🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.07.14

🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.07.14

犬猫の腫瘍・がん関連ニュース&論文 計7件


🎗️ 腫瘍・がん関連ニュース — 2026.07.14

本日 7件

1. 🧬 研究・科学

訓練された犬が「血液のにおい」で血管肉腫を検出 ── ペンシルベニア大が発表

📅 2026.01.26

米ペンシルベニア大学獣医学部(Penn Vet)のWorking Dog Centerが、訓練を受けた犬が血液サンプルのにおいから犬の血管肉腫(ヘマンジオサルコーマ)を嗅ぎ分けられることを示した研究成果を公表しました。この研究はもともと2025年11月に学術誌へ掲載されたもので、博士研究員のClara Wilson氏らが、血液の上部の空気を送り込むオルファクトメーター(嗅覚測定装置)を用いて犬に嗅がせる実験を行いました。犬は正解のがんサンプルを25%の確率で偶然当てられる条件下で、実際には約70%の精度で選び出したと報告されています。血管肉腫は診断時にはすでに進行していることが多い、極めて悪性度の高い腫瘍で、脾臓や心臓、皮下に発生します。研究チームは「におい(揮発性有機化合物=VOC)が確かに存在する」ことがまず証明できたと位置づけています。

この成果は、血液中のVOCプロファイルをがんのバイオマーカーとして使えるかを探る大きな研究の出発点となります。将来的には犬が感知する化学シグナルを解析し、動物病院に設置できる「電子鼻(エレクトロニック・ノーズ)」による血液スクリーニング検査へつなげることが目標とされています。現時点では訓練犬の検出能力が既存の検査技術を大きく上回っているとされますが、機械での再現にはまだ課題が残ります。血管肉腫は早期発見が難しく突然の腹腔内出血で急変することもあるため、高齢の大型犬やゴールデン・レトリバーなど好発犬種では、元気消失や貧血、腹部膨満に早めに気づくことが重要です。気になる症状があれば、超音波検査などができる動物病院を早めに受診してください。

🔗 https://www.thedp.com/article/2026/01/penn-vet-working-dogs-canine-cancer-detection

🏷️ 研究・科学


2. 🏥 医療・疾病・予防

パデュー大が「集束超音波(HIFU)」で犬の骨肉腫・リンパ腫を治療する2つの臨床試験を開始

📅 2026.05.13

米パデュー大学獣医学部のWerling比較腫瘍学研究センター(WCORC)が、集束超音波(HIFU)技術を使って犬の骨肉腫とリンパ腫を治療する2件の臨床試験で最初の患者への治療を開始したと発表しました。いずれもTheraclion社のEchoPulseシステムを用い、腫瘍内科医のNick Dervisis、Michael Childress、Shawna Klahnの各獣医師を中心に、麻酔科医・放射線科医・免疫学者・医学物理士・工学者が連携するチームで進められています。集束超音波は診断用の超音波とは異なり、狙いを定めた音波エネルギーで腫瘍組織を熱により破壊(アブレーション)する非侵襲的治療で、手術も放射線も使いません。さらに腫瘍を壊すだけでなく、全身の免疫応答を刺激してがんと闘わせる効果が期待されています。骨肉腫試験では新規診断の四肢骨肉腫の犬にHIFUを照射し、約1週間後に標準治療の断脚術と補助化学療法へ移行します。

リンパ腫試験では、がん化したリンパ節1個に単回のHIFU治療を行い、腫瘍の一部破壊と全身的な免疫刺激の両方を狙い、その後25週間のCHOP化学療法を完遂します。両試験はFocused Ultrasound Foundationの助成を受け、犬の治療で得た知見をヒトのがん治療にも役立てる「One Medicine」の理念のもとに実施されています。犬と人の骨肉腫、そしてリンパ腫は生物学的に高い類似性があるため、比較腫瘍学として意義の大きい取り組みです。骨肉腫は大型犬の四肢長骨に好発し激しい痛みを伴い、断脚を避けられる新たな選択肢は飼い主にとって大きな関心事です。愛犬に骨肉腫やリンパ腫が疑われる場合は、こうした先進的な臨床試験の情報も含め、腫瘍科のある施設に相談してみるとよいでしょう。

🔗 https://www.myvetcandy.com/news/2026/5/13/purdue-just-launched-two-clinical-trials-using-focused-ultrasound-to-treat-cancer-in-dogs-heres-what-you-need-to-know

🏷️ 医療・疾病・予防


3. 💊 医療・がん治療

ノースカロライナ州立大、放射線増感薬「XRD-0610」で犬の骨肉腫に挑む臨床試験「XRADIOS」

📅 2025.11

米ノースカロライナ州立大学(NC State)獣医学部が、放射線治療の効果を高める新薬XRD-0610を用いた犬の骨肉腫の臨床試験「XRADIOS」を開始しました。試験は放射線腫瘍学のMike Nolan准教授が率い、この薬を開発したXRAD Therapeutics社と共同で実施されています。XRD-0610はDNA修復経路のうち1カ所ではなく2カ所をブロックする点が特徴で、放射線でがん細胞のDNAを壊した後、細胞が自己修復して生き延びるのを妨げることで放射線の効きを増強します。最初の患者は2025年11月に登録され、第1相は6月まで続く予定で、追加の参加症例が募集されました。骨肉腫は米国で年間およそ8,000頭の犬が診断される難治性の腫瘍で、手術と積極的な化学療法を行っても平均生存期間は約10カ月、2年生存率は15〜20%程度にとどまります。

