📚 犬猫 研究論文 — 2026.06.02

grayscale photography of short-coated dog

📚 犬猫 研究論文 — 2026.06.02

注目論文 3件


1. 🏥 獣医学・栄養学

犬と猫の「持続的腎代替療法(CRRT)」の使い方を国際腎臓興味グループ(IRIS)が初の合意ガイドラインに——透析の適応・カテーテル・抗凝固・終了タイミングを横断的に整理(JVIM 2026年2月)

📅 2026.02.10

国際腎臓興味グループ(IRIS)が犬と猫のための「持続的腎代替療法(CRRT:Continuous Renal Replacement Therapy)」に関する初のベストプラクティス・コンセンサスガイドラインを発表し、Journal of Veterinary Internal Medicine(JVIM)2026年2月号に掲載した。急性腎障害(AKI)や薬剤性腎不全、敗血症性ショックなどで腎機能が短期間に著しく低下した犬猫に対し、いつ透析を開始しどう続けるかの判断基準をまとめている。具体的には、適応症(高カリウム血症、輸液不応性、尿毒症性脳症など)の優先順位、ベルガード型ダブルルーメンカテーテルの留置位置、クエン酸抗凝固vs全身ヘパリン化の選び方、輸液速度の目標値、終了条件まで網羅。

これまでCRRTは大学病院や一部の高度2次施設に限定されていたが、ガイドラインの普及で「夜間も対応できる救命の選択肢」として広がる可能性がある。日本でも東京大・北海道大・JARMeCなど主要な動物医療センターがCRRTを導入しており、今後は地域の2次診療施設でも標準化が期待される。CRRTは費用負担が大きい(10〜30万円超/日)ため、ペット保険適用範囲と治療費の見積もりを早めに獣医師と相談することも重要。

📖 J Vet Intern Med, 2026年2月

🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41513167/

🏥 獣医学・栄養学


2. 🏥 獣医学・栄養学

「犬パルボウイルス感染症に死亡率0%」——シェルター犬の自然感染で、CPMA(犬パルボウイルス・モノクローナル抗体)の臨床効果を初めて検証(Univ of Illinois 2026年4月)

📅 2026.04.08

イリノイ大学獣医学部のキム・セルティング獣医病院長らが、CPMA(Canine Parvovirus Monoclonal Antibody)の自然感染下での臨床効果を、シェルター犬を対象に系統的に評価した報告を発表した。CPMAは犬パルボウイルス2型に特異的に結合してウイルスの細胞内侵入を阻止する合成モノクローナル抗体で、Elanco社から「Canine Parvovirus Monoclonal Antibody」の名称でUSDA条件付き承認を取得済み。実験的攻撃モデル(21頭)では治療群の死亡率0%(プラセボ群57%)と劇的な差が示されていたが、シェルターでの自然感染ケースでも嘔吐・元気消失・食欲低下の解消が有意に早まったことが追加で示された。

パルボウイルスは生後2〜6カ月の子犬で致死率10〜90%に達し、出血性下痢・嘔吐・敗血症で短時間に亡くなることもある。これまで治療は輸液・制吐剤・抗生剤など対症療法に限られており、根本治療はなかった。CPMAは1回静脈注射で、犬病院での費用は1頭あたり600〜1,200ドル(日本では未承認・将来Elanco日本法人経由で導入の可能性)。CPMAでも適切なワクチン接種が一次予防の主役であることに変わりはなく、子犬のコアワクチン(DHPP)スケジュール(6・9・12週齢)は確実に守ることが大切。

📖 University of Illinois Veterinary Medicine, 2026年4月

🔗 https://vetmed.illinois.edu/2026/04/08/canine-parvovirus-monoclonal-antibody/

🏥 獣医学・栄養学


3. 🧠 行動・認知科学

「犬は人間が見たこと・見ていないことを区別できるか?」——22頭の3カップ選択課題で“他者の視界推定”を検証、競争相手が先に選んだ時のみ「自分しか見ていないカップ」を優先(Animal Cognition 2025年)

📅 2025.09.15

ハンガリーのEötvös Loránd大学などのチームが、ペット犬22頭を対象に「ヒトのコンペティターが過去に何を見たかを犬が推定できるか」を3カップ選択課題で検証し、Animal Cognition誌(Springer Nature)に発表した。3つのカップのうち2つにオヤツを隠す手順を犬に観察させ、ヒトのコンペティターには1つしか隠す瞬間を見せなかった。その後、犬とヒトが順番にカップを選ぶ「食物競争」で、犬がどのカップを選ぶかを記録した。

結果、犬は「両方とも見たカップ」と「自分しか見ていないカップ」をランダムに選んだが、ヒトが先に選ぶ時に限って「自分しか見ていないカップ」をやや優先する傾向を示した。これは「ヒトが知らないカップを優先する」という”theory of mind”(心の理論)的な傾向を弱く示唆するが、確実な統計的差は得られなかった。著者らは「犬はヒトの注意・視線には敏感だが、ヒトが過去に何を見たかという『知識帰属』までは確実に追跡できているとは言えない」と結論。共同注意(過去数日の研究)とは別の認知タスクで、犬の社会認知の上限を示唆する重要な知見。家庭犬の認知力を過大評価せず、「見えていなければ分からない」ことを前提に学習させる視点が役立ちそうだ。

📖 Animal Cognition, 2025年

🔗 https://link.springer.com/article/10.1007/s10071-025-02034-0

🧠 行動・認知科学


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