🎗️ 犬猫 腫瘍ニュース — 2026.11.02
犬猫の腫瘍・がん関連ニュース&論文 計7件
🎗️ 腫瘍・がん関連ニュース — 2026.11.02
本日 7件
1. 🧬 研究・科学
犬のB細胞リンパ腫の実験モデルを新たに作成——患者由来異種移植(PDX)3種と安定細胞株2種、故クリスティ・リチャーズ博士の研究を継承(コーネル大学)
📅 2026.10.30
コーネル大学獣医学部は、飼い犬に自然発生したB細胞リンパ腫の腫瘍組織を免疫不全マウスに移植した患者由来異種移植(PDX)モデル3種と、安定した細胞株2種を作成したと発表した。成果は9月17日付の学術誌『Cells』に掲載された。この比較研究を始めたのは、2019年に亡くなった同大学のクリスティ・リチャーズ博士で、同僚のロバート・ワイス教授らが引き継いだ。
現在の治療では犬のリンパ腫は治癒しないため、新しい治療を試す信頼できる実験モデルが求められている。今回の資源は、犬の治療開発に加え、ヒトの非ホジキンリンパ腫の研究にも関わる可能性があるという。ただし、これは研究用の基盤整備の報告で、すぐに飼い犬の治療が変わるものではない。リンパ腫は首や脇の下などのリンパ節の腫れで気づかれることが多く、しこりに気づいたら早めに動物病院で相談することが大切だ。
🧬 研究・科学
2. 🏥 医療・疾病・予防
犬猫のしこりへの「針生検(FNA)」は十分使われていない——米国の獣医240人調査で、半数超の腫瘤に実施している医師は29%(Veterinary Oncology)
📅 2026.10.02
イスラエルのOnco Pet Veterinary Servicesのギリアン・ダンク氏らが、米国の小動物臨床家に調査を行い、学術誌『Veterinary Oncology』に発表した。1万人にメールで依頼し240人が回答した(回答率2.4%)。診察した皮膚・皮下の腫瘤の半数超に細い針で細胞を採る針生検(FNA)を行っていたのは29%で、FNAを受けた腫瘤の平均割合は39%だった。行わない理由は「良性に見えた」が35%、費用が32%、飼い主の拒否(その他)が19%だった。
著者らは、皮膚腫瘍の悪性の割合は犬でおよそ20〜40%、猫で70〜82%と述べ、臨床的な印象が細胞診より優先されがちだと指摘している。回答率が低く、記憶に基づく回答で、対象も米国の1媒体の読者に限られる点が研究の限界だ。しこりは見た目や触診だけでは良性・悪性を判断しにくい。愛犬・愛猫にしこりが見つかったら、様子見にせず、針生検などの検査について獣医師に相談してほしい。
🔗 https://bioengineer.org/simple-lump-test-is-being-skipped-in-dogs-and-cats-survey-finds/
🏥 医療・疾病・予防
3. 🧬 研究・科学
犬の7種類の腫瘍をAIで細胞診画像から判別——全スライド画像レベルで28例中26例(92.9%)正解(リバプール大学ほか、Frontiers in Veterinary Science)
📅 2026.10.13
英国リバプール大学などのチームが、犬の一般的な7種類の腫瘍を細胞診のスライド画像から分類する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を開発した。91症例の画像を512×512ピクセルの22,577枚のパッチに分け、ImageNetで事前学習したInception-v3を8クラス(腫瘍7種と背景)分類用に調整した。パッチ単位の平均正解率は86.3%、全スライド画像を注意機構なしで判定した場合のTop1正解率は92.9%(26/28例)で、正解は全例で上位3候補に含まれた。
著者らは、これは単一施設の典型例を集めた概念実証であり、臨床で使う前に診断が難しい症例での外部検証が必要と述べている。現段階で動物病院の現場で使える診断ツールではない。細胞診の精度や迅速さを補助する技術として期待される一方、最終的な診断は病理医・獣医師が行う。しこりの検査結果について疑問があれば、担当医に説明を求めてほしい。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1922780/full
🧬 研究・科学
4. 🧬 研究・科学
犬の皮下平滑筋肉腫で、FDG PET/CTが腫瘍の悪性度を見抜く手がかりに——生検はグレード2、摘出後はグレード3、SUVmax 10.1(韓国・忠北大学ほか、症例報告)
📅 2026.10.19
韓国・忠北大学などの報告で、9歳の未去勢雄のアラスカン・マラミュートの右肘に出血・潰瘍を伴う皮膚病変ができた。抗菌薬でも急速に大きくなり、生検の結果はグレード2の軟部組織肉腫だったが、挙動が悪性度に合わないため18F-FDG PET/CTを実施した。SUVmaxは10.1、SUVmeanは4.6で強い代謝活性を示し、遠隔転移の所見はなかった。約2週間後の手術で摘出した腫瘍はグレード3で、切除縁は不完全だった。
