🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.10.11
犬猫の腫瘍・がん関連ニュース&論文 計7件
🎗️ 腫瘍・がん関連ニュース — 2026.10.11
本日 7件
1. 💊 治療・新薬
犬の皮下・筋肉内の血管肉腫53頭に低分割放射線(24Gy/3回または30Gy/5回)、評価可能30頭の奏効率93%・生存期間中央値306日——ワシントン州立大学の後ろ向き研究
📅 2026.10.06
米ワシントン州立大学の研究チームが、『Frontiers in Veterinary Science』(13巻)に発表した単一施設の後ろ向き研究です。皮下(SC)または筋肉内(IM)に発生した血管肉腫の犬53頭(SC 27頭、IM 26頭)が対象で、低分割放射線(8Gy×3回の計24Gy、または6Gy×5回の計30Gy)を、手術や化学療法と組み合わせて受けました。47頭(89%)が化学療法を受け、多くはドキソルビシンでした。評価可能だった30頭の放射線に対する奏効率は93%(完全奏効37%、部分奏効56%)、局所の進行・再発は36頭中11頭(30%)で、中央値128日後に起きました。生存期間中央値は306日で、放射線の前に手術を受けた犬は2059日、受けなかった犬は287日でした(p=0.007)。多変量解析で独立して死亡と関連したのは貧血(HR 3.20)のみでした。
単一施設・後ろ向き研究で、局所再発のイベントは11件と少なく、多変量解析は探索的です。手術を受けた犬は腫瘍が小さい傾向があるなど選択バイアスもあり、化学療法の効果は評価できていません。それでも、手術で取り切れないことの多い体表・筋肉内の血管肉腫で、放射線が局所制御の選択肢になりうることを示す報告です。しこりが急に大きくなる、赤黒く変色する、貧血でふらつくといった様子があれば早めに受診し、手術・放射線・抗がん剤の組み合わせは腫瘍専門医と相談してください。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1925779/full
💊 治療・新薬
2. 🔬 診断・バイオマーカー
犬の肥満細胞腫27頭・29回の手術で血漿ヒスタミンを測定、術前1.0ng/mL超は無増悪期間が有意に短い——ただし腫瘍体積の影響で独立した予後因子ではなく、酪農学園大学の探索的研究
📅 2026.09.11
酪農学園大学の研究チームが、『Frontiers in Veterinary Science』(13巻)に発表した後ろ向きの探索的研究です。犬の肥満細胞腫で、手術の前後の血漿ヒスタミン濃度(PHC)が予後の指標になるかを調べました。28か月の間に27頭で29回の切除が行われました。術前のPHCが1.0 ng/mLを超える犬は、1.0 ng/mL以下の犬より無増悪期間が有意に短くなりました。一方、皮膚の腫瘍の多変量解析では、術前PHCは腫瘍の体積の影響を受けており、独立した予後因子ではありませんでした。術後にPHCが高かった犬は少数でしたが、肉眼で見える残存病変とは有意に関連しました。
著者らは、術前PHCは主に腫瘍の大きさを、術後PHCは肉眼的な取り残しを反映するとみて、既存の指標を補う検査になりうると述べています。ただし単施設・少数例で、1.0 ng/mLという境界値は探索的なもの、犬の血漿での測定法は十分に検証されておらず、健常犬の基準範囲もありません。術前モデル全体も有意ではありませんでした(p=0.065)。現時点で飼い主が受けられる検査として確立したものではないため、肥満細胞腫の手術後のフォローや追加治療は、主治医の方針に従って相談してください。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1882434/full
🔬 診断・バイオマーカー
3. 🧬 研究・科学
犬の鼻腔がん(鼻腔癌)から腫瘍オルガノイドを作製、薬剤への反応が株ごとに異なり、S100A2の抑制で増殖と浸潤が低下——ただし培養・マウスの段階、東京農工大学など
📅 2026.09.14
