📚 犬猫 研究論文 — 2026.09.05

short-coated brown dog

📚 犬猫 研究論文 — 2026.09.05

注目論文 3件


1. 🏥 獣医学・栄養学

【日本】市販キャットフード34製品のカルシウム・リン・食塩を実測——「総合栄養食」でもカルシウム/リン比が1未満の製品があり、ウェットに多かった。欧州FEDIAF基準を外れる製品も

📅 2026.04.10

日本ペット栄養学会の学会誌に、日本で流通するキャットフードのカルシウム、リン、ナトリウム含有量を実測した調査(五木田紅葉、小田民美、森昭博)が掲載された。対象は市販の猫用総合栄養食(ドライフード12種、ウェットフード12種)と間食のウェットフード10種の計34製品で、カルシウムとリン、そして食塩濃度から換算したナトリウムを分析した。総合栄養食のドライとウェットを比べると、カルシウム、リン、ナトリウムの含有量にもカルシウム/リン比にも統計的に有意な差はなかった。しかし総合栄養食の中にはカルシウム/リン比が1以下と低い製品が存在し、その数はウェットフードに多い傾向があった。

カルシウム/リン比は骨の健康だけでなく、猫で問題になりやすい慢性腎臓病との関係でも注目される指標で、リンの摂取が相対的に多い食事は腎臓への負担が懸念されている。著者らは、日本で流通するキャットフードの中には欧州ペットフード工業会連合(FEDIAF)の基準を外れる製品も存在したとして、カルシウムやリンの表示義務化やFEDIAF基準の採用など、キャットフードの正確な成分表示について議論が必要だと結論づけている。日本のペットフードの表示制度では、リンやカルシウムの含有量は必ずしもパッケージに書かれておらず、飼い主が比較するのは難しいのが現状だ。腎臓病や尿石症のある猫、シニア猫では、フードのリン含有量や療法食の必要性についてかかりつけの獣医師に相談してほしい。

📖 ペット栄養学会誌, 2026, 29(1)

🔗 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan/29/1/29_23/_article/-char/ja

🏥 獣医学・栄養学


2. 🏥 獣医学・栄養学

熱中症、窒息、やけど、低血糖、大出血——犬猫の「応急手当」に初の国際ガイドライン。RECOVERが10の臨床課題から38の推奨事項を策定、飼い主向け図解も

📅 2026.08.01

心肺蘇生(CPR)ガイドラインで知られる獣医救急の国際イニシアチブRECOVERが、犬猫の「病院に着く前の応急手当」に関する初の証拠・合意に基づくガイドラインをJournal of Veterinary Emergency and Critical Careに発表した。ペンシルベニア大学のデボラ・マンデル氏、UCデービスのジェイミー・バーキット・クリードン氏、コーネル大学のダニエル・フレッチャー氏らが中心となり、応急手当に関する優先度の高い臨床課題を「対象・介入・比較・結果(PICO)」形式で10項目設定し、情報専門家による系統的文献検索と証拠の質評価を経て推奨事項を起草、獣医療従事者を対象とした国際的なパブリックコメント期間を経て確定した。結果として、熱中症、窒息、やけど、腐食性でない毒物の誤食、低血糖、四肢の重度出血など、病院到着前の適切な処置が生死や後遺症を左右しうる状況について38の治療推奨がまとめられた。

ガイドラインには、一般向けの「認識して行動する」アルゴリズムが全体版1つと状況別4つ、さらに飼い主やハンドラー、補助職を教育するための6つの図解が含まれており、獣医師が飼い主に「こういうときはこうする」と明確で実行可能な指示を伝えるための共通基盤となる。これまで犬猫の応急手当は、人の救急法の流用や経験則で語られることが多く、根拠のあるまとまった指針がなかった。日本でも夏の熱中症や誤食、散歩中のケガは動物病院への来院理由の上位を占めており、「まず何をして、何をしてはいけないか」を知っているかどうかで結果が変わる。ただし応急手当はあくまで病院に向かうまでのつなぎであり、処置をしたら必ず動物病院に連絡し、可能なら向かいながら指示を仰いでほしい。かかりつけの獣医師に、自分の犬猫の持病に応じた「緊急時にすべきこと」を一度聞いておくのも有効だ。

📖 Journal of Veterinary Emergency and Critical Care, 2026, 36(Suppl 1)

🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42640813/

🏥 獣医学・栄養学


3. 🧠 行動・認知科学

犬の「嗅覚検査」がついに標準化へ——独ハノーファー獣医大が人の嗅覚テストを犬用に改良、健康な80頭でクローブの香りを10兆分の1グラムまで検出。若い犬より成犬が鋭く、シニアで低下

📅 2026.08.13

犬の嗅覚は探知犬から医療まで幅広く活用されているが、個々の犬の「嗅覚が正常か」を臨床で評価する方法は人の医療に比べて遅れていた。ドイツ・ハノーファー獣医大学のL・H・ハーゲマン氏、ホルガー・フォルク教授らは、ドレスデン工科大学のトーマス・フンメル教授(人の嗅覚検査「Sniffin’ Sticks」の開発者)と共同で、この検査の犬版「canSSt」を開発し、Scientific Reportsに発表した。飼い主から提供された健康な犬80頭に臨床・神経学的検査を行ったうえで、クローブの香り成分オイゲノールを10倍ずつ段階希釈した15本のフェルトペンを薄いほうから順に嗅がせ、犬がにおいに気づく行動反応を直接観察と第三者のビデオ判定で記録した。観察者内・観察者間の一致度は高く(級内相関係数0.77〜0.91)、平均の検出閾値は希釈段階14.09(標準偏差0.79)、濃度にして1ミリリットルあたり8.71×10のマイナス14乗グラムというきわめて微量だった。

性別や避妊去勢の有無、短頭種か長頭種かといった頭蓋の形による差はみられなかった一方、嗅覚の感度は若齢犬から成犬にかけて高まり、シニア犬では低下するという、人と同じ年齢パターンが確認された。著者らは、15段階セットのうち「希釈段階およそ14」を正常嗅覚の基準値として提案し、さらに薄い希釈段階を加えれば犬の嗅覚の全範囲を測定できるとしている。人では嗅覚の低下がパーキンソン病や認知症の早期サインとして重視されており、犬でも神経疾患の診断や高齢犬の認知機能低下の評価に嗅覚検査が加わる可能性がある。シニア犬がおやつを探すのに手間取る、食べ物の好みが急に変わったといった変化は、嗅覚の衰えや神経の病気のサインかもしれない。気になる場合は獣医師に相談してほしい。

📖 Scientific Reports, 2026, 16:25894

🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42613355/

🧠 行動・認知科学


毎朝7時配信

コメントをどうぞ