🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.09.04

🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.09.04

犬猫の腫瘍・がん関連ニュース&論文 計7件


🎗️ 腫瘍・がん関連ニュース — 2026.09.04

本日 7件

1. 🏥 医療・疾病・予防

「FIPが治った」あとに来る影——GS-441524で寛解した猫202頭のうち4頭が2年以内に大細胞型リンパ腫を発症、独ミュンヘン大が”long-FIP症候群”の可能性を提起

📅 2026.03.10

独ミュンヘン大学(LMU)のカタリーナ・ブフタ、カトリン・ハルトマンらとチューリッヒ大学の共同グループは、経口GS-441524(15mg/kg、1日1回)で猫伝染性腹膜炎(FIP)を治療し寛解に至った大規模コホート202頭のうち、FIP診断から2年以内に大細胞型リンパ腫(LCL)を発症した4頭(2.0%)の症例集積をJournal of Feline Medicine and Surgeryに報告した。LCL診断時の年齢は2歳未満が2頭、8歳と13歳が各1頭で、全頭に体重減少、3頭に食欲低下、2頭に慢性嘔吐が見られ、猫白血病ウイルス・猫免疫不全ウイルスはいずれも陰性だった。診断はFIP診断・治療開始から81日、365日(2頭)、595日後で、LCL診断後の生存期間中央値はわずか15.5日だった。

利用できた検体からは高い猫コロナウイルス量もウイルス抗原も検出されず、2頭ではPCRクローナリティ検査でモノクローナルなB細胞集団が確認されB細胞性リンパ腫と診断された。著者らは、一般の猫集団と比べてこの発生率は「際立って高い」とし、FIPに伴う免疫の過剰刺激の長期的影響、あるいはGS-441524治療後の遅発性合併症としての”long-FIP症候群”を考慮すべきだと述べている。ただし因果関係も機序も未解明で、4例という少数例に基づく観察であることには注意が必要だ。FIP治療を終えた猫でも、数カ月〜2年のあいだに体重減少や食欲不振、嘔吐が続く場合は「治ったはず」と片付けず、早めに獣医師に相談し、リンパ節や消化管の評価を受けてほしい。

🔗 https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1098612X261434629

🏥 医療・疾病・予防


2. 🧬 研究・科学

犬の腫瘍110万件、世界最大の登録データベースが英国で誕生——メラノーマはロットワイラーやシャーペイで最大50倍、血管肉腫はシェパードやマスティフで最大28倍のリスク

📅 2026.03.02

英リバプール大学の獣医データサイエンスグループとスペイン・ラスパルマス・デ・グランカナリア大学は、英国の小動物サーベイランスネットワークSAVSNETを通じて民間病理検査ラボのデータを統合し、犬102万頭・110万件超の腫瘍記録(2010〜2023年)を収めた世界最大級の病理ベース腫瘍登録を構築したと3月2日に発表した。最初の解析としてVeterinary and Comparative Oncologyに掲載された論文(ロドリゲス・トーレス、キリック教授ら)では、組織学的に確定した13万998件を対象に、肥満細胞腫、骨肉腫、血管肉腫、メラノーマの4大腫瘍について症例対照研究を行った。ブルドッグ系犬種とレトリバーは肥満細胞腫のオッズ比が最大6.8、ロットワイラー・シャーペイ・ジャイアントシュナウザーはメラノーマが最大50.3、ジャーマンシェパード・マスティフ・ブルマスティフは血管肉腫が最大28.0と、犬種ごとのリスクが数値で示された。

さらに高グレードの肥満細胞腫は高齢で診断されやすく、シャーペイやロットワイラーは高グレード、ボクサーやボストンテリアは低グレードになりやすい傾向があった。避妊・去勢した犬は未去勢の犬より腫瘍のオッズが全般に高く、たとえば3〜6歳の肥満細胞腫では避妊済みメスのオッズ比は未避妊メスの1.81倍で、この差はオスよりメスで一貫して大きかった。キリック教授は「犬猫のがん診断データの多くは民間ラボに眠っており研究に使えなかった」とし、避妊・去勢の慣行ががんリスクにどう影響するかという問いを早期解析が投げかけていると述べている。200犬種超・150腫瘍型超を含むデータは公開ダッシュボードで誰でも閲覧でき、飼っている犬種のリスクを知ったうえで、皮膚のしこりや跛行、突然の虚脱といったサインを見逃さないことが早期発見につながる。

🔗 https://news.liverpool.ac.uk/2026/03/02/researchers-create-worlds-largest-dog-and-cat-tumour-database/

