🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.10.09
犬猫の腫瘍・がん関連ニュース&論文 計7件
🎗️ 腫瘍・がん関連ニュース — 2026.10.09
本日 7件
1. 🔬 診断・バイオマーカー
猫のがん約500頭の遺伝子を解読、乳腺腫瘍の50%超でFBXW7変異——英サンガー研究所・ゲルフ大学・ベルン大学がScience誌に発表
📅 2026.09.26
英ウェルカム・サンガー研究所、カナダ・ゲルフ大学のオンタリオ獣医大学、スイス・ベルン大学などの研究チームが、家猫のがんの遺伝子解析を『Science』誌(391巻6787号、題名は「The oncogenome of the domestic cat」)に発表しました。5か国の約500頭の猫の腫瘍を調べたもので、診断のために獣医師がすでに採取していた組織のDNAを解読しています。猫のがんの原因遺伝子の多くは、人や犬のがんでも見つかる遺伝子でした。猫の乳腺腫瘍で最も多かったのはFBXW7の変異で、腫瘍の50%超にありました。また、FBXW7変異をもつ猫の乳腺腫瘍には、特定の抗がん剤が効きやすいことも示されました。
薬の効き方の違いが確認されたのは摘出した組織サンプルでの話で、生きた猫や人で有効かはまだ示されていません。サンプルは診療目的で集められた組織なので、猫全体を代表しているとは限らず、新しい治療法が確立したわけでもありません。猫の乳腺にしこりを見つけたら、様子見をせず早めに動物病院へ相談してください。
🔗 https://www.sciencedaily.com/releases/2026/09/260924231826.htm
🔬 診断・バイオマーカー
2. 🏥 医療・疾病・予防
脳のグリオーマの犬を募集、UCデービス大が2つの臨床試験——オートファジー阻害薬と放射線の併用(CARE)、60頭の経過観察(PRISM)、米国立がん研究所の助成
📅 2026.09.10
米カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)獣医学部が、グリオーマ(脳のグリア細胞由来の腫瘍)が疑われる、または確定した犬を対象に、2つの臨床試験への参加を募っていると、dvm360が2026年9月10日に報じました。どちらも米国立がん研究所(NCI)の助成です。CARE試験は、オートファジー(細胞の自己分解の仕組み)を阻害する試験薬を、週2回・4週間、静脈内に投与し、標準的な放射線治療と併用します。腫瘍が放射線に反応しやすくなるか、薬が腫瘍に届くかを調べ、治療の前後に腫瘍の生検を行います。PRISM試験は60頭が対象で、グリオーマの経時変化と分子サブタイプを調べます。
CARE試験の薬の名前や目標頭数、詳しい参加条件は、記事には書かれていません。安全性も有効性も確立しておらず、これは治験参加者の募集の案内であって、治療成績の報告ではありません。脳腫瘍が疑われるてんかん発作や行動の変化があれば、まず獣医師に相談し、治験については主治医を通じて問い合わせるとよいでしょう(問い合わせ先は同大の臨床試験センター)。
🔗 https://www.dvm360.com/view/uc-davis-clinical-trials-are-recruiting-dogs-with-glioma
🏥 医療・疾病・予防
3. 💉 製薬・バイオ企業
再発したB細胞性リンパ腫の犬60頭、薬の選択が検査予測に近いと無増悪期間の中央値は49日(遠いと21日)——ImpriMed社の分析、企業発表で第三者検証なし
📅 2026.09.30
米国のバイオ企業ImpriMedは、同社の薬剤反応予測検査「Personalized Prediction Profile(PPP)」について、費用の分析を2026年9月に発表しました(米国獣医がん学会の年次大会で発表、dvm360が9月30日に報道)。PPPは、犬のがん細胞を生きたまま薬にさらし、その反応と腫瘍の情報、過去の患者の経過をAIで組み合わせて、効きそうな薬を予測する検査です。実際に使われた薬が予測に近かった群の無増悪期間の中央値は49日、遠かった群は21日でした。病気が進行しない1日あたりの推定費用は、近い群で117.09ドル、遠い群で188.53ドルで、差は71.44ドル(38%)でした。ただし検査費を含む総費用は、近い群のほうが高くなっています。
これは企業発表であり、第三者による検証はありません。記事には群ごとの頭数、「近い」の定義、費用の前提、信頼区間やp値が書かれておらず、薬の選び方が原因で成績が良くなったとまでは言えません。
💉 製薬・バイオ企業
4. 💊 治療・新薬
猫の不完全切除の肉腫66頭にブレオマイシン単独の電気化学療法、高悪性度の無病期間中央値は389日、局所再発46.5%(米ブリッジ動物紹介センター、ミズーリ大学)
📅 2026.09.18
米ワシントン州のBridge Animal Referral Centerとミズーリ大学の研究チームが、『Frontiers in Veterinary Science』13巻に発表した後ろ向き研究です。2015年3月から2024年7月に、切除が不完全または切除縁が近かった肉腫の猫66頭に、ブレオマイシンのみの電気化学療法(ECT)を行った記録を調べました。標準的な猫の肉腫の悪性度分類がないため、おもに核分裂数で分け、高悪性度が43頭(多くは2回のECT)、低悪性度が23頭(1回)でした。無病期間の中央値は、高悪性度で389日、低悪性度では到達しませんでした(p ≤ 0.001)。局所再発は高悪性度で46.5%(20/43頭)、低悪性度で17.3%(4/23頭)、転移は高悪性度で11.6%(5/43頭)、低悪性度で0%でした。
