📚 犬猫 研究論文 — 2026.08.23
注目論文 3件
1. 🏥 獣医学・医療
【日本】目に寄生する「東洋眼虫」、神奈川の山間部で犬13例——室内飼いでも感染、フィラリア予防薬では防げず
📅 2026.02.27
あすなろ動物病院と岐阜大学のチームが、神奈川県山間部で2021〜2024年に東洋眼虫症と診断した犬13例をまとめ、日本獣医師会雑誌に報告した。東洋眼虫(Thelazia callipaeda)は犬・猫・人・野生哺乳類の眼に寄生する人獣共通の線虫で、ショウジョウバエ科マダラメマトイ属のハエが媒介する。年間平均罹患率は0.26%。症例は雄9例・雌4例、年齢中央値10歳で、12例が山間部に居住し、注目すべきことに10例は室内飼育だった。発症は6〜12月に多く、犬糸状虫(フィラリア)予防薬を投与されていた犬も6例含まれていた。回収虫体数の中央値は3隻(1〜15隻)で、治療は虫体摘出が12例中10例(83%)で有効、3例はイベルメクチン注射を要した。
著者らは、保虫宿主となる都市型野生動物の生息域拡大に伴い、本症の発生域も広がっている可能性を指摘し、眼症状を示す犬では地理的環境を考慮して鑑別診断に加えるべきだとしている。室内飼いでも媒介ハエは屋内に侵入するため油断は禁物だ。山あいの地域で暮らす犬や、キャンプ・登山に犬を連れて行く家庭では、目やに・流涙・結膜の充血が続く場合に東洋眼虫の可能性も念頭に、早めに動物病院で目の検査を受けてほしい。
📖 日本獣医師会雑誌, 2026, 79(2), e15-e20
🔗 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvma/79/2/79_e15/_article/-char/ja/
🏥 獣医学・医療
2. 🏥 獣医学・医療
「ただの膀胱炎」か「腎臓に達した感染」か——血液検査CRPが犬の尿路感染の深刻度をほぼ完璧に見分けた
📅 2026.07.01
犬の細菌性尿路感染では、膀胱にとどまる膀胱炎か、腎臓に達した急性腎盂腎炎かで治療の強度も予後も大きく変わるが、その見極めは容易ではない。イタリアの大学のチームは、尿培養陽性の犬115頭(細菌性膀胱炎56頭、急性腎盂腎炎32頭、急性前立腺炎23頭、腎盂腎炎+前立腺炎4頭)を対象に、診断時の血清CRP(C反応性タンパク)濃度を後ろ向きに比較した。膀胱炎群のCRP中央値が1.04 mg/dLだったのに対し、腎盂腎炎群は平均23.65 mg/dL、前立腺炎群は中央値20.9 mg/dLと約20倍高く、いずれも統計的に有意な差だった。
膀胱炎と「腎盂腎炎・前立腺炎」を見分けるCRPの識別能はAUC 0.99とほぼ完璧で、著者らは「併発する炎症性疾患がない犬では、著しく高いCRPが膀胱炎と腎盂腎炎の鑑別に役立つ」と結論づけた。CRPは多くの動物病院で測定できる身近な検査であり、頻尿や血尿に発熱や元気消失を伴う場合は、この数値が上部尿路感染を疑う手がかりになる。愛犬の排尿トラブルが続くときは、尿検査に加えて血液検査も含めた評価を獣医師に相談したい。
📖 Journal of Veterinary Internal Medicine, 2026, 40(4)
🔗 https://academic.oup.com/jvim/article/40/4/aalag147/8749463
🏥 獣医学・医療
3. 🧠 行動・認知科学
犬は「この人は見ていなかった」を理解できるか——22頭で試した「心の理論」実験、答えは意外にもノー
📅 2026.01.15
他者が「何を知っていて何を知らないか」を推測する能力は「心の理論」と呼ばれ、ヒトの社会性の核心にある。オランダ・ワーヘニンゲン大学のチームは、犬が初対面の人間の「過去の視覚経験」から知識状態を推測できるかを、3つのカップを使った食べ物の争奪課題で検証した。22頭の犬は、3つのうち2つのカップに食べ物が隠されるのを見たうえで、人間の競争相手がそのうち1回の隠し場面しか見ていないことも目撃した。もし犬が相手の知識を理解しているなら、「相手が見ていない方のカップ」を選べば食べ物を独り占めできるはずだ。
しかし結果は、犬が相手の視覚経験を考慮して選択しているという明確な証拠は得られなかった。著者らは、この課題が要求する認知ステップの組み合わせが犬には難しすぎた可能性に加え、「人間と競争する」という設定自体が、協力に特化して進化してきた犬には不向きだった可能性を挙げている。犬の賢さは人間との協力場面でこそ発揮されるのかもしれない。「うちの子は私の考えをわかっている」と感じる場面の多くは、視線や姿勢など様々な手がかりの鋭敏な読み取りによるもの——それはそれで十分すごいことだ。
📖 Animal Cognition, 2026, 29(1), Article 10
🔗 https://link.springer.com/article/10.1007/s10071-025-02034-0
🧠 行動・認知科学
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