🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.05.12

🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.05.12

犬猫の腫瘍・がん関連ニュース&論文 計7件


🎗️ 腫瘍・がん関連ニュース — 2026.05.12

本日 7件

1. 🏥 医療・疾病・予防

FDA、Laverdia®(verdinexor錠)に犬リンパ腫経口治療薬の完全承認——2021年からの条件付承認を経て本承認、4回の年次更新後にAniviveが有効性追加データを完成

📅 2026.01.16

米国FDAは2026年1月16日、Anivive Lifesciencesの「Laverdia®-CA1(verdinexor錠)」に対し、犬の自然発症リンパ腫(B細胞性・T細胞性ともに)治療薬としての完全承認を発出した。2021年1月にFDAのMinor Use/Minor Species Pathway(マイナーユース承認制度)で条件付承認を取得し、以後4年間の年次更新を経て、150頭規模の市場後ピボタルフィールド試験(多施設プラセボ対照二重盲検RCT)で有効性データを揃えた結果である。試験では治療群の「無増悪期間中央値」が37日に対しプラセボ群23日で、統計的に有意な延長を確認。経口投与で在宅治療できる点が大きな利点で、化学療法(CHOP)に耐えられない高齢・併存症のあるリンパ腫犬への適応が広がる。

verdinexorは「Selective Inhibitor of Nuclear Export(SINE)」と呼ばれる新規クラスの抗がん剤で、XPO1(exportin-1)を選択的に阻害することで、がん抑制タンパク質(p53・p21・FOXOファミリー等)が核内で本来の機能を発揮できる状態を維持し、腫瘍細胞の異常な増殖・転移を抑制する。Aniviveは今回の米国正式承認に続き、ブラジル・オーストラリア・英国・EU各国でも順次正式承認申請を予定している。日本ではまだ申請されていないが、海外臨床データを背景に、難治性リンパ腫犬への国内導入機運が高まる可能性は高い。担当獣医オンコロジストとの相談を。

🔗 https://www.dvm360.com/view/fda-grants-full-approval-to-laverdia-for-canine-lymphoma

🎗️ 医療・疾病・予防


2. 🧬 研究・科学

PetCure Oncology、世界の獣医放射線治療施設で「治療実績 10,000症例」を達成——2015年開設から10年、定位放射線(SBRT)治療を全米犬猫オーナーが利用できる時代へ

📅 2026.01.20

米国の獣医放射線治療ネットワーク最大手PetCure Oncologyは2026年1月、累計治療実績10,000症例を達成したと発表した。2015年の開設以来、犬猫の体内深部腫瘍に対するSBRT(Stereotactic Body Radiation Therapy/定位体幹部放射線治療)を、それまで一部大学病院でしか受けられなかった犬猫オーナーに広く提供してきた歴史を象徴する数字である。10,000症例の内訳は、犬の鼻腔腫瘍・脳腫瘍・骨肉腫・前立腺癌・甲状腺癌、猫の口腔扁平上皮癌・甲状腺癌・乳腺癌など。各症例の平均生存期間中央値は腫瘍種により大きく差があるが、SBRTにより手術不可能な部位の腫瘍にも『高線量を1〜5回で集中照射』することで、痛みのコントロールと延命の両立を実現してきた。

獣医放射線治療は長年、米国でも10〜15校の大学病院に限られた専門領域だった。地理的アクセスと費用負担が大きな壁となっていたが、PetCureは「PetCure Oncology Network」として地域拠点を増やし、料金体系を比較的標準化することで、犬猫オーナーが居住地に近い場所でアクセスできる仕組みを構築。今回の10,000例というマイルストーンは、獣医放射線治療の「民主化」を可視化した出来事である。日本では麻布大学・東京大学・日本大学などが施設導入を進めているが、米国型の私設ネットワーク化は今後の発展余地が大きい。

🔗 https://petcureoncology.com/in-the-news/

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3. 🏥 医療・疾病・予防

PetCure Oncology シアトル拠点、世界初『Sirius™』ロボティック放射線治療システムを2026年に導入——モンテカルロ法×リアルタイム画像誘導でヒト並みの精度を犬猫に