手術だけの群との比較はなく、論文にある「手術のみより改善」という表現は、過去の文献との比較に基づくものです。1施設の後ろ向き研究で、再発を細胞診や病理で確認していない例もあり、ECTの回数は飼い主の希望でばらつきがあります。しこりが大きくなる、増えるといった変化があれば、早めに獣医師へ相談してください。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1902206/full
💊 治療・新薬
5. 🏥 医療・疾病・予防
多中心型B細胞リンパ腫の犬55頭、全身症状ありは生存期間中央値140日(なしは186日)、CHOPへの反応なしは182日(あり196日)——国立台湾大学
📅 2026.08.17
国立台湾大学獣医学院・附設動物病院の研究チームが、台湾の犬の多中心型B細胞リンパ腫(MBCL)を調べ、『Frontiers in Veterinary Science』13巻に発表しました。2013年から2026年の記録を後ろ向きに調べたもので、リンパ腫の犬441頭のうち、免疫表現型が分かったのが252頭、B細胞性が169頭でした。全身症状がある(サブステージb)犬の全生存期間の中央値は140日で、症状のない犬の186日より短く、ハザード比は2.27(95%信頼区間1.04〜4.96、p = 0.040)でした。CHOPで完全または部分寛解した犬は196日、安定または進行した犬は182日で、ハザード比は2.09(1.06〜4.16、p = 0.035)でした。
反応の有無による中央値の差は14日にすぎず、著者ら自身が過大に解釈しないよう注意しています。後ろ向き研究で記録の不備があり、CHOPの期間(15、19、25週)がばらつき、腫瘍の量や年齢などの調整もされていません。リンパ腫は首や脇、足の付け根のリンパ節が硬く腫れることで気づくことが多いので、そうした腫れや元気の低下があれば、早めに受診してください。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1870235/full
🏥 医療・疾病・予防
6. 🏥 医療・疾病・予防
犬の腫瘍9,823件を伊ラツィオ州の登録データで解析、皮膚38.4%・乳腺23.2%・軟部組織13.3%、推定罹患率は10万頭あたり662.1(動物衛生研究所アレアンドリ、パドヴァ大学など)
📅 2026.09.08
イタリア中部ラツィオ州の動物衛生研究所(Istituto Zooprofilattico Sperimentale del Lazio e della Toscana)やパドヴァ大学、ピサ大学などの研究チームが、『Frontiers in Veterinary Science』13巻に発表した後ろ向きの記述研究です。2009〜2023年に検査所ベースのがん登録に記録された、犬9,122頭の原発腫瘍9,823件を解析しました。悪性は59.3%で、部位は皮膚が38.4%、乳腺が23.2%、軟部組織が13.3%でした。2021年の獣医施設の調査を用いた推定罹患率は、10万頭あたり662.1(悪性249.4、良性412.7)でした。
検査所への自主的な提出に基づくため、症例は過小に数えられている可能性があります。調査の回答率は12.1%、良性腫瘍の提出率は約10%(悪性は24%)、剖検率は3.1%で、内臓の腫瘍は見落とされやすい点も限界です。また、比例罹患比は記録された腫瘍の内訳を示すもので、病気のかかりやすさそのものではありません。体をなでる習慣の中で、しこりの大きさや変化を月に1回ほど確認しておくと安心です。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1919722/full
🏥 医療・疾病・予防
7. 🏥 医療・疾病・予防
【日本】頸部から前縦隔まで広がった猫の甲状腺腺腫を外科切除、術後経過は良好——日本獣医がん学会雑誌の短報(ファミリー動物病院、東京大学・日本小動物医療センターなど)
📅 2026.06.25
『日本獣医がん学会雑誌』15巻1号(2026年)に掲載された短報で、J-STAGEでの公開日は2026年6月25日です。著者は、NORTH LABの杉山大樹氏と並木啓汰氏、東京大学附属動物医療センターと日本小動物医療センターの池田彬人氏、ファミリー動物病院の鈴木裕子氏、吉田文香氏、吉田健二氏、田中杏里咲氏、明石優氏、金山弘俊氏です。要旨によると、猫の甲状腺腺腫は通常は機能性で比較的小さく、直径1cmを超えることはまれとされ、嚢胞性や巨大な腺腫の報告はわずかです。今回は、頸部から前縦隔にまで伸びた非機能性の甲状腺腺腫の猫を報告しています。腫瘍は外科的に切除でき、術後の経過は良好だったと要約されています。
確認できたのは要旨のみで、猫の年齢や症状、画像所見、病理所見、術後の観察期間などの数値は、ここでは確認できていません。1例の報告なので、他の猫にそのまま当てはまるとは言えません。高齢の猫で首のしこりや呼吸の変化、食欲低下があれば、獣医師に相談してください。
🔗 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvcs/15/1/15_2025-010/_article/-char/ja
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