この試験では、放射線を手術(断脚)の代わりに用いて痛みを和らげ骨腫瘍の増大を抑えつつ、XRD-0610が放射線の効果を増幅し破壊的な副作用を抑えられるかを検証します。犬の骨肉腫はヒトの小児骨肉腫と挙動が似ているため、成果は子どもと犬の双方のがん医療の前進につながると期待されています。NolanらはこのほかにもDuke癌研究所などと連携する比較腫瘍学コンソーシアム(C3O)を通じて骨肉腫の複数の試験を並行して進めています。断脚を避けたい飼い主にとって、放射線と増感薬の組み合わせは注目に値する選択肢です。愛犬に足を引きずる、特定部位を痛がる、腫れといった症状があれば、放射線腫瘍の対応が可能な二次診療施設への受診を検討してください。

🔗 https://news.cvm.ncsu.edu/nc-state-clinical-trial-testing-promising-canine-osteosarcoma-treatment/

🏷️ 医療・がん治療


4. 💉 研究・科学

飲み薬のBTK阻害薬「BI 705564」── 犬のB細胞リンパ腫を対象にベーリンガー系試験が症例募集中

📅 2026(症例募集中)

犬のB細胞リンパ腫を対象に、経口のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬BI 705564の有効性と安全性を評価する探索的多施設フィールド試験が、米コロラド州のColorado Animal Specialty & Emergency(CASE)やミズーリ大学獣医医療センターなどで進行中です。リンパ腫は犬で最も多い悪性腫瘍で、そのうちB細胞リンパ腫が約70%を占めます。標準治療であるCHOP化学療法は高い寛解率を得られる一方で生存期間は比較的短く、副作用が用量を制限することもあり、より負担の少ない有効な治療が求められてきました。B細胞受容体(BCR)シグナルの下流で働くBTKは、多くのB細胞悪性腫瘍で増殖と生存に重要な役割を担っており、これを狙い撃ちするのがBTK阻害薬の考え方です。試験では未治療(治療ナイーブ)のB細胞リンパ腫の犬に、経口薬を1日1回、約12週間投与します。

BI 705564は経口投与が可能で副作用が少なく、生存期間の延長と生活の質(QOL)の維持、そして手ごろな費用が期待されており、一般開業医でもリンパ腫を扱いやすくすることを目指しています。対象は1歳以上・体重10〜50kg、2cm超のリンパ節が2カ所以上あるステージII〜IVの犬などで、過去に化学療法や放射線治療、モノクローナル抗体治療を受けていないことが条件です。参加すればスクリーニング検査や試験薬が試験費用でまかなわれる点も、飼い主の経済的負担を軽くします。ヒトの医療ではイブルチニブなどのBTK阻害薬が慢性リンパ性白血病などで確立しており、その獣医版として注目されます。愛犬の首やあごの下、脚の付け根のリンパ節が急に腫れてきた場合はリンパ腫の可能性があるため、早めにかかりつけ医や腫瘍科を受診し、細胞診などの検査を受けてください。

🔗 https://www.coloradoanimalspecialty.com/clinical-studies/exploratory-field-trial

🏷️ 研究・科学


5. 🇯🇵 研究・科学

東京農工大が「猫の乳がんオルガノイド」を作製 ── 人と共通する進行メカニズムLMTK3/FADS2を発見

📅 2025.11.27

東京農工大学大学院農学研究院の臼井達哉准教授・佐々木一昭教授、大学院生の山本晴氏らの研究グループが、乳がんに罹患した猫の腫瘍組織から三次元オルガノイド(ミニ臓器)を作製し、疾患モデルとして有用であることを明らかにしました。山口大学・北里大学との共同研究で、成果は2025年11月22日付で学術誌「Scientific Reports」にオンライン掲載されました。猫の乳がん(FBC)は約90%が悪性で再発率も80〜90%と非常に高く、確実に延命できる治療法が確立されていない難治性の腫瘍です。研究では罹患猫から摘出した組織を用いて32症例のオルガノイド作製に成功し、充実性のBasal typeと管腔様のLuminal typeに分類され、それぞれ特異的なマーカーの発現が確認されました。作製したオルガノイドは患者猫ごとに異なる抗がん剤感受性を示し、個体差を評価できる培養モデルであることが示されました。