📅 2026.04.01

PetCure Oncologyは2026年初頭、シアトル拠点で米Empyrean Medical Systems社が開発した最新の獣医専用ロボティック放射線治療システム『Sirius™』を世界で初めて稼働させた。SiriusはCyberKnife®のような直交2軸ロボットアームで照射方向を自由に変えながら、モンテカルロ法に基づく精密治療計画と『リアルタイム画像誘導(Image-Guided Radiation Therapy, IGRT)』を組み合わせ、サブミリメートル単位の正確さで腫瘍に放射線を集中させる。脳腫瘍・脊髄近傍腫瘍・心臓周囲腫瘍など、従来の獣医用リニアックでは「正常組織への影響が大きすぎて治療不能」だった部位の症例でも、副作用を最小限に抑えた高線量照射が可能になる。

これまでヒト腫瘍学では当たり前だった「ロボティック放射線治療×モンテカルロ計画×画像誘導」のトリプルコンボが、ついに獣医療に到来した形だ。Thrive Pet Healthcareとの提携により、シアトル以降は全米10カ所以上に展開予定で、年内に2,500〜3,000症例の追加治療を見込む。日本国内では未導入だが、米国の症例数とアウトカムが蓄積されれば、5年以内に大学病院または高度動物医療センターへの導入機運が高まると予想される。担当オンコロジストに『この部位はSBRTで治療できるか』を相談する価値が広がる。

🔗 https://www.pharmiweb.com/press-release/2025-11-20/thrive-pet-healthcare-and-empyrean-medical-systems-partner-to-bring-human-grade-precision-to-veterin

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4. 🧬 研究・科学

『腫瘍溶解性ウイルス(OV)療法』の犬がん適用、Myxoma・Reovirus・VSV・カナイン・アデノウイルスからNewcastle病ウイルスまで多プラットフォーム比較レビュー——MDPI Viruses 2026年4月

📅 2026.04.30

MDPI Viruses誌(2026年4月30日、Vol.18(5)、518)に掲載されたReichelらの総説「Oncolytic Viruses for Cancer Therapy in Dogs」は、犬の自然発症腫瘍に対する腫瘍溶解性ウイルス(Oncolytic Virus, OV)療法の最新研究動向を体系的にまとめた最初の網羅レビューである。検討対象はMyxoma virus、Reovirus、Vesicular Stomatitis Virus(VSV)、カナインアデノウイルス(CAV-1/CAV-2)、ワクシニアウイルス、センダイウイルス、Newcastle Disease Virus(NDV)の7プラットフォームで、それぞれの増殖機序・腫瘍特異性・免疫原性・臨床応用ステージ・安全性プロファイルを多面的に比較している。中でも『VSV-anti-PD-1チェックポイント阻害剤併用療法』は、ミネソタ大ORBIT試験で犬の難治性リンパ腫に対する第I/II相試験中で、強い注目を集めている。

OV療法の魅力は「がん細胞を直接溶解する細胞傷害効果」と「腫瘍内に強い炎症反応を誘発する免疫活性化効果」のダブルパンチにある。化学療法・放射線治療と組み合わせれば、副作用を抑えながら従来不可能だった転移性腫瘍にも対処できる可能性がある。著者らは『犬の自然発症腫瘍は、ヒトOV療法のエビデンス構築にも極めて貴重なモデル』と評価し、One Health的視点でこの分野の研究加速を提言している。日本でも東京大学・北海道大学が小規模なOV基礎研究に取り組んでおり、今後5年で犬がんOV療法の臨床応用が現実味を帯びる。

🔗 https://www.mdpi.com/1999-4915/18/5/518

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5. 🧬 研究・科学

「グレードIII乳腺癌は免疫抑制・血管新生・増殖能の三重苦」——犬38頭・猫26頭の腫瘍微小環境を網羅解析、最悪予後の生物学的理由が初めて見える化(BMC Vet Res 2026年3月)

📅 2026.03.15

ブラジル・ベルナルドジョバニーニ研究所のZuccariらがBMC Veterinary Research誌(2026年3月)に発表した研究は、犬38頭と猫26頭の悪性乳腺腫瘍からそれぞれ1腫瘍を選び、腫瘍微小環境(TME)を多次元的に分析した初の大規模比較解析である。グレードI(軽症)・II(中等症)・III(悪性度が最も高い)の各群を比較すると、グレードIIIの腫瘍は「免疫抑制細胞(M2マクロファージ・Treg)が浸潤」「腫瘍内血管が密集(血管新生亢進)」「Ki-67陽性増殖性細胞が高頻度」という三つの特徴を強く示し、これが予後不良の生物学的基盤であることが明らかになった。

