🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.06.02
犬猫の腫瘍・がん関連ニュース&論文 計7件
🎗️ 腫瘍・がん関連ニュース — 2026.06.02
本日 7件
1. 💊 医療・腫瘍治療
米FDA、犬の悪性リンパ腫に「世界初の経口治療薬」Laverdia(verdinexor)を本承認——Tanovea注射剤に並ぶ第2の選択肢に(FDA / Anivive 2026年1月16日)
📅 2026.01.16
米FDAが2026年1月16日、Anivive Lifesciences社のverdinexorタブレット(商品名Laverdia-CA1)を犬の悪性リンパ腫の治療薬として「本承認(Full Approval)」した。2021年1月の条件付き承認から4年の追加データ蓄積を経ての本承認で、犬の悪性リンパ腫に対する**世界初の経口治療薬**となる。verdinexorは核外輸送タンパクXPO1阻害剤(exportin 1 inhibitor)で、ヒトの多発性骨髄腫薬selinexorと同系統。腫瘍抑制タンパクが核内に留まり、がん細胞の増殖や転移を抑える仕組み。
160頭のB/T細胞リンパ腫犬を対象とした有効性試験では、verdinexor群の病勢進行までの中央値が37日(プラセボ22日)と有意に延長された。Laverdiaは経口で在宅投与可能なため、Tanovea(rabacfosadine)静脈注射に比べて通院負担が大幅に軽い。Tanoveaが第一選択でCHOPプロトコールの代替・併用として使われるのに対し、Laverdiaは「自宅治療したい」「化学療法の副作用が強くて続けられない」ケースに新たな選択肢を提供する。日本での承認は未定だが、Dechra日本法人経由での将来導入が期待される。
🎗️ 腫瘍・新薬
2. 🧬 研究・科学
「猫のがんは人のがんとそっくり」——500頭の猫腫瘍をゲノム解析、TP53・FBXW7・CTNNB1で共通変異、14%は既存ヒト用薬が効く可能性(Science 2026年5月)
📅 2026.05.21
英Wellcome Sanger研究所・米Broad研究所などの国際チームが、5カ国の家庭飼育猫500頭から採取したがん組織を統合解析し、家猫の「オンコゲノム(がんゲノム地図)」を初めて大規模に構築、Science誌に発表した。最も頻繁な変異はTP53で、次いでFBXW7・CTNNB1。コピー数変化ではPTEN欠失・FAS欠失・MYC増幅が頻出した。これらはヒトのトリプルネガティブ乳がん・大腸がん・肝臓がんで知られる主要ドライバーと一致する。
驚くべき結果は、猫腫瘍の**14%**で「ヒト用にすでに認可された分子標的薬が効きうる変異」が見つかったこと。さらに3次元の猫乳がんオルガノイドを作製し、ヒト用化学療法薬のビンクリスチン・ビノレルビンを投与すると、特定のFBXW7変異を持つ腫瘍細胞だけが特異的に感受性を示した。この結果は「One Medicine(一つの医療)」の概念を強化し、ヒト・猫の双方向のがん研究を加速する。猫は犬と違い実験室で扱いやすく寿命が短いため、ヒト腫瘍の動物モデルとしての価値が再評価される見込み。
🔗 https://www.science.org/doi/10.1126/science.ady6651
🎗️ 比較腫瘍学
3. 🏥 医療・腫瘍治療
Tufts大、犬の固形がんに「オートムギ由来の免疫刺激剤BG34-200」を試験——若いゴールデンレトリバー(軟部組織肉腫)が6週間で寛解、肺転移も消失(Cummings School 2026年)
📅 2026.04.15