さらに正常乳腺由来のオルガノイドと遺伝子発現を比較した結果、LMTK3/FADS2という経路が細胞の増殖・浸潤・アポトーシスに関与し、猫の乳がんの進行に重要な役割を果たすことが判明しました。この経路はヒトの乳がん細胞株やヒト乳がんオルガノイドでも同様に機能し、がんの進行度と発現量が相関することも示されました。猫と人の乳がんには類似点が多く、確立された猫乳がんオルガノイドは新しい治療標的の探索や病態解明、さらに動物とヒトをつなぐトランスレーショナル研究への活用が期待されます。飼い主にとっては、猫の乳腺腫瘍が「見つかった時にはすでに悪性で進みやすい」ことを知っておくことが大切です。避妊手術は乳腺腫瘍の予防効果があるとされ、胸やお腹のしこりに気づいたら小さいうちに動物病院で相談してください。

🔗 https://www.tuat.ac.jp/outline/disclosure/pressrelease/2025/20251127_01.html

🏷️ 研究・科学


6. 🇯🇵 医療・疾病・予防

東京大が「がんオルガノイド検査」で分子標的薬を選ぶ ── 犬猫の固形腫瘍にオーダーメイド治療の臨床試験

📅 2025.06(試験承認)

東京大学附属動物医療センター(VMC)が、犬猫の固形腫瘍に対して症例ごとに有効な分子標的薬を特定し、パーソナライズ(個別化)治療を行うための「がんオルガノイドスクリーニング検査」に基づく臨床試験を実施しています。この臨床試験は2025年6月に同センターの臨床試験委員会で承認されました。人の医療では、根治的な手術が難しい転移性・浸潤性の固形腫瘍に対して分子標的薬が用いられ高い効果が得られていますが、獣医領域では各腫瘍に対する有効性データが乏しく、肥満細胞腫に対するトセラニブなど一部に適応が限られてきました。本検査では、犬猫から生検または外科手術で採取した腫瘍組織を三次元培養してオルガノイドを作り、複数の分子標的薬をふるいにかけて有効性が期待できる候補薬を同定します。対象は、リンパ腫や白血病などの血液腫瘍を除く上皮系腫瘍(扁平上皮癌・腺癌・移行上皮癌など)、軟部組織肉腫、悪性黒色腫、肥満細胞腫、神経内分泌腫瘍などです。

臨床試験では、検査で有効性が期待される薬剤が特定された症例に対し、その内服薬を自宅で投与してもらい、投与開始後1・3・5週目に来院して副作用と効果を評価します。従来は「試してみないと効くか分からない」抗がん治療に対し、あらかじめ手術検体などから薬剤の効き目を予測してから投与できる点が大きな進歩です。切除困難な腫瘍や標準治療が確立されていない腫瘍を抱える犬猫にとって、より効率的で無駄の少ない治療につながる可能性があります。日本の大学病院でこうした先端的な個別化がん医療の臨床試験が動いていることは、飼い主にとって心強い情報です。手術で取りきれない腫瘍や再発・転移で治療に悩む場合は、こうした臨床試験を行う二次診療施設への相談も選択肢となります。

🔗 https://www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/vmc/research/index.html

🏷️ 医療・疾病・予防


7. 🐱 医療・疾病・予防

麻布大が報告 ── 猫の気管上皮性腫瘍に「寡分割放射線治療」が奏功した症例

📅 2026(JFMS Open Reports掲載)

麻布大学の西 康太郎・伴野裕亮・峯下岳幸・丸尾卓也の各氏らが、猫の気管に発生した上皮性腫瘍に対し寡分割(少ない回数に大線量を分ける)放射線治療を行った症例報告を、2026年に学術誌「JFMS Open Reports」に発表しました。猫の気管に発生する腫瘍は比較的まれですが、気道を塞いで呼吸困難や咳、喘鳴(ぜんめい)を引き起こすため、生活の質と生命に直結する危険な病変です。外科的に完全切除することが難しい部位のため、放射線治療は有力な選択肢になります。寡分割プロトコルは通院回数と麻酔回数を減らせるため、高齢の猫や全身麻酔のリスクを抱える猫にも適用しやすい利点があります。この症例では、放射線治療によって腫瘍の制御と臨床症状の改善が得られたことが報告されています。

麻布大学の放射線腫瘍グループは、猫の鼻腔上皮性腫瘍に対する寡分割再照射の有効性なども継続的に検討しており、猫の頭頸部・気道領域の腫瘍に対する放射線治療の知見を蓄積しています。気管腫瘍は症例数が少なく治療指針が確立しにくい領域であり、こうした国内からの症例報告は臨床現場にとって貴重な情報です。飼い主にとっては、猫の「なかなか治らない咳」「ゼーゼーという呼吸」「運動を嫌がる・すぐ疲れる」といったサインを軽視しないことが大切です。こうした症状が続く場合は気道や胸部の画像検査が必要になることがあり、腫瘍が疑われれば放射線治療に対応できる施設への紹介も検討されます。愛猫の呼吸の変化に気づいたら、早めにかかりつけの動物病院を受診してください。

🔗 https://doi.org/10.1177/20551169251410900

🏷️ 医療・疾病・予防



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