🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.09.03

🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.09.03

犬猫の腫瘍・がん関連ニュース&論文 計7件


🎗️ 腫瘍・がん関連ニュース — 2026.09.03

本日 7件

1. 🏥 医療・疾病・予防

【日本】犬の膀胱がんに「ソラフェニブ+ピロキシカム」——東大が43頭の前向き臨床試験で奏効率62.8%、生存中央値407日

📅 2026.09.01

東京大学大学院農学生命科学研究科の前田真吾准教授らは、筋層浸潤性の尿路上皮癌(膀胱・尿道のがん)と診断された犬43頭を対象に、多標的キナーゼ阻害薬ソラフェニブとNSAIDのピロキシカムを併用する前向き臨床試験を実施し、結果をScientific Reportsに発表した。犬の尿路上皮癌はBRAF変異が高頻度に見られ、ソラフェニブはBRAFと血管新生に関わるVEGFRの両方を阻害する。客観的奏効率は62.8%、無増悪生存期間の中央値は175日、全生存期間の中央値は407日で、ピロキシカム単独の過去対照と比べて生存期間はおよそ2倍だった。

さらに研究チームは、効果を予測する2つのバイオマーカーを特定した。ひとつは尿沈渣中の腫瘍細胞におけるケモカインCX3CL1の高発現、もうひとつは治療により生じる高血圧で、VEGFR阻害の”狙いどおりの副作用(オンターゲット毒性)”が出た犬ほど長生きしていた。自然発生がんのモデルで、オンターゲット毒性と治療効果の関連を前向きに示した初の試験だという。犬の膀胱がんは手術が難しく内科治療が中心になるため、既存薬の組み合わせで生存を延ばせるこの結果は臨床的な意義が大きい。血尿や頻尿が続く中高齢犬は早めに尿検査・超音波検査を受け、診断がついた場合はこうした分子標的薬の選択肢について獣医師に相談してほしい。

🔗 https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20260901-1.html

🏥 医療・疾病・予防


2. 🧬 研究・科学

【日本】猫にも「遺伝性がん」があるかもしれない——東大・理研が813頭の遺伝子を解析、BRCA2やTP53など13の病的変異を18頭に確認

📅 2026.08.08

理化学研究所の池田凡子特別研究員・桃沢幸秀チームディレクターと、東京大学の西村亮平名誉教授・富安博隆准教授・中川貴之教授らのグループは、東京大学附属動物医療センターを受診した猫813頭を対象に、ヒトの遺伝性腫瘍の原因として知られる27遺伝子を猫用に最適化したマルチプレックス標的シーケンスで解析し、Scientific Reportsに発表した。813頭中792頭(97.4%)で解析可能なデータが得られ、784の変異のうち13が病的変異と推定され、18頭が保有していた。そのうち7頭がリンパ腫、乳腺癌、肥満細胞腫、骨肉腫疑いなどのがんを発症しており、関与遺伝子にはBRCA2、TP53、ATM、MSH2、MSH6が含まれていた。

注目される症例として、ヒトのリ・フラウメニ症候群に相当するTP53変異を持ち骨肉腫が疑われた雑種猫、TP53変異を持ち皮膚肥満細胞腫を発症したベンガル、BRCA2変異を持ち多中心型リンパ腫を発症した猫が挙げられ、BRCA2変異例ではヒトと同様にPARP阻害薬が効く可能性も示唆された。ジャックラッセルテリアのAPC変異のような品種への偏りは見られなかった。猫の30〜40%が生涯に腫瘍を発症し、その50〜85%が悪性とされるなかで、遺伝子検査による発症リスクの把握や「その猫に合った治療」への道を開く成果といえる。血縁に腫瘍の多い猫や若齢で発症した猫では、将来こうした遺伝子検査が選択肢になるかもしれない。