🧬 研究・科学


3. 🏥 医療・疾病・予防

心臓の付け根の腫瘍に「ステント3本+定位放射線」——タフツ大の循環器科と腫瘍科が連携、11歳ボストンテリアの腫瘍が70%縮小

📅 2026.07.29

米タフツ大学カミングス獣医学部フォスター小動物病院は7月29日、心基部腫瘍で心臓と主要血管が圧迫されていた11歳のボストンテリア「アーニー」を、循環器科と放射線腫瘍科の共同治療で救った症例を紹介した。アーニーは4年前の超音波検査で心基部に腫瘤が見つかり、2年前に化学療法を試みたが忍容性が悪く中止。昨秋に呼吸困難と不整脈が出現し、腫瘍が肺動脈と大静脈を圧迫していることが判明した。生検はリスクが高いため未実施だが、ボストンテリアに多い緩徐進行性の化学受容体腫(ケモデクトーマ)が疑われた。心臓の動きを捉えられる心臓CTでステントの径と長さ、照射範囲を設計し、1月に循環器科のイージュン・バーナード・チー助教とブラッドリー・ウェルチェル研修医が肺動脈と2本の大静脈に計3本のステントを留置、2月上旬に放射線腫瘍科のパトリシア・グアルティエリ助教らが5回の定位体幹部放射線治療(SBRT)を行った。

「まずステントで血流を即座に改善し、効果が出るまで数週間かかる放射線を後に」という順序は、高齢犬の麻酔リスクを下げるための判断だったという。5月のCTでは初回画像から腫瘍が70%縮小しており、グアルティエリ助教は「70%は大きな成功。放射線の魔法は一度で終わること」と語る。心基部腫瘍は無症状のまま経過することが多く、心臓や血管を圧迫して初めて咳や呼吸困難、腹水として現れるため、心雑音や心疾患のある短頭種は定期的な心エコーで早期に見つけておきたい。ステント留置と放射線を同一施設で組み合わせる治療は限られた大学病院でしか受けられないが、「手術できない」と言われた腫瘍にも選択肢があることを示す事例といえる。

🔗 https://vet.tufts.edu/news-events/news/cardiology-and-oncology-services-pool-expertise-save-boston-terrier

🏥 医療・疾病・予防


4. 🏥 医療・疾病・予防

肺に転移した腫瘍が「自分の免疫で消えた」——UCデービスが犬用PD-L1抗体の臨床試験で完全奏効例、皮下投与への移行も開始

📅 2026.08.26

米カリフォルニア大学デービス校獣医学部は8月26日、犬用に開発した抗PD-L1抗体の臨床試験で、肺に転移した腫瘍が消失した12歳のビーグル「スヌーピー」の症例を紹介した。この抗体は10年以上前、免疫学者スティーブン・マクソーリー教授が獣医学生から「犬にも革新的な免疫療法はないのか」と問われたことをきっかけに、腫瘍科のロブ・レブフン、サミ・アルナダフらと共同で開発したもので、ヒト用のPD-L1抗体は犬には使えないため一から作製した。がんが免疫にかけた「ブレーキ」を外し、患者自身の免疫でがんを攻撃させる仕組みで、マクソーリー教授は「スヌーピーは自分で自分を治した。少し手助けが要っただけだ」と語る。

試験開始から1年で11頭が参加し、8頭は無効、3頭が継続中。スヌーピーは経過観察のX線とCTで肺の大きな結節が消える完全奏効、もう1頭は腫瘍縮小の部分奏効を示し、3頭目は静脈点滴ではなく皮下投与を受けている。レブフン氏は「新薬のリスクが不明な段階では失うものがない進行例から始める。だからこそ結果は印象的だ」と述べ、今後は至適用量や早期の効果指標、忍容性を検証する。結果は未発表で、将来的な承認薬化には追加の助成と試験が必要だが、UCデービスは皮下投与の有効性も検証中だ。免疫チェックポイント阻害薬は獣医療でも実用化が近づいており、転移のあるがんと診断された場合は、大学病院の臨床試験という選択肢を主治医に尋ねてみる価値がある。

🔗 https://www.vetmed.ucdavis.edu/news/bench-bedside

🏥 医療・疾病・予防


5. 🏥 医療・疾病・予防

血液検査で「肥満細胞腫」も拾う——IDEXXがCancer Dxパネルを拡張、2026年半ばから追加費用なしで犬のがんの3分の1超をカバー

📅 2026.01.15

米IDEXXラボラトリーズは1月15日、犬のリンパ腫を血液から検出する「IDEXX Cancer Dxパネル」に肥満細胞腫の検出を追加し、2026年半ばから米国・カナダのリファレンスラボで提供すると発表した。追加費用や検体条件の変更はなく、結果は2〜3日で返る。既存のリンパ腫検査は米国・カナダの5500以上の動物病院で使われ、臨床症状が出る最大8カ月前にリンパ腫のシグナルを検出できるとされる。肥満細胞腫を加えることで、パネルは犬のがん症例の3分の1超に対応することになる。同時に、スライド不要の院内細胞分析装置「inVue Dx」に細針吸引(FNA)細胞診機能を追加し、まず肥満細胞腫の判定から開始、必要に応じてIDEXXの病理医によるレビューも依頼できるようにした。

