年指摘されてきたが、世界最大級のドッグショーが「呼吸できない犬はリングに上げない」という事実上の血統判断基準を導入したインパクトは大きい。日本でもフレンチブルドッグやパグの人気は高く、繁殖犬選定や健康診断時にBOAS評価を取り入れる動きが広がる可能性がある。気になる飼い主は、かかりつけ獣医師に「BOASグレード評価」の実施可否を相談し、必要なら気道改善手術の専門医を紹介してもらおう。
3. 🧬 研究・科学
ペンシルベニア大、スタンダードプードルの「日盲+網膜変性」を引き起こす大規模遺伝子欠失を特定——SPATA7とPTPN21を一気に削除する構造変異、機能喪失の真犯人はSPATA7(PLOS Genetics 2026)
📅 2026.04.30
ペンシルベニア大学獣医学部のVision Studies Labチームは、スタンダードプードルに散発的に発症する早発型「錐体‐桿体ジストロフィ(cone-rod dystrophy)」、いわゆる「日盲(day blindness)+網膜変性」の原因遺伝子を特定した。原因はSPATA7とPTPN21という隣接する2つの遺伝子を一度にまとめて削除する大規模な構造変異(structural variant)。マウスのノックアウトモデルでPTPN21単独の欠失では網膜機能が保たれることを示し、最終的に視覚消失を引き起こす真犯人はSPATA7であると確定した(PLOS Genetics 2026年4月)。罹患犬の光受容体細胞では、本来繊毛部に局在するSPATA7タンパク質が完全に消失していた。
意義:SPATA7はヒトの「Leber先天性黒内障」や「若年型網膜色素変性」の原因遺伝子としても知られており、犬は将来の遺伝子治療開発の貴重な臨床モデルとなる。眼科獣医療においても、若いプードル系犬種で「明るい場所での歩行が下手」「日中だけ目をしょぼつかせる」といった症状があれば、まず網膜電図(ERG)と専門眼科診を受けることが重要。プードル系の繁殖を行うブリーダーは、繁殖前のSPATA7変異検査を「次の標準的な遺伝子スクリーニング」として認識しておきたい。日本のJKC登録血統でも輸入精液・繁殖犬経由で変異が広がる可能性があるため、検査体制の早期整備が望まれる。
4. 🏥 医療・疾病・予防
NC州立大Olby博士ら国際ワーキンググループ、犬の認知症(CCDS)診断・モニタリング世界統一ガイドラインをJAVMAに発表——「7歳から定期スクリーニング、10歳以降は半年毎にCCDSスケール」
📅 2025.12.24
ノースカロライナ州立大学のNatasha Olby博士が主導する国際ワーキンググループ(米・英・欧・カナダの獣医神経科・認知科学・行動学の専門家で構成)が、犬の認知機能不全症候群(Canine Cognitive Dysfunction Syndrome=CCDS、いわゆる「犬の認知症」)の診断・モニタリングに関する世界初の統一ガイドラインをJAVMA(米国獣医学会誌、2025年12月24日)に発表した。レベル1診断は「DISHAA徴候(見当識障害/社会的相互作用変化/睡眠覚醒変化/house-soiling/活動性変化/不安)の進行的悪化」と「他疾患の除外」「合併症管理後も症状残存」に基づき、レベル2は脳MRIで皮質萎縮かつCSF(脳脊髄液)細胞数正常の確認を加える。
モニタリング推奨は「7歳前後から定期シニア犬調査で認知変化をスクリーニング、行動異常があれば詳細なCCDSスケールに移行し半年毎に再評価。10歳以上は無症状でも全頭で半年毎にCCDSスケール実施」。意義:これまで「老化現象」として見過ごされがちだった犬の認知症を、人間の認知症と同様「早期介入可能な臨床疾患」として位置づけ直す画期的なステップ。日本でも犬の長寿化が進む中、シニア犬を持つ飼い主は7歳を一つの目安に、夜泣き・徘徊・トイレの粗相・呼びかけへの無反応・好物への興味喪失などの「DISHAA徴候」をチェックリスト化して獣医師に伝える習慣をつけたい。早期発見で食事・サプリ・環境エンリッチメント・薬物療法など複数の介入オプションが選べる。
💡 今日のワンポイント
今日のニュースは「犬と人の関係性の歴史的な深さ」と「犬の健康・福祉を測る科学の新しいモノサシ」が大きなテーマ。1万5,800年前から共に暮らしてきた相棒たちに対して、いま私たちが返せる最も大きな贈り物は「呼吸できる体」「見える目」「最後まで家族を覚えている脳」を、繁殖と医療の力で守り続けることだろう。シニア犬を持つ方は7歳・10歳の節目に、短頭種の方はBOASグレード評価を、プードル系をお迎えする予定の方はSPATA7検査を——どれもかかりつけ獣医師に「相談できる」ところから始めよう。