東京農工大学と岡山理科大学の研究チームが、『Frontiers in Veterinary Science』(13巻)にオンライン掲載した基礎研究です。犬の鼻腔癌は悪性度が高く転移もしやすい一方、放射線治療は費用が高く、高齢犬では麻酔のリスクもあります。研究では、犬の鼻腔癌の腫瘍組織からオルガノイド(立体培養)を作りました。オルガノイドは杯細胞に似た特徴を示し、CK19、E-カドヘリン、Ki67といったマーカーが元の腫瘍と一致し、免疫不全マウスで腫瘍も形成しました。抗がん剤への反応は株によって異なり、遺伝子発現の比較ではMYC標的、酸化的リン酸化、タンパク質分泌の経路が正常な鼻腔の細胞より強くなっていました。上昇していたS100A2を抑えると、細胞の増殖と浸潤が低下しました。
要旨には症例数やオルガノイド株の数を示す数値がなく、検証したのも培養細胞とマウスまでで、犬での治療効果は確認されていません。ページには最終版が近く公開されると記されており、日付は変わる可能性があります。将来、個々の犬の腫瘍で薬の効きやすさを調べる手段や、S100A2を標的とした治療の足がかりになるかもしれません。鼻血や片側の鼻水、顔の腫れが続く場合は、早めに獣医師へ相談してください。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1912335/full
🧬 研究・科学
4. 🏥 医療・疾病・予防
犬の肝細胞がんにPARP阻害薬オラパリブとcIL-15免疫療法、AFPを追跡しながら診断から20か月生存——13歳シーズー1頭の症例報告、韓国・建国大学など
📅 2026.10.06
韓国・建国大学などの研究チームが、『Frontiers in Veterinary Science』(13巻)に発表した症例報告です。肝臓の酵素値の上昇が数か月続いていた13歳の避妊雌のシーズー(副腎皮質機能亢進症の管理中)で、尾状葉に後大静脈と接した単発の肝臓腫瘤が見つかり、超音波ガイド下の生検で肝細胞がんと診断されました。血清アルファフェトプロテイン(AFP)は著しく高値でした。完全切除ができなかったためオラパリブ(PARP阻害薬)を開始しましたが、2か月後に腫瘍が進行し、減量手術を実施しました。その後、オラパリブと犬インターロイキン15(cIL-15)の免疫療法を続けると10か月間は臨床的・画像的に安定し、AFPも有意に低下しました。副作用が疑われてcIL-15を中止しオラパリブも減量するとAFPが上昇し、超音波で再発を確認、腫瘤の発見から20か月で死亡しました。
1頭の報告なので、オラパリブやcIL-15の効果を示すものではなく、どちらがどれだけ寄与したかも分かりません。飼い主の判断による用量変更や中断があり、オラパリブの犬での用量も確立していません。リンパ節は未確認で、再発の病理確認や剖検もなく、死因も不明です。著者らはAFPが経過観察の補助指標になる可能性を提案していますが、さらに検証が必要です。肝臓の数値の異常が続くときは、画像検査を含めた精査を獣医師に相談してください。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1942682/full
🏥 医療・疾病・予防
5. 💉 製薬・バイオ企業
犬の抗PD-1抗体ギルベトマブ、メルク・アニマルヘルスが2本の査読論文を発表——悪性黒色腫・肥満細胞腫で臨床的利益率66.7%、肥満細胞腫の奏効率46%(企業発表)
📅 2026.10.10
メルク・アニマルヘルスは2026年10月10日、犬用の抗PD-1抗体ギルベトマブ(caninized anti-PD-1抗体)に関する2本の査読論文を発表しました。『Journal of Veterinary Internal Medicine』は、犬の口腔・皮膚の悪性黒色腫と肥満細胞腫での有効性と安全性を評価した論文です。『Journal of the American Veterinary Medical Association』(2026年9月8日オンライン公開、Chon氏ら)は、免疫チェックポイント阻害薬の総説で、PD-1経路やpseudoprogression(見かけの増悪)、患者選択やバイオマーカーなどの課題を整理しています。発表によると、悪性黒色腫と肥満細胞腫を合わせた臨床的利益率(完全奏効・部分奏効・安定)は66.7%、ステージII〜IIIの口腔悪性黒色腫の奏効率は20%(40%が安定)、ステージI〜IIIの肥満細胞腫の奏効率は46%で、無増悪期間の中央値は評価期間中に未到達でした。重篤な有害事象は5.9%、96%の犬が治療中に生活の質を保ったとされています。
