🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.05.16

🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.05.16

犬猫の腫瘍・がん関連ニュース&論文 計7件


🎗️ 腫瘍・がん関連ニュース — 2026.05.16

本日 7件

1. 🏥 医療・がん治療

Purdue大 WCORC、犬の骨肉腫&リンパ腫に「集束超音波(HIFU)」2つの臨床試験を開始——非侵襲・無切開・無放射線の新時代へ(2026年5月13日)

📅 2026.05.13

米Purdue大学のWerling比較腫瘍学研究センター(WCORC)は2026年5月13日、犬の代表的悪性腫瘍2種——骨肉腫(osteosarcoma)と多中心性リンパ腫——に対する集束超音波(HIFU/HIFU-FUS)を用いた臨床試験の初症例治療を完了したと発表した。試験は仏Theraclion社の超音波焦点照射デバイス『EchoPulse』を使用。腫瘍学者Nick Dervisis、Michael Childress、Shawna Klahnの3氏を中心に、麻酔科・放射線科・免疫学・医学物理・工学のクロスディシプリナリーチームが運営し、Focused Ultrasound Foundationが資金を提供する。骨肉腫試験では原発腫瘍を超音波で部分焼灼することで「アブスコパル効果」(離れた転移巣にも免疫が活性化)の誘発を狙い、リンパ腫試験ではリンパ節1個を単回照射した後、未照射リンパ節との比較で免疫応答を血液検体で評価。リンパ腫群は照射1週後にCHOPプロトコル(25週間化学療法)を併用する。

参加条件は1歳以上・体重18ポンド(約8kg)以上で、診断確定のB細胞またはT細胞中・大細胞性多中心性リンパ腫の犬。Purdue大学がHIFU処置費用、全生検費用、血液検査、CHOP化学療法に対し$2,000のクレジット、副作用管理にさらに$2,000の支援を提供する太っ腹なスキームで、参加家庭の経済負担を大幅軽減した。HIFUは外科手術や放射線治療と比べ完全非侵襲・無被曝で、麻酔下のリスクが少なく日帰り治療も可能と期待されている。日本国内ではまだHIFUは普及していないが、Purdueでの治療実績が安全性・有効性を確立すれば、数年後には日本の獣医腫瘍学にも応用される可能性がある。

🔗 https://www.newswise.com/articles/focused-ultrasound-for-canine-cancer-two-clinical-trials-launched-at-purdue-university

🏷️ 医療・疾病・予防


2. 🏥 医療・がん治療

バージニア工科大ACCRC、6歳タビー猫「Piggy」がリンパ芽球性リンパ腫から完全寛解——「半身放射線治療+化学療法」併用で副作用ゼロ、犬の成功例を猫に応用(2026年3月31日)

📅 2026.03.31

バージニア工科大学獣医学部の動物腫瘍ケア研究センター(ACCRC)は2026年3月31日、6歳のタビー猫「Piggy(ピギー)」が首にできたリンパ芽球性リンパ腫(lymphoblastic lymphoma)から完全寛解に達したと公表した。Piggyは2025年11月に頸部に大きな腫瘤が出現し、外科切除後の病理診断でリンパ芽球性リンパ腫と判明。従来、猫のリンパ腫治療は化学療法単独が標準で、放射線治療は局所病変に限られて多中心性病変には応用されてこなかった。しかし、ACCRCのShawna Klahn博士らは「最近犬で報告された半身放射線療法(half-body irradiation, HBI)の好成績」を根拠に、猫にも初めて適用することを決定。Piggyは頭側半身→2週間後に尾側半身の順で各6Gy単回照射を実施した後、化学療法を継続。注目すべき副作用は出現しなかった。

ACCRCは「猫における半身放射線治療を組み込んだ多中心性リンパ腫プロトコル」の症例蓄積を始めており、今後の追加症例で従来のCHOP単独より長期寛解期間が延長できるかを検証する。Petco Love(ペット非営利団体)とBlue Buffalo(フード企業)の共同支援で治療費の一部または全額カバーが可能となっており、経済的に治療を躊躇する家庭にも道を開いた。日本国内でも放射線治療装置を有する大学病院(東京大、日本獣医生命科学大、麻布大、北海道大、岐阜大学等)が数施設あり、リンパ腫の猫を持つ家庭は専門家へのセカンドオピニオン受診を検討するとよい。

🔗 https://news.vt.edu/articles/2026/03/vetmed-accrc-success-story-piggy.html

🏷️ 医療・疾病・予防


3. 🧬 研究・科学

再発B細胞リンパ腫の犬2症例に「L-CHOP再導入+半身放射線治療」——483日・490日と長期寛解継続、再発例での放射線併用の新エビデンス(PubMed 2026年)

