🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.08.18

🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.08.18

犬猫の腫瘍・がん関連ニュース&論文 計6件


🎗️ 腫瘍・がん関連ニュース — 2026.08.18

本日 6件


1. 🧬 研究・科学

【日本】治りにくい犬のT細胞リンパ腫、がん細胞は「EZH2」でアポトーシスを止めていた

📅 2026.08.12

日本獣医生命科学大学の道下正貴准教授らの研究グループが、金沢大学がん進展制御研究所、日本医科大学、国立がん研究センター、藤田医科大学、山口大学、東京農工大学との共同研究として、犬のT細胞リンパ腫における遺伝子調節タンパク質EZH2(Enhancer of zeste homolog 2)の役割を明らかにし、Frontiers in Veterinary Science に発表した。犬のリンパ腫のうちT細胞型は治療抵抗性を示しやすいことが知られているが、その分子メカニズムは長く不明のままだった。培養細胞を用いたin vitroの機能解析により、EZH2が過剰に働くことで腫瘍細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)が抑え込まれていることが示された。

EZH2はヒトでは多くのがん種で過剰発現が報告され、すでに阻害薬の開発が進んでいる分子である。犬でも同じ経路が効いているとわかったことで、ヒト医療で蓄積された創薬の資産をT細胞リンパ腫の犬に振り向けられる可能性が開けた。もちろん培養細胞での知見であり、実際の患犬に効くかどうかはこれからの検証を待つ必要がある。それでも「なぜこのタイプは化学療法で寛解しても再燃しやすいのか」という長年の臨床的な疑問に、分子の言葉で答えを与えた意義は小さくない。リンパ節の腫れに気づいたら、様子見をせず早めに受診を。

🔗 https://www.nvlu.ac.jp/news/20260729-01.html/

🧬 研究・科学


2. 🧬 研究・科学

【日本】犬の肺がん20例の遺伝子を読んだら、HER2とBRAFの変異が見つかった——分子標的薬が効く可能性

📅 2026.07.16

日本獣医生命科学大学の道下正貴准教授らが、東京農工大学の呰上大吾氏、東京都健康長寿医療センター研究所と共同で、外科的に摘出された犬の肺腺癌20例を遺伝子解析した結果を Veterinary Sciences(MDPI)に報告した。HER2、BRAF、KRAS、PIK3CA という、ヒトのがんで治療標的として重要な4遺伝子のホットスポット変異を調べたところ、一部の症例でHER2およびBRAFの変異が検出された。さらに、BRAF変異が陽性だった肺がん細胞に対しては、対応する分子標的薬が高い効果を示すことが確認された。

犬の肺がんは発生頻度が低く、症例情報も治療選択肢も限られてきた領域だ。だからこそ「どの遺伝子が壊れているかで薬を選ぶ」というヒト医療の個別化医療の考え方を持ち込めることを示した意味は大きい。20例という規模は決して大きくなく、今後の症例集積が必要だが、日本国内の症例から得られたデータであることも国内の飼い主にとっては心強い。高齢の犬で咳が長引く、運動を嫌がる、といった変化が続くときは、レントゲンでの確認を早めに検討してほしい。

🔗 https://www.nvlu.ac.jp/news/20260715-01.html/

🧬 研究・科学


3. 🏥 医療・がん治療

メスを使わず超音波で骨肉腫を壊し、免疫に「攻撃対象」を教える——バージニア工科大にNCIが新規助成

📅 2026.05.28

米国立がん研究所(NCI)が、バージニア・メリーランド獣医学カレッジのJoanne Tuohy准教授(外科腫瘍学)に41万9080ドルの新規研究助成を交付した。テーマは、集束超音波で腫瘍組織を機械的に破壊する「ヒストトリプシー」と、Immunophotonics社が開発した免疫刺激ポリマー「IP-001」を組み合わせ、犬の骨肉腫を治療する臨床試験である。ヒストトリプシーは切開も熱も伴わずに狙った場所の細胞を壊す技術で、壊された腫瘍細胞から放出される抗原が免疫系に「敵の顔」を教える引き金になると期待されている。

研究チームが狙うのは、原発巣を叩いた結果として離れた場所の転移巣まで縮小する「アブスコパル効果」の増強だ。骨肉腫は犬で四肢の切断を迫られることの多い悪性腫瘍であり、断脚を回避しつつ転移も抑えられる道筋があるなら、その意義は計り知れない。犬の骨肉腫はヒトのものと生物学的特徴がほぼ同一で、しかも装置のサイズがそのままヒトに応用できることから、比較腫瘍学のモデルとしても注目されている。前足の付け根や膝の上あたりが腫れて痛がる、跛行が続く——大型犬でこうしたサインがあれば、早めにレントゲンを撮ってもらってほしい。

