🐾🐱 犬猫ニュース — 2026.08.17

A brown dog runs across a dirt path.

🐾🐱 犬猫ニュース — 2026.08.17

犬4 + 猫2 = 計6件

▼ 猫ニュース


🐾 犬ニュース — 2026.08.17

本日 4件

1. 🏥 医療・疾病・予防

「クローブ油」で犬の疥癬が14日で全頭ゼロに——アミトラズを上回った植物由来の外用治療、ただし自己流の精油使用は厳禁

📅 2026.08.15

中国の甘粛農業大学・中国農業科学院蘭州畜牧獣薬研究所などの共同チームが、犬の疥癬(ヒゼンダニ Sarcoptes scabiei var. canis による感染症)に対するクローブ油(丁子油)の外用効果を検証し、Frontiers in Veterinary Science に発表しました。蘭州市の繁殖施設と野良犬シェルターから集めた自然感染犬100頭(12犬種、平均5.3歳、平均12.91kg)を5群に分け、7%クローブ油を0.05/0.1/0.2 mL/cm²で、対照として0.05%アミトラズを隔日4回塗布して14日間追跡しました。使用したクローブ油はオイゲノール83.3%、酢酸オイゲニル5.9%、β-カリオフィレン4.0%という組成です。14日目に完全にダニが消えた犬は高用量群で20頭中20頭(100%)、中用量群で12頭(60%)だったのに対し、標準薬アミトラズ群は10頭(50%)、無処置対照は0頭でした。臨床症状スコア(脱毛・紅斑・掻痒・落屑の4項目12点満点)の平均も高用量0.85/中用量1.55に対し、無処置対照は10.15と大きく開いています(いずれもp<0.001)。オイゲノールはダニのミトコンドリア呼吸鎖複合体Iを阻害してエネルギー代謝を止める、というのが著者らの説明です。

ただし「アロマオイルで疥癬が治る」という話ではありません。使われたのは純度の高い試験用クローブ油を大豆油で7%に希釈した特別な調製品で、市販の精油を薄めずに塗れば皮膚刺激や中毒の危険があります。論文自体も「塗布時は手袋の着用を強く推奨」「これは概念実証であり観察期間が短く再発率は評価できていない」と明記しています。猫は精油の代謝能が低く毒性リスクが高いため、多頭飼育の家庭では絶対に自己判断で試さないでください。日本ではセラメクチン、モキシデクチン、フルララネル、サロラネルなどの動物用医薬品が第一選択として動物病院で処方できます。耳の縁や肘に激しいかゆみとフケ・かさぶたが出たら、まず皮膚掻爬検査を受けてください。

🔗 https://phys.org/news/2026-08-topical-clove-oil-canine-sarcoptic.html

🏷️ 医療・疾病・予防


2. 🏥 医療・疾病・予防

「もう一つの肺の虫」がアメリカに定着しつつある——クロクマとコヨーテからフレンチハートワームを検出、感染源はナメクジとカタツムリ

📅 2026.08.11

テネシー大学獣医学部の寄生虫学准教授リチャード・ガーホルド博士(DVM, MS, PhD, DACVM)らが、テネシー州のアメリカクロクマとコヨーテから Angiostrongylus vasorum(通称フレンチハートワーム)を検出したと報告しました。論文は Veterinary Parasitology: Regional Studies and Reports に掲載。発見は偶然が重なったもので、重度の肺炎で死亡したクロクマの標本に背棘のある幼虫が見つかり、PCRと塩基配列解析で同定。約2週間後、まったく別の研究をしていた学生がコヨーテからも同じ虫を見つけました。クマでの報告は世界初、テネシー州のコヨーテでも初記録です。この寄生虫はこれまで欧州・アフリカ・カナダ東部に限られると考えられており、米国内の先行報告はウェストバージニア州のキツネ1例のみでした。犬糸状虫(フィラリア)の成虫が最大15cmなのに対し、A. vasorum の成虫はわずか14〜20mmと小さく、大動脈や肺動脈に潜みます。咳・呼吸困難という症状は犬糸状虫症とほぼ区別がつきませんが、レントゲンでは典型的な「逆D字型」の心陰影が出ません。

