📚 犬猫 研究論文 — 2026.06.13
注目論文 3件
1. 🏥 医療・疾病・予防
犬の「東洋眼虫症」13例を神奈川・山間部で報告——目に寄生する人獣共通の虫、室内飼育でも10例が発症(日本獣医師会雑誌 2026年)
📅 2026.02.27
岐阜大学とあすなろ動物病院の研究グループは、神奈川県山間部で2021〜2024年に診断した犬の東洋眼虫症(Thelazia callipaeda)13例をまとめ、日本獣医師会雑誌(79巻2号、2026年2月公開)に報告した。東洋眼虫は犬・猫・人・野生哺乳類の目に寄生し、ショウジョウバエ科の「マダラメマトイ」が媒介する人獣共通の寄生虫だ。13例は雄9・雌4、年齢中央値10歳、体重中央値13.1kgで、12例が山間部に居住し、10例は室内飼育だった。フィラリア予防薬を投与されていた6例でも発症がみられ、発症は6〜12月に集中。回収された虫体数は中央値3隻(1〜15隻)だった。
治療は虫体の摘出が12例中10例(83%)で有効で、3例はイベルメクチンの注射を要した。注目すべきは「室内飼い」でも多くが発症した点で、媒介バエが活動する環境に少し出ただけでも感染しうることを示す。著者らは、保虫宿主となる都市型野生動物(タヌキなど)の生息域拡大に伴い、東洋眼虫症の発生エリアも広がっている可能性を指摘し、目やに・結膜炎・流涙などの眼症状を示す犬では、地域環境を踏まえて鑑別診断に加えるべきだと提言している。山間部やその周辺にお住まいの場合、愛犬の目の異常に気づいたら早めに受診を。
📖 日本獣医師会雑誌, 2026, 79(2), e15-e20
🔗 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma/79/2/79_e15/_article/-char/ja/
🏥 医療・疾病・予防
2. 🧠 行動・認知科学
「犬は仲間思い」は本当か?——16頭の“向社会性テスト”で判明、犬を動かすのは利他心より「自分へのごほうび」(Animal Cognition 2026年)
📅 2026
犬が他者のために行動する「向社会性」を持つのかを、16頭の犬で検証した研究がAnimal Cognition(2026年)に掲載された。Piottiらは、犬が装置を引くと「自分だけ報酬」「相手にも報酬(向社会的)」「相手だけ報酬(利他的)」が得られる3条件と、報酬なし・相手なしの2つの対照条件を設定。さらにパートナーが飼い主か見知らぬ人かで反応が変わるかも調べた。結果、犬は「自分が報酬をもらえるとき」に最もよく装置を操作し、パートナーがいるかどうか(飼い主でも他人でも)は引く頻度にほとんど影響しなかった。
著者らは、今回の実験からは「犬が利他的・向社会的な選択をする」とは結論できず、犬の行動はむしろ自分の利益に動機づけられていると述べている。これは「犬は無条件に仲間思い」という美談に冷静な一石を投じる結果だが、犬の愛情を否定するものではない。むしろ、犬は明確な「見返り(ごほうび)」があるときにこそ意欲的に動くという、しつけ・トレーニングの基本原則を裏づける知見だ。良い行動を増やしたいなら、抽象的な期待より具体的な報酬を——という実践に科学的な後押しを与える。
📖 Animal Cognition, 2026
🔗 https://link.springer.com/article/10.1007/s10071-026-02070-4
🧠 行動・認知科学
3. 💉 医療・疾病・予防
猫白血病ウイルス(FeLV)ワクチン、抗体のつき方は「接種部位・ワクチンの種類」で変わる——子猫125頭を1年追跡(JFMS 2025年)
📅 2025.09.04
猫白血病ウイルス(FeLV)ワクチンで、どのくらい抗体がつくかを左右する要因を、子猫125頭で調べた研究がJournal of Feline Medicine and Surgery(2025年9月公開)に発表された。研究では、3種類のFeLVワクチン(Fel-O-Vax 5、Fel-O-Vax Lv-K、Leucogen FeLV)を、3か所の接種部位(首の後ろ・左後肢遠位・尾)に分けて接種し、抗体価(抗SU抗体)を接種後1か月ごと(T0・T1・T2)と12か月後(T12)に測定した。105頭が初回接種シリーズを完了し、83頭が1年後の採血まで追跡された。
その結果、抗体の上がり方はワクチンの種類・接種部位・追加接種スケジュール・性別によって異なることが示された。FeLVは唾液などを介して猫から猫へ感染し、若い猫ほど持続感染しやすく、リンパ腫など重い病気の原因にもなる。屋外に出る猫や多頭飼育では特にワクチンの意義が大きい。本研究は「どのワクチンを・どこに・どう打つか」で免疫の付き方が変わりうることを示し、より効果的な接種プロトコルづくりの手がかりとなる。愛猫のFeLVワクチンについては、生活環境(外出の有無・同居猫の有無)を踏まえて獣医師と相談を。
📖 Journal of Feline Medicine and Surgery, 2025
🔗 https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1098612X251353080
💉 医療・疾病・予防
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