📅 2026.04.05

PubMed 2026年に新たに報告された症例集積では、L-CHOPプロトコルでの初回化学療法終了後3カ月で再発した高悪性度多中心性B細胞リンパ腫の犬2頭に対し、L-CHOPの再導入と完全寛解到達後に頭側→尾側の順で各6Gy半身放射線治療(HBI)を実施。尾側HBI後にgrade 3の消化管毒性(嘔吐・下痢)と1頭で重度血小板減少が出現したものの管理可能で、両頭とも再発から483日と490日経過した時点で完全寛解を維持している。これまで初回寛解期にHBIを加えると2年無病生存率56%(化学療法単独0%)、2年生存率78%(vs 11%)と有意に長く生存することが2025年JVIMで報告されていたが、本症例は「再発した犬にも」HBIが救援療法として有効な可能性を初めて示した点で重要。

論文著者は「再発リンパ腫の犬は従来予後不良とされてきたが、L-CHOPで再寛解を達成できれば、その時点でHBIを追加することで完全寛解期間を大幅に延長できる」と結論。一方、尾側HBIは消化管粘膜・骨髄への放射線被曝を伴うため毒性管理が必須で、CBC(全血球計算)と消化管症状の厳重なモニタリング、必要に応じた支持療法(抗嘔吐薬・血小板輸血等)を要する。日本でも放射線治療装置を持つ大学病院では多中心性リンパ腫に対するHBIプロトコル導入が進みつつあるため、再発を経験した犬の家族は獣医腫瘍専門医に相談を。

🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41183984/

🏷️ 研究・科学


4. 🧬 研究・科学

「血清PD-L2」が猫の乳腺癌の新バイオマーカーに——患猫で有意に高値、1,934 pg/mLで感度・特異度80%超(Scientific Reports 2026年2月)

📅 2026.02.12

Nature傘下のScientific Reports誌2026年2月号に、欧州の獣医病理学チームによる猫の乳腺癌(feline mammary carcinoma)における血清PD-L2(プログラム細胞死リガンド2)の有用性検証論文が掲載された。患猫群と健常猫群の血清PD-L2レベルをELISA法で比較した結果、患猫群が有意に高値であり、カットオフ値1,934 pg/mLで感度・特異度が共に80%を超える優れた診断性能を示した。さらに腫瘍ステージとPD-L2値は正の相関を示し、進行例ほど高値となることも判明。乳腺癌は猫の悪性腫瘍の主要3疾患のひとつで、女性ホルモン非依存性かつ転移率が高く、診断時にすでに局所進展していることが多い難治性がんである。

PD-L2はTリンパ球の活性化を抑制する「免疫チェックポイント」分子の1つで、ヒトでは肺・乳・腎・胃がんなどで腫瘍細胞表面に過剰発現し免疫逃避を担うことが知られる。本研究では猫の腫瘍細胞も同様の機構で免疫逃避していることを示唆しており、将来的に抗PD-L2モノクローナル抗体療法が猫の乳腺癌の新治療選択肢になる可能性が浮上した。臨床応用までには数年要するが、現時点でも非侵襲的な血液検査で早期発見・予後予測が可能になる意義は大きい。猫の乳腺腫瘤を発見したら速やかに獣医腫瘍外来で検査を受け、進行ステージの正確な評価を求めることが重要。

🔗 https://www.nature.com/articles/s41598-026-41375-9

🏷️ 研究・科学


5. 🏥 医療・がん治療

6歳ベンガル猫の「ワクチン接種部位悪性形質細胞腫(プラズマサイトーマ)」をMDPI Vet Sciが報告——FISS類似で要警戒(2026年4月)

📅 2026.04.16

MDPI Veterinary Sciences誌2026年4月16日号に、欧州大学獣医病理科の研究グループから6歳・避妊雌のベンガル猫で発生した非常に稀な「悪性形質細胞腫(プラズマサイトーマ)」の症例報告が掲載された。腫瘍は過去に何度もワクチン接種を行った左肩甲骨間部位(注射部位)に発生しており、組織学的にはステージIII〜IVの侵潤性形質細胞性悪性腫瘍と確定。形質細胞腫は通常皮膚や口腔粘膜に多発するが、皮下深部の単発、特に注射部位での発生は世界的にも数例しか報告されていない。