🔗 https://news.vt.edu/articles/2026/05/vetmed-research-histotripsy.html

🏥 医療・がん治療


4. 🏥 医療・がん治療

犬の骨肉腫に1500万ドル——ヒトの小児がん研究チームに獣医が加わった

📅 2026.06.03

患者主導のがん研究財団 Break Through Cancer が1500万ドルを投じて発足させた研究連合「Defying Osteosarcoma TeamLab」に、タフツ大学カミングス獣医学部のCheryl London博士とHeather Gardner博士が参加することが発表された。全米8機関・20人を超える研究者が連携し、ヒトの骨肉腫と犬の骨肉腫を同時に研究する枠組みである。骨肉腫は米国で年間2万5000頭を超える犬に診断される一方、ヒトでは小児・若年者に多い希少がんで、この40年間ほとんど治療成績が改善していない。

この連合の特徴は、犬の飼い主が新規治療の臨床試験に参加し、そこで得られたデータが2030年までに少なくとも2件の小児がん臨床試験の設計に活かされる、という具体的な道筋が引かれている点だ。液体生検による血中循環腫瘍DNA(ctDNA)解析など、先端のゲノム技術も投入される。愛犬をがんで失った経験のある飼い主にとって、その子の参加が人の子どもの命につながるという事実は、ひとつの救いになるかもしれない。臨床試験への参加を検討するときは、期待される効果と負担を主治医と十分に話し合ってほしい。

🔗 https://now.tufts.edu/2026/06/03/finding-better-answers-patients-deadly-bone-cancer

🏥 医療・がん治療


5. 💊 医療・がん治療

抗がん剤の下痢を止める薬が本承認へ——ジャガーヘルスがクロフェレマーのFDA申請を完了

📅 2026.06.23

米ジャガーヘルス社が、犬の化学療法誘発性下痢(CID)の治療薬クロフェレマー(製品名Canalevia-CA1)について、FDA動物用医薬品センターへの新動物用医薬品申請(NADA)を完了したと発表した。クロフェレマーは南米のアマゾンに自生するクロトンノキの樹液に由来する植物性の成分で、腸管からの水分分泌を抑えることで下痢を止める。全米の腫瘍科クリニックで実施された有効性試験では、投与3日目には平均の便性状が正常域まで戻り、飼い主の77%が有効と回答、およそ40%が完全奏効と回答した(無治療群では10.5%)。

がん治療において、下痢は「よくある副作用」で片づけられがちだが、実際には脱水や食欲不振を招き、抗がん剤の減量や中止に直結する。治療を最後まで続けられるかどうかを左右する、支持療法の要である。申請にはHER2/TKI標的薬ネラチニブ併用時の下痢軽減データも含まれた。愛犬の抗がん剤治療中に軟便や下痢が出たときは、我慢させず必ず主治医に報告してほしい。市販の人用止瀉薬を自己判断で与えるのは危険なので、絶対に避けること。

🔗 https://www.accessnewswire.com/newsroom/en/healthcare-and-pharmaceutical/jaguar-health-completes-submission-of-new-animal-drug-application-for-1180236

💊 医療・がん治療


6. 🧬 研究・科学

猫の口のがんと乳腺のがんは、ヒトのどのがんと似ているのか——ウィスコンシン大が突き合わせた

📅 2026.07.01

ウィスコンシン大学のCarbone Cancer CenterとWisconsin Blood Cancer Research Instituteの研究者らが、猫に自然発生する2つの代表的な腫瘍とヒトのがんを比較したレビューを Cancers 誌に発表した。ひとつは猫の口腔扁平上皮癌(FOSCC)で、TP53・MYC・PTENの変異パターンがHPV陰性のヒト頭頸部扁平上皮癌と類似し、局所への浸潤性が強く1年生存率は10%未満という厳しい予後を示す。もうひとつは猫の乳腺癌(FMC)で、TP53・PIK3CAの変異、CXCL12/CXCR4シグナルの異常、ホルモン受容体発現の低下といった特徴が、ヒトのトリプルネガティブ乳がんと強く重なる。

この重なりが持つ意味は、単に「似ている」という話にとどまらない。実験動物のモデルと違い、猫の腫瘍は免疫系が正常に機能した状態で自然発生する。ヒトの臨床でつまずきがちな免疫療法の評価にとって、これは代えがたい条件だ。翻って飼い主の立場では、猫の口腔扁平上皮癌の予後の厳しさこそ知っておきたい事実である。よだれが増えた、口が臭う、食べ方が変わった、片側だけ顔が腫れている——こうした変化は歯周病と紛らわしいが、早期発見が生存期間を大きく変える。避妊手術の時期が乳腺腫瘍のリスクを下げることも、あわせて主治医に相談してみてほしい。

🔗 https://www.mdpi.com/2072-6694/18/13/2136

🧬 研究・科学


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