🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.05.21

🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.05.21

犬猫の腫瘍・がん関連ニュース&論文 計7件(※良質な新着を優先して選定。一部に約1年前の論文を含みます)


🎗️ 腫瘍・がん関連ニュース — 2026.05.21

本日 7件


1. 🏥 医療・疾病・予防

10年ぶり全面改訂、AAHAが2026年版「犬猫の腫瘍診療ガイドライン」を公開——化学療法の安全管理と緩和ケアを重視

📅 2026.01.02

AAHA(米国動物病院協会)は2026年1月、犬猫の腫瘍診療に関する最新ガイドラインを公開した。初版から10年ぶりの全面改訂で、診断・ステージング・治療計画・化学療法の最新動向・飼い主とのコミュニケーション戦略までを網羅する。抗がん剤を扱う獣医スタッフや、治療中のペットを世話する飼い主の安全管理が、重点項目として新たに加わった。

ガイドラインは緩和ケア・終末期ケア、疼痛管理、栄養サポート、多職種連携など実臨床に即した内容を盛り込み、腫瘍専門医のいない一次診療チームでもがん患者を支えられるよう設計されている。rabacfosadine(Tanovea)など新規承認薬の情報も反映された。標準化された指針として、地域や施設による差の少ない質の高いがん診療の普及が期待される。

📖 American Animal Hospital Association(AAHA)2026

🔗 https://www.aaha.org/resources/2026-aaha-oncology-guidelines-for-dogs-and-cats/

🏥 医療・疾病・予防


2. 🏥 医療・疾病・予防

犬の甲状腺がんに放射性ヨウ素(I-131)単独治療——32頭をラジオミクスで解析、投与線量が多いほど奏効率が向上

📅 2025.09.09

ミズーリ大学のCharles Maitz准教授らが、手術や化学療法を併用せず放射性ヨウ素(I-131)単独で治療した犬の甲状腺がん32頭を後ろ向きに解析した。各犬は治療前に核医学画像を撮影し、画像から多数の特徴量を抽出する「ラジオミクス」で奏効を予測した。投与した放射能量が多いほど奏効率が有意に高まり(p=0.02、オッズ比10.28)、長期生存には遠隔転移の有無と、唾液腺に比べ腫瘍にどれだけ放射線が吸収されたかが影響した。

「投与量」ではなく腫瘍が実際に受け取る「吸収線量」を測る線量測定(ドシメトリー)の重要性が強調され、個々の犬に合わせた投与量の最適化で成績の改善が期待できるとした。無治療では多くの犬が6か月以内に亡くなるため、これまで対象外とされた犬にもI-131療法が有効となりうる。ヒト・犬で長年の実績がある放射性ヨウ素治療を、画像解析でより個別化する比較腫瘍学の好例だ。

📖 Veterinary and Comparative Oncology, 2025(ミズーリ大学)

🔗 https://cvm.missouri.edu/mizzou-researchers-unleash-the-power-of-a-new-tool-in-canine-cancer-treatment/

🏥 医療・疾病・予防


3. 🧬 研究・科学

猫の注射部位肉腫34例を解析——リンパ球浸潤の半数でFeLV抗原を検出、1例で皮膚リンパ腫を併発(Vet Pathol 2026)

📅 2026.01

イタリアのミラノ大・ボローニャ大の研究チームが、猫の注射部位肉腫(FISS)34例を解析し、腫瘍に伴うリンパ球浸潤が「注射部位皮膚リンパ腫」の発生母地になりうるかを検討した。浸潤するリンパ球はB細胞優位・T細胞優位・ほぼ同比率がそれぞれ約3分の1ずつだった。さらに、調べた症例のリンパ球の55%(10/18例)、腫瘍性線維芽細胞の44%(8/18例)で、少なくとも1種類の猫白血病ウイルス(FeLV)抗原が発現していた。1頭ではFISSと皮膚リンパ腫の併発が分子レベルで確認された。

FISSに伴う炎症性リンパ球浸潤の性状とFeLV蛋白の発現の関係を体系的に示した点が新しく、ワクチンなどの注射に関連した発がん機序の理解を深める。一部の症例では注射部位にリンパ腫が併発しうることも裏付けられ、病理診断の際にFISSと反応性・腫瘍性のリンパ球増多を慎重に鑑別する重要性が示された。飼い主にとっては、注射部位にできたしこりを軽視せず継続的に観察することの大切さを改めて示す研究だ。

📖 Veterinary Pathology, 2026(ミラノ大/ボローニャ大)

🔗 https://doi.org/10.1177/03009858251367396

🧬 研究・科学


4. 🏥 医療・疾病・予防

犬の膀胱がん(移行上皮癌)84頭をアジアで解析——在宅メトロノミック療法(クロラムブシル)で生存中央値303日

📅 2025.04.25

香港城市大学が、2005〜2024年の犬の移行上皮癌(TCC)84頭を後ろ向きに解析し、アジアでは乏しかったTCCの治療成績を報告した。腫瘍の発生部位(膀胱頂部・頸部/三角部・前立腺・尿道)と治療法(外科+COX-2阻害薬、従来型化学療法、メトロノミック療法、COX-2阻害薬単独)を比較。経口クロラムブシルを用いた在宅メトロノミック化学療法を受けた犬では、TCCで死亡した症例の生存中央値が303日と最も長かった一方、前立腺発生例は88日と予後不良だった。