生検は悪性度を過小評価しており、PET/CTの取り込みの方が最終グレードと合っていたという。飼い主が補助化学療法を望まず緩和ケアのみとなり、術後3か月で局所再発と肺転移の疑いが出て、術後6か月で死亡した。著者らは、犬の皮下平滑筋肉腫のPET/CT所見の初めての報告としている。1頭の症例報告であり、一般化はできない。急に大きくなるしこりは早めに受診し、生検結果と臨床経過が合わないときは追加検査を獣医師と相談してほしい。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1948200/full
🧬 研究・科学
5. 🧬 研究・科学
犬の肥満細胞腫で好酸球と肥満細胞の比(EMR)が高いと高グレード——117腫瘍で関連、目安のカットオフは0.38(スペイン・エストレマドゥーラ大学)
📅 2026.08.24
スペインのエストレマドゥーラ大学のチームは、手術で切除した犬の肥満細胞腫117腫瘍(73頭)を調べた。10視野で好酸球と肥満細胞を数えて好酸球・肥満細胞比(EMR)を求めたところ、EMRが高いほどPatnaik分類・Kiupel分類の両方で高グレードと関連し、交絡因子を調整しても保たれた。Kiupel分類で低グレードと高グレードを分ける探索的なカットオフは0.38だった。一方、末梢血の好酸球数やほとんどの全身炎症マーカーはグレードと有意な関連を示さなかった。
著者らは、カットオフの検証と予後との関係を調べるには、より大規模な多施設研究が必要と述べている。腫瘍の周りの免疫細胞の状態から悪性度を推し量る試みだが、現時点で診断や治療方針を変える根拠にはならない。皮膚のしこりが肥満細胞腫かどうかは細胞診や病理検査でないと分からないため、気になるしこりは獣医師に相談してほしい。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1897478/full
🧬 研究・科学
6. 🏥 医療・疾病・予防
中部イタリア・ラツィオ州の犬の腫瘍登録、2009〜2023年の原発腫瘍9,823件のうち59.3%が悪性——最多は皮膚38.4%、乳腺23.2%(Frontiers in Veterinary Science)
📅 2026.09.08
イタリアのラツィオ・トスカーナ実験動物衛生研究所(IZSLT)、パドヴァ大学、ピサ大学などのチームが、ラツィオ州の動物がん登録に記録された2009〜2023年の犬の腫瘍を解析した。登録は9,122頭、原発腫瘍9,823件で、59.3%が悪性だった。部位は皮膚38.4%、乳腺23.2%、軟部組織13.3%の順に多く、診断時の年齢は8〜11歳が中心だった。登録の完全度75.3%で補正した粗罹患率は、10万頭あたり662.1例(悪性249.4、良性412.7)と推定された。
皮膚腫瘍は市販のフード(工業食)や屋外中心の生活と、乳腺腫瘍は屋内中心の生活と関連したが、これは登録データ上の関連で、原因を示すものではない。著者らは、がん登録が犬のがんの監視や、人と動物の健康を一体で考えるワンヘルスの研究に役立つと結論している。高齢になるほど腫瘍は増えるため、定期健診で体表のしこりや体重の変化を確認し、気づいたら獣医師に相談してほしい。
🔗 https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2026.1919722/full
🏥 医療・疾病・予防
7. 🏥 医療・疾病・予防
パデュー大のウェーリング比較腫瘍学研究センター、中西部の犬に個別化がん医療——膀胱がん・リンパ腫・骨肉腫を研究、スコティッシュ・テリアは膀胱がんが約20倍
📅 2026.10.15
パデュー大学獣医学部の「エバン&スー・アン・ウェーリング比較腫瘍学研究センター」を紹介する記事が公開された。同センターは約1年前に開設され、1979年に始まった比較腫瘍学プログラムを土台にする。インディアナ州や中西部各地から犬が紹介され、現在は膀胱がん、リンパ腫、骨肉腫を研究している。腫瘍に高エネルギーを当てて手術・化学療法・放射線なしで縮小させる腫瘍アブレーションも試験中だ。
ナップ博士らのチームは、膀胱がんが他の犬種の約20倍多いスコティッシュ・テリアを使って早期発見と予防を研究している。チルドレス博士らはドップラーレーダーとAIで、薬が効く犬と効かない犬の違いを調べている。記事は施設紹介が中心で、臨床試験の数や参加条件は示されていない。参加を考える場合は、かかりつけの獣医師を通じて専門施設に相談するとよい。膀胱がんが多い犬種では、血尿や頻尿などの排尿の変化に早く気づくことが大切だ。
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