🔗 https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20260807-1.html

🧬 研究・科学


3. 🧬 研究・科学

肥満細胞腫の悪性度を「腫瘍のなかの好酸球の多さ」で見分ける——スペインの117腫瘍解析、好酸球/肥満細胞比0.38が境目

📅 2026.08.24

スペイン・エストレマドゥーラ大学のマリア・エスケラ=デュランらは、2018〜2024年に外科切除された犬73頭・117個の肥満細胞腫(89.7%が皮膚型、31.5%の犬は多発)を対象に、腫瘍内の好酸球と肥満細胞を連続10視野で数えて「好酸球/肥満細胞比(EMR)」を算出し、悪性度との関係をFrontiers in Veterinary Scienceに報告した。平均年齢は8.9歳、49.3%がオス、23.3%が雑種だった。解析の結果、EMRが高いほどPatnaik分類・Kiupel分類のどちらでも高悪性度と独立して関連し、Kiupel分類ではEMR 0.38を境に低悪性度と高悪性度を判別できることがブートストラップ法で確認された。

一方で、末梢血の好酸球数や、好中球/リンパ球比などの全身性炎症マーカー(NLR、ELR、NER、LMR、PLR、SII、AGR)は悪性度と関連しなかった。つまり血液検査ではなく、腫瘍そのものの微小環境に悪性度の手がかりがあるということになる。EMRは通常の病理検査で追加費用なしに数えられる指標であり、多施設での検証が進めば、術後の追加治療の必要性を判断する材料になりうる。犬に皮膚のしこりを見つけたら、まず細針吸引検査で肥満細胞腫かどうかを確かめ、切除後は病理医のグレード評価をもとに獣医師と今後の方針を相談してほしい。

🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1897478/full

🧬 研究・科学


4. 🏥 医療・疾病・予防

胸の中にできるリンパ腫「縦隔型」の犬70頭を追跡——95%がT細胞型、高カルシウム血症の犬のほうが長く進行を抑えられた

📅 2026.06

英国ケンブリッジ大学などの多施設後ろ向き研究で、原発性縦隔リンパ腫の犬70頭の治療成績がVeterinary and Comparative Oncologyに報告された。体重中央値28kg、年齢中央値6歳で、免疫表現型を調べた症例の95.6%がT細胞型、90%が全身症状のあるサブステージb、69.1%が高カルシウム血症を伴っていた。治療はロムスチンを軸とするLOP/LOPPか、アントラサイクリン系を軸とするCHOP/CEOPのいずれかで、臨床的奏効率92.7%、完全寛解76.6%と反応自体は良好だったが、無増悪生存期間の中央値は132日、全生存期間の中央値は223日で、1年生存率22.9%、2年生存率15.7%にとどまった。

無増悪期間が長かったのは、高カルシウム血症のある犬(p=0.041)、化学療法で好中球減少が起きた犬(p=0.014)、CD4陽性・CD8陰性の表現型(p=0.004)で、逆に診断時の好中球減少、顆粒状の細胞形態、CD4・CD8両陽性は予後不良と関連した。ロムスチン系とアントラサイクリン系で成績に有意差はなかった。非緩徐型T細胞リンパ腫で高カルシウム血症が良好な無増悪期間と結びついた報告はこれで2例目となる。縦隔リンパ腫は咳や呼吸困難、多飲多尿(高カルシウムの症状)で見つかることが多く、若い大型犬でこうした症状があれば胸部レントゲンと血中カルシウム測定を早めに受けたい。

🔗 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/vco.70062

🏥 医療・疾病・予防


5. 🏥 医療・疾病・予防

猫の「大腸がん」と「リンパ腫」は超音波で見分けられるか——タフツ大が82頭を比較、手術+化学療法を受けた大腸腺癌は生存中央値280日

📅 2026.05.28

米タフツ大学カミングス獣医学部のジョー・コダリ、ドミニク・ペニンクらは、大腸腺癌の猫44頭(結腸28頭、回盲部16頭)と高悪性度リンパ腫の猫38頭の超音波所見を比較し、Journal of Feline Medicine and Surgeryに発表した。腺癌は病変長中央値23mm、壁厚9mm、リンパ節腫大29/44頭、腸閉塞30%だったのに対し、リンパ腫は病変長40.3mm、壁厚15mm、リンパ節腫大31/38頭、閉塞11%と、リンパ腫のほうが長く厚い病変を作りやすかった。しかしどちらも「層構造が失われた低エコーの全層性肥厚」という典型像は共通で、腹水32%、潰瘍14%、穿孔による遊離ガス5%も両者に見られた。