メトロノミック療法を受けた25頭のうち48%は有害事象がなく、グレード3の重い毒性は報告されなかった。自宅で経口投与でき、通院・コストの負担が少ない緩和的治療として有望であることが示された。膀胱頂部発生は他部位より予後が良く、発生部位による層別化の重要性も明確になった。手術が難しい部位の多いTCCにおいて、現実的な治療選択の指針となるデータだ。

📖 Frontiers in Veterinary Science, 2025, 12(香港城市大学)

🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2025.1486786/full

🏥 医療・疾病・予防


5. 🧬 研究・科学

犬の組織球肉腫を全トランスクリプトーム解析——オーロラキナーゼなど新たな治療標的を特定(Cancers 2025)

📅 2025.03.12

バーニーズ・マウンテン・ドッグなどに多い、極めて悪性度の高い組織球肉腫(HS)について、腫瘍組織18検体と細胞株3種の全トランスクリプトーム(遺伝子発現の全体像)を解析した研究。FOXM1、AURKB(オーロラキナーゼB)、PLK1、E2Fを含む複数の経路がHSで異常に制御されており、新たな低分子治療の標的になりうることが分かった。実際にオーロラキナーゼ阻害薬がin vitroでHS細胞の増殖を抑制し、MAPK阻害薬との併用で相乗効果が認められた。

組織球肉腫は化学療法の効果が限定的で予後不良とされてきたため、今回特定された分子標的は、既存のロムスチンなどに代わる新しい治療開発の出発点となる。オーロラキナーゼ阻害薬とMAPK阻害薬の併用という具体的な治療戦略を示した点でも意義深い。罹患しやすい犬種の飼い主にとって、将来の治療選択肢が広がる期待につながる成果だ。

📖 Cancers (MDPI), 2025, 17(6):954

🔗 https://www.mdpi.com/2072-6694/17/6/954

🧬 研究・科学


6. 🧬 研究・科学

犬の肥満細胞腫197頭を解析——c-kitエクソン11変異とAgNORが、低リスクに見える腫瘍の再発を予測(JVIM 2025)

📅 2025.12.02

英CVSグループのOwen Davies氏らが、一次診療で外科切除された犬の皮膚・皮下の肥満細胞腫197頭・199個を後ろ向きに解析した。分裂像数・Ki67・AgNOR・KIT染色・c-kit遺伝子変異を一括比較した大規模研究で、分裂像数が多いことが全タイプで独立した予後不良因子だった。一方、従来重視されてきたKi67は独立した有意性を示さなかった。低悪性度に分類される腫瘍では、c-kitエクソン11変異だけが生存を独立して予測した。

再発については、AgNOR数の多さとエクソン11変異が、一見リスクの低い腫瘍でも独立した予測因子になった。皮膚型と皮下型は生存・再発で似た振る舞いを示し、同じ方針で管理できることが示唆された。切除マージンは2mm以上で初めて明確に再発リスクが下がり、「近接マージン=必ず再発」ではないとも注意喚起している。グレード判定が難しい中間例で、どの指標を重視すべきかの実践的な指針を提供する。

📖 Journal of Veterinary Internal Medicine, 2025(英CVSグループ)

🔗 https://www.vetclick.com/news/new-study-reveals-key-prognostic-indicators-in-canine-mast-cell-tumours-p11624.php

🧬 研究・科学


7. 🧬 研究・科学

ヒト由来CAR-T細胞をPETで体内追跡——犬のB細胞リンパ腫2頭が完全寛解、ヒトへの橋渡しにも期待(Blood/ASH 2025)

📅 2025.11

ミズーリ大のJeffery Bryan獣医腫瘍学教授らが、自然発症のCD20陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の犬に、ヒト由来(異種)CAR-T細胞を投与する臨床試験を実施した。CAR-T細胞にナトリウムヨウ素シンポーター(NIS)を組み込むことで、投与した細胞をPETで高感度に体内追跡できるよう工夫した。リンパ腫の犬2頭が完全寛解に入り、計測可能だった腫瘍が約1週間半で顕微鏡レベルまで縮小し、異種CAR-T細胞は良好な忍容性を示した。

犬のDLBCLは病理・遺伝・免疫標的・治療反応がヒトのDLBCLと共通するため、前臨床モデルとして極めて有用とされる。投与した細胞をPETで「見える化」できる点は、効果と安全性をリアルタイムに監視する新しい手段となる。数か月後に両頭とも再発した点は今後の課題だが、犬の新しい細胞治療と、ヒトがん治療への橋渡し研究の双方で前進と位置づけられる。

📖 Blood, 2025, 146(Suppl.1)(ミズーリ大/LEAH Labs)

🔗 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006497125068521

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