決定的な違いは感染経路です。蚊が媒介する犬糸状虫と異なり、A. vasorum はカタツムリやナメクジを中間宿主とし、犬はそれらを食べて感染します。カエルが待機宿主になることも示されています。ガーホルド博士は「ある寄生虫が自分の地域で報告されていないからといって、そこにいないという意味にはならない」と語り、獣医師に継続的な学習を促しました。日本にこの虫が定着した記録はありませんが、近縁の広東住血線虫が沖縄・小笠原・九州南部などに分布し、同じくカタツムリ・ナメクジを介して人にも動物にも感染します。散歩中の拾い食いを防ぐこと、庭のナメクジ対策(メタアルデヒド系駆除剤は犬に強毒なので置き場所に厳重注意)が現実的な備えです。愛犬が咳をする・運動を嫌がるといった症状があれば、自己判断せず心臓超音波やレントゲン検査を受けてください。

🔗 https://www.dvm360.com/view/is-there-a-new-heartworm-in-town-

🏷️ 医療・疾病・予防


3. 🐕 犬学

1万5000年、人と犬は互いを変え続けてきた——チベットの犬は人と同じ「低酸素対応の遺伝子」を獲得していた

📅 2026.08.10

考古学者ピーター・ミッチェル教授の新著『First Dogs: Hunter-Gatherers and their Canine Companions from Prehistory to the Present』(Routledge)が、犬の家畜化を「人がオオカミを支配した出来事」ではなく、双方向の長い共進化として描き直しています。教授は、最初期には人とオオカミが比較的対等な参加者として関係に入った可能性を指摘し、狩猟採集民のコミュニティが決定的な役割を果たしたと論じます。それは人類が他の動植物を管理下に置くよりはるか以前のことでした。証拠として、1万4000年前まで遡る人と犬の合葬墓、あらゆる大陸の古代美術に登場する犬、世界中の神話・宗教に組み込まれた犬の存在が挙げられます。とりわけ興味深いのはチベット高原の事例で、チベットの犬からは低酸素環境で機能する遺伝子が同定されており、それは同じ土地に住む人間集団に見られる遺伝的変化とよく似ていました。北極圏では重い荷を引く生活に応じて椎骨に特有の応力パターンと強靭な四肢骨が発達し、熱帯雨林では密生した藪で獲物を追える小型で敏捷な狩猟犬へと特化しました。

環境が犬を作り替えた例はほかにもあります。北米北西海岸の先住民は毛を採るために羊毛状の被毛を持つ小型犬を専門に繁殖し、その毛は儀式用の毛布になりました。サハラ以南のアフリカではトリパノソーマ症やエールリヒア症といったベクター媒介性疾患が犬の分布を制限し、温帯〜北極圏起源の犬が熱帯に広がるのを遅らせた可能性があるといいます。そして遺伝学的研究からは、多くの古代犬集団が現存していないことも分かっています——植民地拡大期にヨーロッパ系犬種が世界へ広がり、多数の古い系統を置き換えたためです。この視点は日々の飼育にも効きます。厚い被毛の北方犬種が日本の猛暑に極端に弱いのは個体差ではなく1万年単位の寒冷地適応の帰結であり、柴犬や紀州犬のような狩猟のパートナーとして育まれた犬には、嗅覚を使う遊びが精神的な満足につながります。愛犬の祖先がどんな土地でどんな仕事をしていたかを知ることは、そのまま夏の散歩時間や運動量の設計に返ってきます。

