📚 犬猫 研究論文 — 2026.06.05

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📚 犬猫 研究論文 — 2026.06.05

注目論文 3件


1. 🏥 獣医学・治療

猫の致死病「FIP(猫伝染性腹膜炎)」、モルヌピラビルの大規模単独試験で73頭中77%が6ヶ月生存——免疫刺激薬の上乗せ効果は無し(JFMS 2026年)

📅 2026.05.20

米コロラド州立大学の Petra Černá・Michael Lappin らのチームが、抗ウイルス薬モルヌピラビル(MPV、EIDD-2801)を猫伝染性腹膜炎(FIP)の第一選択薬として評価する前向き臨床試験を Journal of Feline Medicine and Surgery(JFMS)に発表した。これまでFIPはGS-441524の闇市場頼りという状況が長く続いてきたが、本試験では73頭の自然発症FIP症例を対象に、モルヌピラビル10〜21mg/kgを1日2回・84日間経口投与。胸腹水を伴う「滲出型」FIPの41頭にはさらに経口免疫刺激薬を併用するアームを設けて二元比較した。結果は73頭全体で6ヶ月生存率77%と良好で、過去のGS-441524(インジェクションのみ)と非劣性が示された。

注目すべきは、免疫刺激薬の上乗せが生存率を有意に改善しなかった点。MPV単剤で十分な効果が得られ、追加の負担や費用を要する免疫療法は「とりあえず併用」する必要はないと結論された。再発は治療終了後9〜99日に12%で発生したが、いずれも再投与で寛解。重篤な副作用は確認されなかった。米国ではGS-441524、英国ではモルヌピラビルが2024年以降合法的に処方可能となり、FIPは「治せる病気」へと劇的に変わりつつある。日本でも一部の獣医師が個人輸入で対応している段階だが、規制側の動きも今後加速する見込みだ。

📖 Černá P, Dow S, Hawley J, Willis M, Lappin MR. *J Feline Med Surg* 2026

🔗 https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1098612X251403283

🏥 獣医学・治療


2. 🦷 獣医学・治療

犬の歯周病に「カテプシンK阻害剤」VBX1000——20頭・90日投与で歯槽骨の溶解が定量的に減少、ステージ2-3にも効く新メカニズム(Frontiers in Vet Sci 2025-2026年)

📅 2026.01.15

仏Vetbiolix社が開発した経口カテプシンK(CTSK)阻害剤 VBX1000 が、犬の自然発症型歯周病に対して有効性を示したオープンラベル試験が Frontiers in Veterinary Science に掲載された。対象は中等度〜重度の歯周病(ステージ2または3)の歯を3本以上有する飼い主所有犬20頭。前半60日間は25または50mg/kgを1日1回、その後30日間は50mg/kgで連続経口投与する設計で、計90日間の治療を完遂した。

主要評価項目である血漿CTX1(骨吸収マーカー)はベースラインの0.26±0.20ng/mLから治療終了時の0.10±0.04ng/mLへと大きく低下。臨床アタッチメントロス(CAL)は3.86mm→2.87mm、歯周ポケット深さ(PPD)は3.69mm→2.71mmへと有意に改善し、デンタルレントゲンでは骨欠損の幅・深さ・高さがいずれも縮小した。カテプシンKは破骨細胞が骨吸収する際の鍵酵素で、ヒト骨粗鬆症薬として承認された経験がある(オダナカチブ等は副作用で開発中止)。犬への応用は世界初。歯周病が全身疾患のリスク因子と認識される今、スケーリング・抗菌療法に並ぶ第3の選択肢として期待される。15歳の超シニア犬で麻酔下スケーリングを避けたい飼い主は、かかりつけ獣医師に薬剤の選択肢を相談してみてほしい。

📖 *Frontiers in Veterinary Science* 2025;12:1656782

🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2025.1656782/full

🦷 獣医学・治療


3. 🧠 行動・認知科学

「犬の84%が日常で恐怖や不安のサインを示す」——テキサスA&M大、Dog Aging Projectの43,000頭超データから米国犬の不安の実態を可視化(May 2026)

📅 2026.05.14

テキサスA&M大獣医学部のBonnie Beaver博士(小動物臨床科学・行動学)が、Dog Aging Project(DAP)の所有者報告データを用いて43,000頭以上の米国犬の恐怖・不安サインを大規模解析した結果を、Owner-reported prevalence and severity of fear and anxiety in dogs として発表した。学習による限定的な不安(爪切り・入浴など)を除いた集計でも、なんと84%以上の犬が日常的に少なくとも軽度の恐怖や不安サインを示していた。具体的には雷雨で震える、知らない人から後ずさる、留守番中に過剰に吠える、特定の音で固まる——いずれの場面でも多数の犬が反応しており、「特殊な臆病犬の問題」では決してないことが示された。

研究チームは「これだけの普遍性が見えてきたのは大規模コホートだからこそ。飼い主は『うちの子だけ』と抱え込まず、犬の不安は普通の感情だと理解することが第一歩」と強調する。慢性不安は寿命短縮・認知症リスク上昇とも関連が示唆されており、行動修正・環境整備・必要なら抗不安薬(フルオキセチンやセルトラリン、新承認のTasipimidine等)を獣医師・行動学専門医と一緒に検討する価値がある。日本でも「うちの子はビビリだから」で済ませず、定期的に行動を評価する文化を広げたい。

📖 *American Journal of Veterinary Research* 2026年(DAP登録43,000頭)

🔗 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC13110192/

🧠 行動・認知科学


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