全体の生存期間中央値は腺癌19日、リンパ腫23日と厳しい数字だったが、腺癌で手術と補助化学療法を受けた4頭は中央値280日と、無治療(1日)とは大きな差があった。著者らは、画像だけでは両者を確実に区別できないため、細胞診または組織検査による確定診断が不可欠だと結論づけている。慢性的な嘔吐、血便、便秘、体重減少が続くシニア猫では、超音波で腸壁の異常が見つかった段階で「様子見」にせず、針生検や内視鏡で診断を確定させることが、治療の選択肢を残すことにつながる。

🔗 https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1098612X261458018

🏥 医療・疾病・予防


6. 🧬 研究・科学

猫の腫瘍5289例を登録データで解析——8割が悪性、最多は線維肉腫、雑種猫は純血種より悪性リスク1.89倍

📅 2026.01.19

イタリア・ピサ大学とチューリッヒ大学などの研究グループは、イタリア中部の2つの病理ベース腫瘍登録(2008〜2023年)に記録された猫の腫瘍5289例をヒトのがん分類に準じたVet-ICD-O-canine-1でコード化して解析し、Scientific Reportsに発表した。4264例(80.6%)が悪性で、最も多かったのは線維肉腫926例(17.5%)、次いで腺癌814例(15.4%)、扁平上皮癌738例(14.0%)、リンパ腫507例(9.6%)だった。悪性である確率は年齢が1歳上がるごとに8%上昇し(オッズ比1.08)、メス(1.39倍)、雑種(1.89倍)でも高かった。

避妊・去勢は腺癌のリスクを下げ(オッズ比0.79)、純血種は線維肉腫のリスクが低かった(0.67)。経年変化を見ると扁平上皮癌が増加傾向(p=0.001)にある一方、線維肉腫は減少傾向(p<0.001)で、注射部位肉腫対策やワクチン接種方法の変化を反映している可能性がある。猫の腫瘍は犬より少ないが「見つかったときは悪性」の割合が高いことを改めて示すデータで、特に高齢の雑種メス猫では、皮膚のしこりや口の中の異常を軽視せず早期に検査を受けることが重要になる。

🔗 https://www.nature.com/articles/s41598-026-35379-8

🧬 研究・科学


7. 🏥 医療・疾病・予防

「膀胱がんになりやすいスコティッシュテリア」から早期発見を学ぶ——パデュー大学の比較腫瘍学センター、犬のがん研究がヒト治療を前進させる

📅 2026.08.27

米パデュー大学は8月27日、開設1年を迎えたエヴァン&スーアン・ワーリング比較腫瘍学研究センターの活動を紹介した。1979年から続く同大の比較腫瘍学プログラムを率いるデボラ・ナップ教授は、膀胱がん、リンパ腫、骨肉腫、非外科的な腫瘍アブレーションを重点分野に挙げる。膀胱がんの発生率が他犬種の最大20倍とされるスコティッシュテリアは、早期発見研究の重要な対象で、人の膀胱がんの早期スクリーニングにもつながる知見を生んでいる。グレートデーンやロットワイラーに多い骨肉腫では、マイケル・チルドレス准教授がドップラーレーダーを応用した測定ツールとAIで薬剤の反応を予測する研究を進めている。

センターの名称は、寄付者夫妻の愛犬ブランディ(膀胱がんで2つの臨床試験に参加)にちなんでおり、入り口には彼女の像が来院する患者を迎える。臨床試験のコーディネートを担うマレイカ・シェービッツ助教自身もがんサバイバーで、「犬とヒトの両方を救う」ワンヘルスの理念が研究の中心にある。犬の自然発生がんはヒトのがんと似た生物学的特徴を持ち、寿命が短いぶん治療効果を早く評価できるため、こうした大学センターの臨床試験は最新治療にアクセスできる機会でもある。膀胱がんの高リスク犬種を飼っている場合は、定期的な尿検査を獣医師に相談してほしい。

🔗 https://www.purdue.edu/newsroom/2026/Q3/purdue-researchers-study-cancer-in-canines-to-help-advance-treatments-for-humans/

🏥 医療・疾病・予防



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