同社は7歳以上のすべての犬と、高リスク犬種では4歳以上を「リスク犬」と位置づけ、健康診断時のスクリーニングと、しこりが疑われる犬の確定検査の両方での利用を想定している。腫瘍専門医のザカリー・ノイマン氏は「肥満細胞腫は早く見つけて速やかに治療すれば転帰を劇的に変えられる」とコメントした。ただし、血液スクリーニングは細胞診や組織検査の代わりではなく、陽性なら画像検査や生検で確定する必要があり、陰性でも見た目の異常があれば針を刺して調べるのが原則だ。日本での提供時期は未定で、当面は皮膚の「しこり」を見つけたらまず細針吸引検査という基本を、かかりつけ獣医師と確認しておきたい。

🔗 https://ir.idexx.com/news-events/press-releases/detail/403/idexx-advances-the-future-of-veterinary-cancer-care-with-comprehensive-mast-cell-tumor-testing-for-dogs

🏥 医療・疾病・予防


6. 🧬 研究・科学

【日本】血液中の18元素で犬の「前立腺がん」を見分ける——日本大学が115頭で「メタロバランス指数」を検証、AUC 0.983

📅 2026.08.12

日本大学生物資源科学部獣医外科学研究室の山田直樹、浅野和之教授らは、犬の前立腺腺癌(PAC)を非侵襲的に見分ける血液バイオマーカーとして、血清中の18元素を誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)で測定する「メタロバランス指数(MBI)」を検証し、Frontiers in Veterinary Scienceに発表した。対象は臨床的に健康なオス65頭、良性前立腺肥大25頭、前立腺嚢胞1頭、組織学的に確定したPAC 24頭の計115頭。まず健康犬で18元素の暫定基準範囲を設定し、線形判別分析でMBIを算出したところ、PACと対照群91頭の判別でAUCは0.983、カットオフ0.8030で感度100%、特異度92.3%、正診率93.9%だった。7歳以上の対照に限定してもAUCは0.984、良性前立腺肥大とPACの判別では0.998に達した。

元素別ではPACの犬でナトリウム、カルシウム、銅、セレンが高く、これはヒト前立腺がんの報告とも重なる。PACの犬では術前MBIがリンパ節転移のある個体で高かった一方、切除縁の状態による差や術後2週間での明確な変化はなく、短期の治療モニタリングには向かないと結論している。著者ら自身が強調するように、これらの数値は同じ症例で作った式を同じ症例に当てはめた「見かけ上の性能」であり、独立した前向きコホートでの検証なしに臨床性能とは解釈できない。それでも犬の前立腺がんは去勢犬にも発生し、血尿や排尿・排便困難が出た時点で進行していることが多いだけに、血液で拾える指標は貴重だ。高齢のオス犬でこうした症状があれば、直腸検査と超音波検査を早めに受けてほしい。

🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1882881/full

🧬 研究・科学


7. 🏥 医療・疾病・予防

猫の肉腫を「取り残し」ても諦めない——ブレオマイシン単剤の電気化学療法を66頭に実施、低グレードでは再発中央値に未到達、高グレードでも389日

📅 2026.07.13

米ワシントン州のブリッジ動物紹介センター(ケイトラン・ホビス、チェルシー・トリップら)とミズーリ大学のジェフリー・ブライアン教授は、外科切除で腫瘍の取り残しがある、あるいは切除縁がぎりぎりだった猫の肉腫66頭に対し、ブレオマイシン単剤の電気化学療法(ECT)を行った2015年3月〜2024年7月の成績をFrontiers in Veterinary Scienceに報告した(7月13日受理)。猫の肉腫には標準化されたグレード分類がないため、主に核分裂数をもとに高グレード43頭と低グレード23頭に分け、高グレードは平均2回、低グレードは1回のECTを実施。ブレオマイシンを静脈内に投与した後、手術痕に沿って皮下にも2対1の比率で注射し、手術痕とその周囲2cmの組織に100マイクロ秒・1Hz・1200V/cmの二相性パルス8回の電気穿孔を加えた。

その結果、無病期間の中央値は低グレード群では観察期間中に到達せず、高グレード群では389日で、両群の差は統計的に有意だった。著者らは、ブレオマイシン単剤ECTは猫では初の評価であり、切除縁が不十分な肉腫に対して手術単独より無病期間を延ばしたと結論づけている。猫の注射部位肉腫は広範囲切除が原則だが、四肢や体幹の位置によっては十分な余白を取れないことがあり、その場合の追加治療として放射線に比べ設備と回数の負担が小さいECTは現実的な選択肢になりうる。ワクチン接種部位などに残るしこりが1カ月以上消えない、3cm以上ある、大きくなり続ける場合は早めに生検を受け、切除後の病理報告で「切除縁不完全」とあれば追加治療について獣医師と相談してほしい。

🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1902206/full

🏥 医療・疾病・予防



🎗️ 犬猫腫瘍ニュース | all-i-need-are-dogs.blog

コメントをどうぞ