タフツ大学カミングス獣医学部が、新規免疫刺激剤「BG34-200」の犬での臨床試験成果を発表した。BG34-200はオートムギ(オート麦)由来の精製β-グルカン(200kDa)で、単球やマクロファージといった自然免疫細胞を活性化させ、がん微小環境を抗腫瘍方向に書き換える働きを持つ。試験対象は犬の悪性メラノーマと自然発症がん全般。特に注目されたのが、肩に軟部組織肉腫(STS)と肺転移を抱えていた2歳の去勢されていないゴールデンレトリバー症例。BG34-200の点滴投与から6週で原発巣はほぼ消失し、肺の転移結節も大幅に縮小した。
BG34-200は米FDAから骨肉腫(osteosarcoma)に対する**希少疾病用薬指定(orphan drug designation)**を取得済み。今後は単独療法と既存化学療法・抗PD-1抗体との併用での臨床試験が拡大される予定。STSは犬に多く、手術と放射線で局所制御を試みても再発・転移が課題。BG34-200は化学療法・分子標的薬と異なる作用機序のため、既存治療との組み合わせで新しい標準治療になる可能性がある。なお、BG34-200はヒトのメラノーマ・骨肉腫でもFDA第I相試験が進行中で、犬-人を行き来する典型的な比較腫瘍学プログラムの一例。
🎗️ 腫瘍・免疫療法
4. 🧬 研究・科学
Penn Vetが犬B細胞リンパ腫向け「装甲CAR-T(anti-CD19+IL-18)」臨床試験を実施中——分泌型IL-18でT細胞自身が腫瘍環境を炎症化、ヒト臨床版は3カ月奏効率80%
📅 2026.04.30
ペンシルベニア大学獣医学部(Penn Vet)の比較免疫療法プログラムが、犬の自然発症B細胞リンパ腫・白血病を対象にした「装甲(armored)CAR-T細胞療法」の臨床試験を進行中。試験で使われるのは、CD19を標的とするCAR-T細胞にインターロイキン-18(IL-18)を分泌する遺伝子を組み込んだ犬カスタム細胞製剤。IL-18は腫瘍周辺に他の免疫細胞を呼び寄せ、CAR-T細胞単独より広範な抗腫瘍応答を引き出す。投与は腫瘍内+静脈の2経路。
このIL-18装甲CAR-T(ヒト版はhuCART19-IL18)はPenn Medicineの Carl June博士の研究グループが先行開発しており、ヒトB細胞性非ホジキンリンパ腫の第I相試験では3カ月後奏効率80%(20人中16人)を達成、ASCO 2025で報告された。Penn Vetでは犬個体での安全性・有効性を確認しつつ、ヒト試験へのフィードバックも行う双方向研究の典型。CAR-Tは1回100万円超の費用と専門施設が課題だが、犬での経験は将来の費用低減・適応拡大に繋がる。再発・治療抵抗性のB細胞リンパ腫を抱える飼い主は、Penn Vet・Texas A&M・コーネル等の比較腫瘍学プログラムへの参加検討を。
🎗️ 腫瘍・細胞療法
5. 💊 医療・腫瘍治療
犬の「肺に転移した骨肉腫」を3種経口薬の組み合わせで寛解へ——Tufts/CSUのNCI Cancer Moonshot共同試験、トセラニブ+ロサルタン+ラダリキシンで縮小30%・安定40%、生存中央値150日
📅 2026.05.01
タフツ大学カミングス獣医学部とコロラド州立大学Flint Animal Cancer Centerが2018年からNCI(米国国立がん研究所)Cancer Moonshotプログラムの助成で共同開催している、犬の「肺転移を伴う転移性骨肉腫」を対象とする経口3剤併用試験の最新成績が報告された。3剤は、①トセラニブ(Palladia / Zoetis社の犬用分子標的薬・既存)、②ロサルタン(ヒト用血圧降下薬・腫瘍内への免疫細胞流入を促進)、③ラダリキシン(IL-8受容体阻害薬・免疫抑制細胞をブロック)。