数値は企業の発表文に基づくもので、症例数は記載がなく、JVIM論文の本文は今回確認できていません。ギルベトマブは米国のみで販売され、安全性・有効性・力価が十分に評価されていない条件付き承認のため、追加の試験が続いています。30分の点滴で、ジフェンヒドラミンの前投薬を行うとされています。日本では使えない薬ですが、犬のがん免疫療法の現状を示す動きです。メラノーマや肥満細胞腫の治療選択は、主治医や腫瘍専門医と相談してください。
💉 製薬・バイオ企業
6. 💉 製薬・バイオ企業
犬のリンパ腫向け経口薬ラベルディア(ベルディネクソル錠)が米国で販売開始、無増悪期間の中央値は37日対23日——米FDAの完全承認は2026年1月、Dechra発表
📅 2026.09.23
獣医薬企業のDechraは、犬のB細胞性またはT細胞性リンパ腫(新規診断・再発のいずれも)を対象とする経口薬ラベルディア(Laverdia、ベルディネクソル錠)が購入可能になったと発表しました。米FDAは2026年1月16日に完全承認しており、犬のリンパ腫で初のFDA承認の経口治療薬とされています。2021年1月にマイナーユース・マイナースピーシーズ制度で条件付き承認を受け、4回の年次更新を経た完全承認です。用量は1.25 mg/kgを週2回で、投与間隔は72時間以上あけ、忍容できれば2週間後に1.5 mg/kgへ増量できます。野外試験では160頭が登録され、134頭が有効性の解析に含まれ、無増悪期間の中央値はベルディネクソルで37日、対照群で23日でした(P=0.011)。
副作用には重度の食欲不振のほか、食欲低下、嘔吐、下痢、脱水、体重減少、肝酵素の上昇、血小板減少などがあり、血液検査での頻回なモニタリングが必要です。妊娠中・授乳中・繁殖中の犬には使えず、人が扱う際も、妊娠中や授乳中の女性などの接触を避け、化学療法対応の手袋を使うなどの注意が示されています。無増悪期間の差は日数で見ると小さく、この結果は米国での情報です。日本で入手できる薬ではありませんので、犬のリンパ腫の治療方針は、主治医や腫瘍専門医と相談してください。
🔗 https://www.dvm360.com/view/laverdia-now-available-for-purchase-for-dogs-with-lymphoma
💉 製薬・バイオ企業
7. 🏥 医療・疾病・予防
パデュー大学の比較腫瘍学センター、犬の膀胱がん早期発見で取り組み——スコティッシュ・テリアは他犬種の最大20倍、高エネルギーの腫瘍アブレーションも開発中
📅 2026.08.27
米パデュー大学は2026年8月27日、約1年前に開設したエバン&スー・アン・ワーリング比較腫瘍学研究センターの活動を紹介しました。1979年に始まった比較腫瘍学プログラムを土台にし、Deborah Knapp教授のチームは、他の犬種より最大20倍膀胱がんになりやすいスコティッシュ・テリアで、早期発見と予防の研究を進めています。Michael Childress教授のチームは、ドップラーレーダーとAIを使い、なぜ薬に反応する患者としない患者がいるのかを調べています。また、手術・化学療法・放射線を使わずに腫瘍を小さくする高エネルギーの腫瘍アブレーションも開発中です。リンパ腫や、グレート・デーンやロットワイラーなどの大型犬に多い骨肉腫も研究の対象に挙げられています。
紹介記事であり、具体的な薬剤名、試験名、症例数、治療成績の数値は記載されておらず、要旨からは確認できません。確かな数字は「最大20倍」のリスクだけです。それでも、犬の自然発生がんの研究が人のがん治療にもつながるという比較腫瘍学の考え方がよく分かります。スコティッシュ・テリアなど膀胱がんになりやすい犬種では、血尿、頻尿、排尿時のいきみが続くとき、早めに獣医師へ相談してください。臨床試験への参加は、かかりつけ医を通じて検討できます。
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