📚 犬猫 研究論文 — 2026.11.01
注目論文 3件
1. 🏥 獣医学・遺伝学
【日本】犬436検体中433で解析、出血リスクに関わる遺伝子変異SERPINF2 c.605C>Tが柴犬でも確認——非サイトハウンド犬種では柴犬の変異アレル頻度が最高の0.25(日本大学)
📅 2026.07.22
術後に時間がたってから出血する「遅発性術後出血(DEPOH)」は、グレーハウンドなどのサイトハウンド系犬種で知られ、アルファ2アンチプラスミンに影響するSERPINF2遺伝子のc.605C>T変異との関連が報告されている。日本の犬での分布は調べられていなかった。日本大学動物医療センターを2021年7月〜2022年10月に受診した犬の末梢血からDNAを抽出し、リアルタイムPCR(TaqMan MGB法)で遺伝子型を調べたところ、436検体中433で十分な増幅が得られた。
変異をホモ(T/T)で持つ犬はイタリアン・グレーハウンド1頭、ウィペット1頭、柴犬2頭で、ヘテロ(C/T)の犬はサルーキ、イタリアン・グレーハウンド、柴犬、フレンチ・ブルドッグ、雑種、ボストン・テリア、ジャック・ラッセル・テリア、チワワにみられた。サイトハウンド以外の犬種では柴犬の変異アレル頻度が最も高く0.25だった。著者らは、変異がサイトハウンドにも非サイトハウンドにも存在するとし、柴犬の頻度が比較的高いことから、多施設での頻度調査と実際の出血との関連の検討が必要と述べている。本稿は要旨ページに基づき、犬種別の頭数などは確認できていない。変異があることと実際に出血することは別で、現時点で一般の飼い主が検査を受ける必要があるという根拠は示されていない。手術前に気になる場合は獣医師に相談してほしい。
📖 Journal of Veterinary Medical Science, 2026, 88(10): 1479-1481(DOI: 10.1292/jvms.26-0247)
🔗 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms/88/10/88_26-0247/_article/-char/en
🏥 獣医学・遺伝学
2. 🏥 獣医学・外科
【日本】胆嚢粘液嚢腫で胆嚢摘出を受けた犬の肝臓病理——好中球性胆管肝炎の重さが術後生存の短さと関連(後ろ向き研究)
📅 2026.07.29
胆嚢粘液嚢腫は犬の胆嚢内にゼリー状の粘液がたまる病気で、胆嚢摘出が行われることがある。この後ろ向き研究は、胆嚢摘出と同時に肝生検を受けた犬の肝臓の病理所見と臨床との関係を調べた。広島、三重、埼玉、東京の臨床・病理の研究者による報告である。
最も多い所見は空胞変性で、次いで肝線維化、好中球性胆管肝炎だった。好中球性胆管肝炎の重さは、術前の血清ビリルビン値および総胆管の径と正の相関を示し、術後の生存期間の短さとも関連した。線維化の重さは主に、術後にALTの高値が続く期間と関連した。著者らは、肝臓の病理、特に好中球性胆管肝炎の重さが、術前の胆汁うっ滞や術後経過について臨床的に意味のある情報になりうると結論している。要旨には症例数や統計手法の記載がなく、結論も「なりうる」という控えめな表現で、探索的な関連と受け止めたい。胆嚢の病気は症状が出にくいこともあるため、食欲低下や嘔吐が続く場合は獣医師に相談してほしい。
📖 Journal of Veterinary Medical Science, 2026, 88(10): 1531-1536(DOI: 10.1292/jvms.26-0193)
🔗 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms/88/10/88_26-0193/_article/-char/en
🏥 獣医学・外科
3. 🧠 行動・認知科学
サービスドッグ(作業犬)の福祉評価、顔の表情・尿中コルチゾール・観察者評価で順位がずれる——同腹のラブラドール7頭の予備研究(ミズーリ大学ほか)
📅 2026.10.14
米ミズーリ大学ヒト動物相互作用研究センターなどのチームは、同じ腹から生まれた繁殖用ラブラドール・レトリーバー7頭を対象に、訓練初期の福祉を測る3つの方法を比べた。犬の顔の動きを記録するDogFACSによる顔の行動、尿中コルチゾール、訓練士(専門家)と非専門家の行動評価である。各方法で犬の順位をつけ、ケンドールの順位相関(τ)で一致の度合いを調べた。
専門家の評価と尿中コルチゾールはτ = 0.67、非専門家の評価とコルチゾールはτ = 0.60、専門家と非専門家の評価はτ = 0.65と中程度の一致だった。一方、顔の行動とコルチゾールはτ = 0.00、顔の行動と観察者評価はτ = 0.25と0.14で、ほとんど一致しなかった。著者らは、各指標が同じ犬を違う形で捉えていると結論している。ただし犬は7頭と少なく、同じ腹で血縁が近く、訓練をしない対照条件もないため、どの指標が妥当かは示せないとし、より大規模で適切な設計の研究が必要だとしている。表情だけ、数値だけで犬の気持ちを判断するのは難しいという注意喚起として読み、犬の様子は複数の手がかりで見守りたい。
📖 Veterinary and Animal Science, 2026, 34(DOI: 10.1016/j.vas.2026.100903)
🔗 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42935686/
🧠 行動・認知科学
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