この発見の意義は大きい。診療現場では「組織グレード」だけで予後を判断してきたが、本研究は「TMEの状態」を組み合わせることで、より精緻な予後予測と治療選択が可能になることを示唆する。具体的には、グレードIIIケースでは免疫療法(抗PD-1抗体、CTLA-4阻害剤)や抗血管新生療法(トセラニブ、マシチニブ)の併用が理論的に有効と考えられ、臨床現場のターゲット化治療への道筋となる。猫の乳腺癌は犬より発生率は低いが悪性率が高い(85〜95%)ため、TME解析を取り入れた個別化治療の必要性は特に大きい。

🔗 https://link.springer.com/article/10.1186/s12917-026-05393-z

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6. 🧬 研究・科学

「雄犬・雄猫の乳腺腫瘍」を世界最大の長期コホートで初解析——イタリア17年分の犬83件・猫27件、悪性率は犬73.5%・猫86.4%(J Small Anim Pract 2026年2月)

📅 2026.02.20

Hertelら(イタリア・ピサ大学)がJournal of Small Animal Practice誌(2026年2月)に発表した研究は、これまで臨床研究の対象として無視されがちだった『雄性犬・雄性猫の乳腺腫瘍』に焦点を当てた、過去17年(2008〜2025年)のレトロスペクティブコホート研究である。北イタリアの単一病理学施設に登録された雄犬83件(73頭)・雄猫27件(23頭)の組織標本を再解析した結果、悪性乳腺腫瘍の割合は犬で73.5%、猫で86.4%と非常に高く、雌性個体に近いか、それ以上のリスクを呈することが明らかになった。最頻発の組織型は犬・猫ともに「単純癌」「複合癌」「腺癌」など、雌性と同様のスペクトルを示す。

雄性個体の乳腺腫瘍は「稀少」というだけの理由で、定期検診の項目から外されることが多かった。今回のデータは、未去勢・去勢を問わず、雄犬・雄猫でも乳腺の触診を成犬・成猫の定期検診に組み込むべきという臨床的提言を提供する。腫瘍が見つかった場合の手術アプローチ(局所乳腺切除 vs 全乳腺切除)や術後化学療法の選択は、雌性での既存ガイドラインを準用するが、雄性個体特有の生物学的特徴(ホルモン受容体発現の違い等)について今後の追加研究が待たれる。

🔗 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jsap.70103

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7. 🏥 医療・疾病・予防

犬の『肝細胞性神経内分泌癌』、薬剤感受性試験ベースの個別化マルチモーダル療法で18ヶ月以上の長期生存を達成——Animals MDPI 2026年2月のケースレポート

📅 2026.02.17

ハンガリーの動物腫瘍チームがAnimals誌(MDPI、2026年2月17日、Vol.16(4)、646)に報告した症例は、犬の希少悪性腫瘍である肝細胞性神経内分泌癌(Hepatic Neuroendocrine Carcinoma)に対する『Drug Sensitivity Testing(DST)支援型適応的マルチモーダル治療』の世界初級の臨床応用報告である。腫瘍生検サンプルからex vivoで薬剤感受性プロファイルを取得し、ドキソルビシン → ミトキサントロン+ロムスチン+プレドニゾロン → トセラニブ という3段階の逐次的化学療法を設計。各ステージで腫瘍縮小と進行を評価し、最適な薬剤を切り替える「適応的(adaptive)」アプローチで、18ヶ月以上の長期生存と良好なQoLを達成した。

希少腫瘍は症例数が少ないため大規模RCTが組めず、エビデンスベースの治療指針が乏しい領域である。この症例報告は「DSTを軸にした個別化治療」が、希少腫瘍において標準治療のない真空を埋める有望なアプローチであることを示した。獣医オンコロジー領域でも、ヒト腫瘍学で先行する「分子標的+免疫療法+DSTのトリプル個別化」が広がりつつある。商用DSTサービスはまだ獣医療向けに限定的だが、国内では麻布大学・東京大学が研究レベルで開発中。希少腫瘍の診断を受けたら、二次・三次施設での個別化治療プロトコルの相談を強く勧める。

🔗 https://www.mdpi.com/2076-2615/16/4/646

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