🔗 https://www.sciencedaily.com/releases/2026/08/260810015700.htm

🏷️ 犬学


4. 🧬 研究・科学

「たくさん産んだ母犬は老後がつらい」は本当か——例外的に長生きしたロットワイラーを追跡したら、逆の結果が出た

📅 2026.07.21

米ジェラルド・P・マーフィー癌財団の「卓越した長寿研究センター」が、出産経験が犬の老後のフレイル(虚弱)を増やすのかを検証し、The Journals of Gerontology, Series A に発表しました。研究対象は「Exceptional Aging in Rottweilers Study」のコホート、つまり犬種平均寿命より30%長く生きた——人間でいえば100歳相当に到達した——ロットワイラーたちです。主任研究者はパデュー大学獣医学部名誉教授でもあるデイビッド・J・ウォーターズ博士(DVM, PhD)。質問票・診療記録・飼い主への構造化インタビューで生涯の病歴を再構築し、ウォーターズ博士自身が米国40州とカナダの130頭を自宅訪問して調査しました。評価には34項目の臨床フレイル指数「EARS-FI」を用い、生涯の健康上の欠損の蓄積を測定しています。結果、出産経験のない雌に比べ、生存産子を産んだ雌が老後に頑健性(フレイル値が最も低い下位5分の1)を保つ確率は3倍でした。しかもこの関係は、生涯の卵巣曝露期間・過体重・出生コホートで調整しても弱まらず、産次が多い雌ほど頑健性を保つ確率が高いという用量反応パターンまで確認されています。

ウォーターズ博士は、家庭犬を使った理由を「介護負担、教育水準、受診傾向、喫煙といった、ヒトの研究の解釈を難しくする社会行動的要因を回避できるから」と説明します。機序については「妊娠が引き起こす標的組織のエピジェネティックな再プログラミングが、刺激が消えた後も長く続く記憶として残っているのかもしれない」と推測しています。ただし、これは観察研究であり因果関係の証明ではありません。対象は「例外的に長生きした大型犬」という特殊な集団で、日本に多いトイプードルやチワワにそのまま当てはまるかは不明ですし、「愛犬に繁殖させるべき」という話でも当然ありません。繁殖引退犬を迎えた方にとっての安心材料、と受け取るのが妥当でしょう。飼い主が今日から使えるのは「フレイル指数」という発想のほうです。シニア期(大型犬6〜7歳、小型犬10歳前後)以降は、病気の有無という二択ではなく、体重減少・筋肉量低下・活動量低下・歩行速度・疲れやすさといった小さな欠損の積み重ねとして記録し、年2回の健康診断とあわせて獣医師に共有してください。

🔗 https://www.eurekalert.org/news-releases/1136684

🏷️ 研究・科学


💡 今日のワンポイント(犬)

今日の4本は、期せずして「その情報は自分の犬に当てはまるのか」を問う内容ばかりになりました。クローブ油は中国の研究用調製品であって市販の精油ではなく、フレンチハートワームは米国の話、ロットワイラーの結果は小型犬に直結しません。ニュースの見出しだけを持って自己流の対処に走るより、「うちの子の犬種・年齢・地域だとどうですか」とかかりつけ獣医師に投げてみるほうが、はるかに早く正解にたどり着けます。


🐱 猫ニュース — 2026.08.17

本日 2件

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1. 🏋️ トレーニング・行動科学

猫の触り方は「2時間の講義」で本当に変わる——選ばせる・観察する・頭の側面を3秒、その効果は6か月後も続いていた

📅 2026.08.10

英国の猫保護団体 Cats Protection の研究チームが、猫との接し方に関する教育介入が実際の行動をどれだけ変えるかを長期追跡し、Frontiers in Veterinary Science に発表しました。参加者は同団体のスタッフ・ボランティア47名(有給25名、ボランティア22名、93.6%が女性、勤続0〜12か月が最多の29.8%)。過去に猫のハンドリング研修を受けたことがあるのはわずか23.4%でした。介入は1回最大15名のオンライン講義2時間だけで、内容は「CATガイドライン」の3原則——Choice(猫が交流するかどうかを自分で決められるようにし、強制的な接触を避ける)、Attention(猫の姿勢や反応を観察して自分の行動を調整する)、Touch(触るのは主に頭部の側頭領域に限り、約3秒で一度手を止めて猫が続きを望むか確かめる)です。評価は介入前・2週間後・6か月後の3時点で、各回に同じ猫と接する90秒の動画と質問票を提出してもらいました。結果、実際の交流行動のガイドライン適合度は介入後に強い証拠をもって改善し(LRχ²(2)=37.074, p<0.001)、その改善は6か月後も有意に減衰していませんでした。態度スコアの中央値は3.90→4.27(p<0.0001)、実践スコアは4.22→4.66(p<0.0001)と上がり、6か月後もそれぞれ4.18、4.43と介入前を有意に上回っています。