論文では「注射部位線維肉腫(FISS:Feline Injection Site Sarcoma)と臨床像が酷似するため、診断時に注意深い病理・免疫組織化学(CD138/Mum-1/Lambda/Kappa等)で鑑別が必要」と強調。広範囲外科切除+補助化学療法(メルファラン+プレドニゾロン併用)で局所制御は達成されたが、長期予後評価には経過観察が必要とされる。注射部位腫瘍リスクを下げるためには、ワクチンを毎回同じ部位ではなくローテーションで接種し、Feline-VAFSTF(猫ワクチン副作用タスクフォース)の「3-2-1ルール」(接種後3カ月以上腫瘤が残存/2cm以上/1カ月で増大)に従って早期生検・切除することが推奨される。日本獣医がん学会も同ガイドラインを支持しており、ワクチン接種後に腫瘤を見つけたら様子見せず速やかに獣医師相談を。

🔗 https://www.mdpi.com/2306-7381/13/4/384

🏷️ 医療・疾病・予防


6. 🧬 研究・科学

Penn Vet、犬の転移性骨肉腫(OSA)に「CAR搭載 不変性NKT細胞療法」第II相試験を開始——NCI共同、ヒト小児がん治療への橋渡しに(2026年)

📅 2026.04.20

ペンシルベニア大学獣医学部(Penn Vet)のComparative Oncology Programは2026年、米国立がん研究所(NCI)の助成を受け、犬の転移性骨肉腫(osteosarcoma, OSA)に対する遺伝子改変 不変性NKT(invariant Natural Killer T, iNKT)細胞療法の第II相臨床試験を開始した。iNKT細胞はT細胞の特殊サブセットで、自己免疫を起こしにくく腫瘍細胞特異的に強力な細胞傷害活性を示すことから、ヒトの新世代がん免疫療法の最有力候補の1つ。今回の試験では犬由来のiNKT細胞にヒト由来CAR(キメラ抗原受容体)遺伝子を導入し、犬OSAでよく発現する標的抗原を認識させる設計。初期2症例の登録が完了し、安全性と腫瘍応答を評価中。

骨肉腫は犬と小児の比較腫瘍学の代表的モデル疾患で、肺転移を伴う進行例の中央生存期間は約3〜4ヶ月と非常に予後不良。CAR-T細胞療法は人の血液腫瘍では既に承認されているが、固形がんへの応用は副作用やCAR標的選択の難しさで困難が続いており、犬で確立すればヒト小児骨肉腫患者にも応用できる可能性がある。日本国内でも東京大学を中心に犬のCAR-T研究が進んでおり、Penn Vetの臨床結果は世界の比較腫瘍学界が注目している。骨肉腫を発症した犬の家族で、海外の臨床試験参加を検討する場合は、まず日本の獣医腫瘍専門医に相談を。

🔗 https://penntoday.upenn.edu/news/dogs-cancer-are-helping-save-lives-penn-vet

🏷️ 研究・科学


7. 🧬 研究・科学

Colorado州立大FACC、NIHから「FAK阻害薬による骨肉腫治療」MERIT賞獲得——既存FAK阻害薬の犬・ヒト共通標的としての可能性を5年間で検証

📅 2026.05.01

コロラド州立大学Flint動物がんセンター(FACC)は2026年5月、米国立衛生研究所(NIH)国立がん研究所(NCI)から名誉ある「MERIT Award」を獲得した。授与対象研究はFAK(focal adhesion kinase)阻害薬による骨肉腫治療の新戦略で、既存のFAK阻害薬を犬の骨肉腫モデルで評価し、より効果的かつ毒性の低い治療法の開発を目指す。MERIT Awardは「研究実績が特に優れた研究者に対し、長期的・安定的な研究資金を5〜7年間保証する」NIHの最上位レベルの賞で、獣医学分野での獲得は非常に稀。

FAKは多くのヒトがんと犬OSAで過剰活性化されており、細胞接着・移動・浸潤・転移に必須のキナーゼ。FAK阻害薬(VS-6063やGSK2256098等)はヒトの中皮腫・卵巣がん臨床試験で進行中だが、犬OSAでの動物実験データは限られていた。FACCのDouglas Thamm教授率いるチームは、犬OSAをヒト小児・若年成人OSAの比較モデルとして活用し、最適なFAK阻害薬と既存化学療法(カルボプラチン・ドキソルビシン)の併用プロトコルを5年間かけて確立する計画。研究成果は5年以内にトランスレーショナル研究を通じてヒト臨床にフィードバックされる可能性が高く、まさにOne Health(人医・獣医医療の融合)の典型例といえる。骨肉腫の犬を持つ家族にとっても、長期的に新治療法が選択肢に加わる希望ある進展である。

🔗 https://www.aaha.org/trends-magazine/publications/new-research-offers-hope-for-osteosarcoma-patients/

🏷️ 研究・科学



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