結果、肺転移は**30%の犬で縮小し、さらに40%で病勢が安定**(合わせて病勢制御率70%)した。生存期間中央値は**150日**で、転移性骨肉腫の従来予後(標準治療で8〜10週=60〜70日)から大幅に延長された。3剤すべて既存薬の「ドラッグリパーパシング」のため新規開発費用を抑えられ、米国では犬ごとに数十万円程度で実施可能。骨肉腫の原発巣切断後に肺転移が出た犬の救命的選択肢として、CSU・Tufts経由での参加枠が拡大中。日本のJARMeC・麻布大附属動物病院でも同様の経口3剤プロトコルが試行的に運用されており、紹介診療で導入可能。
🔗 https://vet.tufts.edu/clinical-trials
🎗️ 腫瘍・薬剤併用
6. 📊 研究・科学
「猫の乳腰がん」予後予測を一新——75症例から新ステージング案、潰瘍・3cm超・リンパ節転移が独立予後因子、ステージIIIをA/B/C 3分割で治療選択を細分化(Animals 2025)
📅 2025.06.10
ポルトガル・ポルト大学獣医学部のチームが、家庭飼育猫75頭の乳腰腫瘍症例を解析し、ヒト乳がんで使われるAJCC(米国がん合同委員会)の病期分類を猫向けに適合させる新ステージング案を提案、Animals誌(MDPI)に発表した。これまでの猫乳腰がんステージング(1999年WHO分類)は、ステージⅠ~Ⅳで腫瘍径と転移の有無を粗く分類するだけで、ステージⅢ内での予後の幅が大きく治療選択に役立ちにくい欠点があった。
新案では、独立予後因子として「潰瘍化(皮膚に開く)」「腫瘍径3cm超」「所属リンパ節転移」が抽出された。これらの組み合わせでステージⅢを **ⅢA(潰瘍なし+単一転移)/ⅢB(潰瘍あり)/ⅢC(多数転移)** の3層に細分化。論文の追跡解析では、ⅢAの中央生存は約24カ月、ⅢCは約7カ月と大きく差が出た。猫乳腰がんは犬と異なり**80~90%が悪性**で、特に未避妊メス猫の高齢例で多発する。早期発見(1cm以下での切除)と新ステージング適用で、治療強度と生存予測を個別最適化できる時代に入ったといえる。8歳以上の未避妊メス猫がいる飼い主は、月1回のセルフチェック(乳房を指の腹で軽く触り、しこりや左右差を探す)を習慣に。
🔗 https://www.mdpi.com/2076-2615/15/6/779
🎗️ 猫乳腰がん・予後
7. 🧪 研究・科学
Texas A&M × MD Anderson共同——犬リンパ腫に「自己T細胞輸注」アプローチ、化学療法後の再発予防を狙う2026年新試験を始動
📅 2026.03.21
テキサスA&M獣医学・生物医科学校(VMBS)と、米国最大級のがん専門病院MDアンダーソンがんセンター(テキサス州ヒューストン)が、犬の悪性リンパ腫を対象とした自家T細胞輸注(ACT:Adoptive Cell Transfer)の共同臨床試験を開始すると発表した。CHOPなど標準化学療法で寛解に入る犬は多いが、2年生存率は20%未満と低く、再発予防が大きな課題。本試験では、化学療法の前に犬から末梢血単核球を採取・体外保存し、化学療法による免疫細胞ダメージを回避。寛解導入後にこのT細胞を体内に戻すことで、残存腫瘍細胞を犬自身の免疫が攻撃する戦略を取る。
ACTはヒトの非ホジキンリンパ腫で広く研究されているが、犬での自家T細胞戻し試験は比較的少数。Texas A&Mの獣医腫瘍学チーム(Heather Wilson-Robles准教授ら)とMDアンダーソンのリンパ腫部門(Christopher Flowers部門長)の双方向研究で、犬で得られた知見をヒト治療プロトコル改善に還元し、ヒトでの知見を犬の最適化に活かす「One Medicine」の典型例。試験参加可能な犬は当面テキサス州内に限定されるが、将来は他地域へ拡大予定。化学療法を続けながら参加できるため、リンパ腫と診断された犬の飼い主は紹介診療施設に問い合わせを。
🎗️ 比較腫瘍学・細胞療法
🎗️ 犬猫腫瘍ニュース | all-i-need-are-dogs.blog

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