この研究のいちばんの価値は、「猫が触られるのを嫌がるのは猫の性格の問題」という前提をひっくり返した点にあります。人間側の触り方を2時間学ぶだけで、測定可能なレベルで関係が変わり、しかも半年もつ。介入効果は勤続2年未満の新しいスタッフでもっとも大きく(p=0.034)、経験の浅い人ほど伸びしろがあることも示されました。家庭でもそのまま真似できます。猫が寄ってくるのを待つ、抱き上げる前に姿勢と耳・尻尾を見る、なでるのは頬・こめかみ・顎の下に限って3秒でいったん手を止める——この3つだけです。保護猫や新入りの猫を迎えたばかりの方、あるいは「触りすぎて嫌われている気がする」方は、今日から試す価値があります。

🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1880180/full

🏷️ トレーニング・行動科学


2. 🐕 猫学

EUが「かわいいけれど不健康」を法律問題にした——折れ耳・短頭・近親交配に27か国共通のルール、圧倒的多数で可決

📅 2026.08.12

欧州議会が2026年4月28日、犬猫の福祉とトレーサビリティに関するEU初の域内共通法を賛成558票・反対35票という圧倒的多数で可決しました。審議には2年を要しています。獣医師のパオラ・クエバス氏(MVZ)が猫の視点から解説したところによれば、これまで家畜の福祉には数十年前からEU共通ルールがあったのに対し、犬猫などの伴侶動物は27か国バラバラの国内制度に委ねられ、ある国で禁止された繁殖が国境を越えれば合法という抜け穴がありました。新法の柱は3つです。第一に、極端な外貌を狙った繁殖の制限。第6条は繁殖戦略が犬猫やその子に有害な遺伝型・表現型をもたらしてはならないと規定し、ペルシャやエキゾチックショートヘアなど短頭種の気道狭窄・生涯続く呼吸困難・眼疾患、そして軟骨異常により全身の進行性関節疾患を招くスコティッシュフォールドの折れ耳が名指しで問題視されました。第二に、親子・祖父母と孫・兄弟姉妹および半兄弟姉妹の交配という近親交配の全面禁止。第三に、全個体のマイクロチップ装着と各国データベースへの登録・相互接続で、繁殖業者や販売業者・シェルターには4年、個人所有の猫には15年の猶予が設けられました。

もっとも、抜け穴の指摘もあります。短頭種の繁殖は「悪影響を最小化する措置」を取れば継続可能とされていますが、その具体的定義がまだ策定されておらず、法学者はここを最大の弱点と見ています。また女王猫3頭以下・年間2腹以下の小規模繁殖者は繁殖・飼育要件を免除され(個体識別と登録の義務は残る)、農場で暮らす猫は保護対象から完全に除外されているため、公平性への疑義が動物福祉団体から出ています。なお、オランダは独自に2026年1月1日からスフィンクスとスコティッシュフォールドの繁殖・販売・飼育を全面禁止しており、EU基準を上回る国内規制の先例になりました。日本はEU域外ですが、品種標準や購入者の「かわいい」という期待は国境を越えて動きます。折れ耳・短頭・無毛といった特徴が遺伝的疾患と表裏一体であることは、これから猫を迎える人が繁殖業者を選ぶ段階で必ず知っておくべき情報です。

🔗 https://www.catster.com/weekly-mews/the-eu-just-made-cute-but-unhealthy-a-legal-issue/

🏷️ 猫学


💡 今日のワンポイント(猫)

猫との関係は「猫の性格」でも「相性」でもなく、人間側の設計で変えられる部分がかなりあります。触り方は2時間の学習で半年もつ習慣になり、品種選びは一生分の健康を左右します。どちらも、猫が言葉で抗議できない領域だからこそ、飼う側が意識的に選ぶ価値があります。


毎朝7時配信

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