🐱 猫ニュース — 2026.05.10
本日 2件
1. 🏥 医療・疾病・予防
コーネル大、「キプロス2023で大流行した致死性FCoV-23類似株は、実は米国に10年以上前から潜んでいた」——FCoV-2の短型スパイク変異を世界で初めて米国症例から検出(JFMS 2026年3月6日)
📅 2026.04.27
コーネル大学獣医学部(Whittaker研)のXimena A. Olarte-Castillo博士らは、米国の3頭の致死性FIP症例(2013年2例・2016年1例)に保管されていた組織から、ホールゲノム配列・系統解析・RNA定量を行い、長型と短型の両方のスパイク遺伝子バリアントを持つ猫コロナウイルス2型(FCoV-2)を検出。短型スパイクFCoV-2が米国症例で確認されたのは、これが世界初の報告となる(Journal of Feline Medicine and Surgery 2026年3月6日号)。これまで「2023年にキプロスで猫数千頭を死亡させた高致死性株(FCoV-23)」と思われていた特徴が、実は10年以上前から米国にも存在していたことになる。
意義:FCoV-2はFIP症例の約5%にすぎないが、短型スパイク変異株はキプロスでの大流行のような爆発的な伝染性を示す可能性がある。一方、近年はGS-441524(レムデシビル代謝物)を含む経口・注射の抗ウイルス薬が世界各国で使用可能となり、早期診断が「不治の病」だったFIPを治せる病気に変えた。多頭飼育・ブリーダー・保護施設で複数頭に同時に下痢・発熱・腹水・神経症状が出た場合、ためらわず獣医師にFCoV-2スクリーニング(ウイルス分離・PCR)を依頼したい。日本でも2024年以降GS-441524が動物用医薬品として個人輸入で広く使われており、猫の血便・体重減少・原因不明の発熱には早めの精査を心がけよう。
2. 🥩 栄養・食事・サプリ
サンフランシスコ拠点Okava社、世界初「猫用GLP-1インプラント(OKV-119/エキセナチド徐放)」の臨床試験『MEOW-1』を開始——50頭の肥満猫に最大6カ月の連続投与、2027〜2028年のFDA申請を目指す
📅 2026.04.30
サンフランシスコのバイオベンチャーOkava Pharmaceuticalsは、肥満猫を対象とした世界初のGLP-1アゴニスト薬の獣医療臨床試験『MEOW-1(Management of Overweight Cats with OKV-119)』を開始したと発表。OKV-119はマッチ棒大の小型インプラントで、ヒトの2型糖尿病治療薬としても使われるGLP-1製剤「エキセナチド」を最大6カ月間連続放出する仕組み。試験には最大50頭の肥満猫が登録され、3カ月時点で減量効果と安全性を、6カ月時点まで体重・代謝指標を継続評価する。会社はFDAへの製品承認申請を2027〜2028年、想定価格は飼い主の自己負担で月100ドル前後と見込んでいる。
意義:猫の体重1kg増加ごとにインスリン感受性は約30%低下し、2型糖尿病・肝リピドーシス・変形性関節症のリスクが急上昇する。これまでの猫の減量はカロリー制限と運動誘導が中心で、自由気ままな猫の習性ゆえに飼い主のコンプライアンスが続かないケースが多かった。インプラントによる「忘れない・忘れさせない」連続投与が成功すれば、猫の肥満治療は一気に体系化される可能性がある。ただし臨床試験段階の薬剤であり、副作用や長期安全性は未確定。今すぐ取れる行動としては「ボディコンディションスコア(BCS)を月1回測る」「食器を計量する」「自動給餌器でおやつ習慣を断つ」など、まずは飼い主側でできる肥満予防習慣の見直しから始めたい。
💡 今日のワンポイント
本日は「目に見えない脅威(FIP原因株)」と「目に見える脅威(肥満)」のニュースを並べて紹介。前者は早期診断と新薬で「治せる病気」に変わりつつあり、後者はインプラント新薬で「続けられる治療」に近づきつつある。どちらも飼い主の早期気づきと正しい行動が、猫の生死を分ける。週1回は「ボディチェックタイム」をつくり、毛艶・体重・食欲・排尿排便・元気度をスマホメモに記録しよう。
毎朝7時配信

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